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私が電話に出られるようになったワケ。

私は電話が超絶苦手。
大っ嫌いでした。
でも人間て慣れるもので、いつしか電話対応がスムーズに出来るようになりました。

今回の日記はタイトル通り電話に出られるようになったきっかけあれこれを書いていこうと思います。


【0】大変でした

軽く経緯を説明すると、ずっと鬱を抱えて通院しながら自宅療養していたものの、とうとうお金も底をつきそうになってしまったので働く事にしました。

ただのパートでしたが、死ぬほど緊張をして吐き気を抱えながら面接という地獄の時間を過ごしました。

昔から人に評価されるという事が大嫌いだし大の苦手。
何も持ってないからです。
資格も、得意とするものも、人に言えるような長所も何もない。

それまでの仕事で上司から「お前の長所って何なの??」
と仕事の推薦状を出す時に本気で悩んでいたほど。

それでもパソコンは出来たので、装飾担当というよく分からない立ち位置での採用となりました。

田舎なので給料も雀の涙ほどですが、私にとっては大きなものでした。
そんなこんなで仕事が決まりましたが、仕事場が事務所なので電話対応もするわけです。

その電話がとにかく怖くて、最初は全く受話器に手が出せませんでした。

それまでの仕事でそれなりに電話対応をしていましたが、いつも同じフロアに上司や社員がいたので保留ボタンを押すだけ、内線番号を押すだけで良かった。
でも新しい職場では保留を押して更に部署がいくつもあるのでそれを全部覚えた上でそれぞれの番号を探して繋がなければならない。
言われる要件もこれまでとはピンキリと規模が超弩級に幅広く、これまでとは難しさのレベルが全く違う。

私はそもそも社会不安をかかえているため、職場の人とでさえなかなか喋れない。
研修期間中も頑張って無理やり笑顔を作ってると「なんでそんなに笑ってるの?」と言われるし、いつもいつでも机の下の隅の隅に隠れたくて仕方なかった。

その私が電話に出る?!

無理無理無理!!!!

………無理無理無理!!!!

電話の音がするだけで動悸がするのに受話器を取って話して更にどっかにまわす??!!

無理に決まってる!
っていうか事務じゃなにのに何で電話取らなきゃならないの?!
なぜ??!!
ただでさえギュウギュウに仕事が詰まってるのに更に電話…電話…電話。

無理だよーーーーー!!!!!

そんな事を思っていました。

が、新人にもちろん許されるはずがない。

【1】研修を受けるものの…

まずは一応研修期間の最後に一通りの電話対応のやり方を聞きました。
予行演習的なものもやってもらって、これで大体の対応を頭に入れたわけです。
でもそれですぐ出来る私ではなく、そこから1か月くらいは全く電話に出られませんでした。

電話のコール音に死ぬほどびくつき、そこから息を整えて心臓のバクバクを抑えている。
その間に他の事務の先輩が受話器を取る日々。

頭では分かっていても心も体も拒絶して実際にかかってくると微動だに出来なかった。
あまりにも電話を取らないので繁忙期などは私に聞こえるように嫌味を言われたりしていました。

「分かってる、分かってるんだよ!でも恐怖で出られない!!」

これじゃいけないと何度も何度も繰り返し頭の中でシミュレーションして、目の前に文言のメモも置いても、

それでも電話の音が鳴ると体が硬直してしまい出られませんでした。

それが、ある日電話の受話器をとうとう取りました。

【2】先輩の計らい

先輩方が口裏を合わせたのか、その日は誰も電話を取らなかったからです。

勿論、私に電話対応させるためです。

もう「奴に電話に出させるにはこれしか方法が無い!」と判断されたんだと思います。

私は空気を察して口から心臓が出るかと思いながら電話を取りました。
とにかく用意していたメモを読みました。

そのあとはもう頭真っ白、体は震えて冷や汗もだらだです。
相手が何を言ってるのか全然全くこれっぽっちも頭に入ってこない。
でもとにかく誰かにまわさないと!!と思い、保留を押して血眼になりながらたくさんある番号の中から上司の番号を探し当て繋ぎました。

「すいません、電話は取ったんですが全く内容覚えられませんでした!」

もう心の中は大泣きです。
怒られるとしか思えず震えが止まらない。
これが最初です。

でも

何かが吹っ切れたのは感じました。

【3】鳴ったら出る!

それからはとにかく受話器を取る癖をつけるために「電話が鳴ったら出る!」を徹底的にやり始めました。
それまでとは180度変わり、それでも心の準備に3コールは必要でしたが自分なりにすぐに取りました。
相手の話は頭に入らないけど、とにかく電話に出る事自体に慣れないといけないと思ったので。

まずは電話を取って、文言を言う。
そこまでできればもうOKとしよう。

自分の中に決めたルールに沿って電話の音に慣れる練習をしました。

そうすると元々頭の中では順番をシミュレーションしていたのでそこからは早かった。

徐々に話を聞けるようになり、分からなかったら質問が出来るようになり、相手の名前を聴き取れなかったら聞き返すことが出来るようになりました。

【4】文句やクレーム

これには最後の最後まで泣かされました。
結構な頻度でクレームがあったから。

勿論きっかけとしては私が悪いわけじゃないんですが、その対応がまごついていれば当然のように相手に怒られるわけです。
それは私には恐怖としか言いようがなく、反射的にPTSDの反応が出てしまいそれ以上の受け答えが全く出来なくなってしまいます。

メンタル強い人なら「はいはい」と心は流せるのかもしれない。
でも私は上記の通りもうとんでもない震えが出始め、脂汗が止まらなくなり、頭が真っ白になって思考が停止してしまい過呼吸が始まってしまいます。
そして相手の話に返答が出来なくなります。
ここは精神科の先生のお話ですが「私の場合はとにかく大きなエネルギーに当たると心身が過剰に反応してしまう」との事です。
幼少の頃からの家庭環境に大問題があったためですが、それは飛ばします。

ともかく、私はそういった症状が出てしまうためクレームの対応がダメで相手にとっては単なる怒り製造機と化してしまうため

「あんたバカなんだな!!」
と言われたり

「聞いてんのかおい!!」
とか

「そんな事も分からないの?!あんたどういう教育を受けてきたの?!あんたの事もクレーム入れるから名前言って!!」
などなど

まあ様々な罵詈雑言を散々言われました。

ただでさえ止まらない震えが見るからに酷くなり上司に回すためのボタンが上手く押せずやっとの思いで回して。
とにかく薬を飲んでトイレや一人になれる場所でで泣いていました。
その時の上司はとても理解ある人だったので本当にその上司の対応に救われました。
私が一番長くあの場所に努められたのもメンタルの部分をちゃんと理解してもらえてたからです。
そうじゃなかったらきっと1年ももたなかった。

【4】大事なこと

とにかくメモを取る。

でも最初はそれが出来ません。
メモを取る時間などどこに設ければいいんだ?!ってくらい相手が話すから。

だから最初は

電話を取るだけで100点。

それが出来ればそれでもう自分を褒めまくるんです。
そこから先は相手の話は聞けなくていい。
私の場合はですが、受話器に手を出し文言を言うまでが試練でした。

それが出来るようになったら、次は

相手の内容を聞けるようにする

相手が誰かより内容の方が重要。
内容を聞けるようになったらそこそこメモが取れるようになります。
それに内容を聞けばその後どこに回せばいいのかが自ずと分かるようになる。
なので名前じゃなく、内容を覚えるようにする。

それが出来るようになれば段々と今度はどこの誰からなのかが分かるようになります。

分からなかったらほったらかしにしない

話していて自分じゃ対応できなかった事は必ずすぐに先輩なり上司なり誰かにどうすればよかったのか聞きます。
そしてメモしておきます。
メモはここで一番役に立ちます。
頭に入れるだけでは大体2~3日で忘れます。
必ずメモしておく。

癒しのものを置いておく。

これは最も重要。
自分にとって心を落ち着かせる絵なり写真なり小物なりを一個、目の入る場所に置いておく。
嫌な事があった時にとても効果を発揮します。


私はそうして電話に出る事が出来るようになりました。
最後の方はある程度パソコンしながら電話対応出来るようにまでなりました。

人間て努力ではどうにもならない事もあるけど、頑張れば何とかなる事もあるんだなと実感しました。

私の場合は本当に誰かに尻を叩かれないと出来ないので最初のきっかけを作ってもらった事に感謝してます。
あれこれと嫌味を言われていたけど、結局はあれがなかったら私はずっと電話に出られず仕舞いだったろうし。
あそこから吹っ切れる事が出来たので。

私はそれまで誰の目にも映らない透明人間だと思いながら生きていましたが、この仕事場は違いました。
私にとって一番重要な場所で、それまでの私の中の歪みを矯正してくれました。
どうしても心身が上手くいかず自分の気持ちとは裏腹に辞めざるを得なくなってしまったのが本当に悔やまれます。

仕事がした――――い。
今の正直な気持ちです。

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