両親がくれた最高のクリスマスプレゼント。
小さい頃からクリスマスは我が家の大イベントのひとつだった。
クリスマスに誕生日、年越しから年始まで、この世の幸せな出来事がギュッとつまったこの時期の二週間がとてつもなく楽しみで、クリスマスはその始まりを奏でる大切なイベントだった。
クリスマスの少し前にクローゼットからクリスマスツリーを出してきてみんなで飾り付けをする。
どこに手紙おこうかな~ってその日から考えてた。
前日になってら家族みんなでクリスマスパーティーに必要なものを買い出しに行った。両親が飲むシャンパンが羨ましくて、姉と駄々をこねて普段は絶対飲ませてくれないサイダーを買ってもらったりもした。
母は当日クリスマスディナーに向けて朝早くからいそいそと準備をしてた。
父はクリスマスに合いそうなレコードをかけてくれていた。
昼間はサンタさんにあげるクッキー作りをしながら夜が来るのを待っていた。家族4人で食べきれないだろ~ってくらいの料理を囲んで、わいわいしながらこれ以上ない幸せに溢れた時間を過ごして、「おやすみ」とニコニコしながら寝室に送ってくれた両親を見て毎年わたしのクリスマスイブは幕を閉じた。朝起きると、わたしと姉が作ったクッキーは完食され、英語の手紙とともにプレゼントがツリーの下に置いてあった。
そしていつか最後のクリスマスイブを迎え、わたしはちょっと大人になった
そのとき、両親が得意げに、でもちょっとだけ不安げに、「実はサンタはパパだったんだよ~」って教えてくれたのを今でも鮮明に覚えている。だって、わたしは心の底からサンタさんがいるって信じていたから。あの素晴らしいクリスマスイブのトリを飾ってくれる不思議な国から来た優しいサンタさんがいるって信じていたから。
衝撃と同時に、こうも思った、両親は私にこんなにも素敵なクリスマスの思い出をプレゼントしてくれたのだと。物ばかりにこだわるのではなく、経験したこと、耳で聴いたこと、私がその時感じたこと、見えないものも大切にしなさい、とちょっとだけ大人になった私は思った。
それからサンタさんが来なくなっても、プレゼントがなくなったとしても、家族4人で食べきれないだろ~ってくらいの料理を囲んで、わいわいしながらこれ以上ない幸せに溢れた時間を過ごすのは変わらなかった。
でも今年は、
これくらいで足りるかなって量の料理を前に、
ひとり静かな時間を過ごしている。
いつかの、あの胸踊るクリスマスに想いを馳せながら。