インタビュー企画第一弾 空間企画 中佐真梨香のいまここ。後編
前編では中佐真梨香さんのこれまでと、空間企画さんのこれまでの活動についてお話を伺ってきました
後半では代表作「真っ赤な果実」のより真な部分、そして今とこれからについて伺っていきたいと思います!
中佐→中 カオス→カ
エンタメからアートへ、「真っ赤な果実」のモチーフとは
カ:その「暗い作品」をなんでエンタメに落とし込まなかったのかな?
中:自分の物語を作っちゃったんだよね。24年間を振り返って、幼少期バレエを辞めさせてくれないとか。暗い感情をエンタメとして提供するのは個人的に嫌で。「楽しかったねー」で終わらせたくないというか。
カ:「楽しかったねー」では終わらないよな。
中:空間企画をやる上で根底にあるのが、お客さんが見て共感まではいかないけど自分の中の思い出とリンクさせて原風景をたどって欲しいみたいのがあって。表面の共有じゃなくて、もっと内側で共鳴したいみたいな。
カ:真っ赤な果実のモチーフって何?
中:親子関係。
カ:さっきもバレエ辞めさせてくれないとかあったね。
中:親子って仲良い事前提なんだけど、いや前提にしなくてもいいんだけど。でも昔「生まれてこなきゃ良かったのにー」とかお母さんからネガティブな感情があって。小学生位とか?宝物を勝手に燃やされたりとか。
カ:はははははは!
中:裸足で外にほっぽり出されるとか笑。夫婦喧嘩も日常茶飯事だったし。うち、皿が手裏剣のように飛んできた笑。それをお父さんが座布団でガードみたいな笑。
カ:聞いてる分にはコミカルでちょっと面白いな笑。
中:でもそれを見てて声を発しようものならばこっちに皿が飛んでくるみたいな笑。そんな家庭環境だった。お母さんと一緒にいるのが怖かった。
そんな中で一番記憶に残ってるのがお母さんが、珍しく新しい口紅を見せてくれたの。私に。「どう?」みたいな。
そうゆう記憶なかったから、私、本当に嬉しかったの。
だから私ほいほいその口紅開けちゃったんだよね。そしたら、口紅も悪いんだけど、その口紅全部取れちゃったの笑
カ:うわーははははぁー
中:そしたらもうお母さんが信じられないくらいキレて、そのままマンションの廊下に裸足のままッポイみたいな。
カ:お母さん凄いな笑。そんな親子関係がモチーフなのか。
中:でも面白いのが、不思議と楽しかった記憶が残るの。キャンプ行った記憶とか。辛い記憶と楽しい記憶があって。辛いと楽しいの真逆の感情。それを描いたのが「真っ赤な果実」かなぁ。
カ:なるほどなー
今、何してる?
カ:今さ、もう舞台とかできない状況で何やってる?
中:家から徒歩2分のところに機材の倉庫があって。ずっと倉庫にいて、誰とも会わずに作品を作ってみるって事をやってる。
カ:今ツイッターでも色々アップしてるよね。そうゆうのを毎日作ってるみたいな?
中:本当は毎日何かを発信していきたいんだけど、一人だとなかなか難しくて。だから去年取り留めてた作品アップしたり。今は主に毎週日曜日に「照らすVOICE」っていう企画をやってアップしてる。それは本当に全員が誰とも会わずに作品が作れる!
今やってみたい事
カ:活動しててやってみたい事とか出てきた?
中:「FRUIT ROUGE」(「真っ赤な果実」から名前が変わって)と「snowdrop」を映像作品として作り変えたい。まず私は作品のシステムを先に考えてから作るってやり方で、中身は後から考えるみたいな。「照らすVOICE」はシステムが出来上がってきたからこっから先は中身はいくらでも考えられる。でもまた新しくシステムを今考えるのは一人だと限界で。だから、これまで作った作品を新しく作り変える作業をしてみたい。
カ:今まで手応えあったものを一人で作り変えてみるみたいな?
中:そうそうそう。倉庫に今までの美術とかはあるからさ。その美術とかを小さく作り変えて。でも明かりと音のデータは一緒だよみたいな。それだったら今すぐに動き出せるけど、今から企画を一から考えると、なるとなんだろう、、、ってなっちゃう。水面下で動く作業が多くなっちゃう。
カ:確かにねー。今みんなそこで悩んでる所だと思う。
中:でも私これはスピード勝負だと思う!
カ:私もそう思う!
中:でかい事を時間かけてやるのは今は違うと思う
カ:パッパッと小さい事を生み出すのが大事だよね。
中:何も一人でやる事の限界はあるからさ。だからスピードと量が大事だよねー
これから演劇はどうなってく?
カ:みんな気になってる事だと思うんだけど、中佐的にこれから演劇はどうなってくと思う?
中:たぶん元に戻ると思ってて、また演劇ができると思ってるし生で見せるインスタレーションは作れると絶対思ってる。でも今この時間にできた表現もまた残るからどう両立してく?って時代がくると思う。
旧世代のやり方と新世代のやり方が融合できたひとが強いと思う!
カ:色々技術も発展してくだろうしねー
中:まぁ今はやってるシステムは変わってないけど。
カ:まぁ形は変わるでしょ。
中:発信してると知らない人と知り合う機会が多くて。今、ネットで知ってる人みたいなののハードルが下がってて、損得勘定なしに何かするって事が以前よりやりやすい。
これから
中:迷ってるんだよー!
カ:おおー
中:空間企画の形で迷ってて。今三人いるけど、負担を抑えるために人を増やすか、その都度メンバーを集めるかみたいな。このまま行くか。空間企画のあり方で迷ってる。まぁ、先行きに任せてみようかなみたいな。
空間企画で事業を成り立たせたい気持ちがあるから、逆にこの混乱の時代に何か築きあげられたら。
カ:まぁチャンスといえばチャンスだもんね
中:照明の仕事が今無くなった分、時間があって。だから今集中できる。なかなか今までなかった笑。だから私はこの時期は正直チャンスだと思って、やっていきたいと思ってる。
カ:力強く生きよう。
というわけで、インタビュー企画第一弾は空間企画の中佐真梨香さんでした。
このコロナ禍の中で力強く活動している方をみると元気付けられるなぁ。と思いカオスは今日も酒を飲むのだった。
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中佐真梨香
1991年1月31日生まれ。埼玉県出身。O型。
桜美林大学総合文化学群演劇専修卒業。
幼少の頃よりクラシックバレエを習う。K-ballet school1期生。
大学進学後、木佐貫邦子氏のもとでコンテンポラリーダンスを、文学座の金英秀氏に照明をそれぞれ師事。
現在は、フリーの照明家として舞台に関わっている。
空間企画では企画も担当する
空間企画
舞台空間を利用した光と音のインスタレーション作品を制作する団体。
人々の原風景を辿り、非日常空間を創り出すことで、誰もが主役となれる作品の創作を行う。
常に新しい表現方法を探っていくために実験を重ねていく。
インタビュー&ライティング:栗原カオス
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