ミステリーが書きたい?! -吉玉サキさんインタビュー(後編)
ライター、エッセイストで「山小屋ガールの癒されない日々」の著者、吉玉サキさん。
書籍発売記念のインタビュー、後編をお送りします。
前編はこちら
1. 「書くこと」のはじまり
―書くことを始めたのは学生時代からですか?
吉玉:そうですね。高校生の時はパソコンを持ってなかったので、原稿用紙に書いてました。15歳ぐらいの時に北海道新聞社の賞を受賞したのですが、この時に初めて小説を書いたと思います。
― そこから定期的に書き始めたのでしょうか?
吉玉:その時は一作だけ。結構現代詩を読むのが好きで、詩を書いてみたりもしました。平田俊子さんとかが好きでしたね。それから、当時所属していた劇団で、1回だけ無料公演用の脚本を書かせてもらいました。上京して専門学校に入ってからは、作品をずっと書いてました。
2. 「書くこと」の今
―専門学校、就職、そして山小屋勤務を経て、吉玉さんはライター・エッセイストとして活躍されています。ちなみに取材記事とエッセイでは、どちらが書きやすいですか?
吉玉:両方あるからすごく楽です。エッセイやコラムの仕事ばっかりだとしんどいし。企画出しから始まるようなライター仕事もある、今の状態がとても良いですね。
―そんな吉玉さんに憧れている方、いらっしゃると思います。
吉玉:憧れたところで、そんないいもんじゃないですよ。
―不断の努力によって今のキャリアが作られたということは、執筆された記事を読んでいるとわかります。話は変わりますが、小説をnoteに載せようと思ったのはどうしてですか。
吉玉:たまたま見つけたんです。「懐かしいの出てきたな」って思って見てたら、意外と良かったので載せました。
―見つかって良かったです!
吉玉さんの小説は、取材記事やエッセイとはまた別の味わいがありますので、ぜひこちらも読んでみてください。
3. 「書くこと」の未来
―この先も小説を書くご予定はあるんですか。
吉玉:小説って仕事になるんですかね?
―この先更に有名になったら、オファーが来るかも。
吉玉:そうなった場合、執筆してる間全ての仕事がストップする可能性はありますよね。それは怖いな。
―ちょっとずつ書いておくとか、どうでしょう。
吉玉:連載とかだったらまだ考えられるかな。小説書きたいですね、楽しいから。
―どんなものが書きたいですか?
吉玉:ミステリーが書きたいです。短編で、山小屋が舞台のもの。人が死ぬような事件じゃなくて、ちょっとした謎が起きて、それを山小屋のスタッフが話を聞いて解決していくみたいな話を。ずっと書きたいって思ってるんですけど、謎がひとつも浮かばない。謎を作ってくれる人だけ募集したい。
―それはいいですね。今は謎解きが流行ってますし。
吉玉:ある程度山を知ってる人じゃないと難しいですけどね。山小屋という舞台を活かした日常の謎を、誰か作ってくれないかと思ってます。
岸本(書籍担当編集):謎自体は作れると思いますけど、どう解決するかが大事なので、やっぱりそれがセットじゃないと難しいですよね。
吉玉:書きたいんですよ。よくある日常系連作短編の山小屋バージョンを!
―書ける人は少ないでしょうしね。よくあるのは「吹雪で閉じ込められて……」とか「つららで刺されて凶器の証拠が隠滅された!」とか。
吉玉:密室系ですよね。書きたいのはそういう本気の館ものではなくて。 なんかイメージとしては北村薫さんだったり、米沢穂信さんの「氷菓」の山小屋版みたいなものをやりたいです。めっちゃ書いてて楽しそう。
―まずは謎が作れる人を見つけたいですね。
吉玉:こういう話をしてると楽しいですね。山小屋の友達とそういう妄想の話をよくしていて。そういう時間が好きです。
―皆さま、吉玉先生の次回作にぜひご期待ください(笑)。
【取材を終えて(後編)】
穏やかな物腰で、お話してくださった吉玉さん。本当に書くことがお好きなのだなと感じました。この記事がnoteのクリエイターさんの楽しみに、そして参考になれば幸いです。吉玉さん、そして岸本さん、ありがとうございました。
山で培われた経験と感性が紡いだ書籍、ぜひお手もとにどうぞ。