母へ
漫然とアイスを口に運ぶ。
今日は母が亡くなってから10年目の命日だ。
私は今や2児の母となったが、私にとっては亡き母が私の唯一の母で、未だに甘えたい気持ちがある。
昨日は墓参りに行った。小高い山の上にある広い墓地、その中に3階建ての納骨堂。狭い駐車場に車を停め家族と手を合わせに行った。途中にあるコンビニで母が生前よく飲んでいた缶コーヒーと、飴やチョコを買う。死者がどうやってお供え物を食べるのかは分からないが、実際にお供えした酒の味などは落ちるらしい。きっと食べてくれるだろう。
線香をつけお鈴を鳴らす。手を合わせる。小さく声に出して、家族の健康と平穏を見守ってくれるようお願いした。お供え物を供え忘れたことに気づき置く。既に缶コーヒーとビール、きのこの山とトッポが供えてあった。祖父母が来たのだろう。持っていったお菓子が入り切らなかったので、長男に選ばせトッポを渡した。
今日は随分と涼しい。もう夏も終わったようだ。母が亡くなった日は真夏のように暑い日で、空は真っ青に晴れ渡っていた。お通夜に来てくれた方もとても暑そうだったのを覚えている。こんな天気のいい日に死ぬなんて、母らしいなと思ったものだ。夏がよく似合う人だった。強くたくましく優しい人。なんの世話もさせてくれなかった、あっという間に逝ってしまった。
悲しんでごめんなさい。やっぱりまだ悲しいです。向こうで元気にしてるっていうことは分かってるけど、やっぱり寂しい。子育てについて話したかった。旦那にも会わせてみたかった。くだらない話をしたり、美味しいものを一緒に食べたかった。
早くまた会いたいけど、まだ会えそうにない。
そっちで楽しく過ごしててね。
私はもう少しやることがあるみたい。
見守っててほしい。
本当にあなたが大好きです。
またいつか話そうね。