見出し画像

上瀬谷を追うだがや4(交通インフラ編)

トップ画像:跡地周辺の土曜正午GoogleMap交通情報

上瀬谷・深堀シリーズ4は 交通インフラについて 深堀していきます。
本年10月~11月に『旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業にかかわる道路計画について』説明会が行われました。
これまでの市の計画も踏まえて、上瀬谷周辺の道路はどうなるのかまとめていきます。併せて、書いているこっちが頭がおかしくなりそうになる花博の駐車場計画もおさらいます。
ぜひ、最後の【5】未来予測までお付き合いいただきたいです。

【1】上瀬谷通信施設跡地内(隣接含む)道路整備

旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業における道路計画に係るオンライン説明会 資料より
2車線・4車線の囲いは筆者加筆)

 🔷環状4号線(一部約3kmが海軍道路)拡幅計画

環状4号線は上瀬谷通信施設跡地(以下:跡地。赤枠内)の北側はもともと4車線ですが、南側(ピンク枠)は2車線のままになります。跡地内の約1.5km(海軍道路の北側半分)だけ、4車線区間が南に伸びる形になります。
跡地南側には住宅街が続いており、4車線になる計画はありません。この拡幅計画は、仮に花博やテーマパークがなかったとしても、それほど渋滞回避に効果がある計画とはいえないという印象です。

渋滞回避効果がなさそうな海軍道路の拡幅のために、北側半分の桜並木は全伐採されます。拡幅されず2車線のままの南側半分では伐採は行われません。仮に「老木化」が伐採の理由であれば、4車線に拡幅される北側半分よりも、南側半分の桜並木は植樹が6年前に行われており、より古い桜なので先に伐採されるはずです。
桜並木が全伐採されるのは、「花博のために道路を拡幅したいから」です。コスト今の桜を維持する方が、伐採し植替えするよりも確実に安いです。伐採する必要のない健康な桜並木を、市民も反対しているのに、行政の都合だけで全伐採するというのが、この拡幅計画です。
毎年の健診で、危険木は年度中に伐採されているので、どの区間であっても全伐採する必要はありません

 🔷八王子街道(国道16号)の拡幅計画

八王子街道は、跡地に隣接する一部区画(水色の囲い)だけ4車線化します。東は上川井ICの東側まで、西は国道246号の交差点までが4車線になります。この区間以外は2車線のままです。
この区画だけ4車線化することにどれほど効果があるのかはわかりません。しかし、接続道路含めて慢性渋滞地帯ですので、花博やテーマパークを考慮すると、効果を感じないどころかより一層の大混雑が予想されます。
また、2027年花博に間に合うのは上図の緑の線の部分だけの可能性もありそうです。

 🔷跡地内道路・新インター・新交通

左)旧上瀬谷通信施設地区 土地区画整理事業 環境影響評価書
右)旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業における道路計画に係るオンライン説明会 資料

◆『1~3』道路(左図)は新規道路です。
『1』と『3』は2車線道路というオンライン説明会で説明がありました。『1』道路の南に接続する瀬谷地内線は2車線道路であることを考えれば、これは順当ということになってしまいます。

新インター(右図の青点線)も計画されています。
※後述に詳しく掘ります

◆新交通システム(右図の灰点線)も横浜市はやる気です。。。

 🔷なぜか新規『2』道路と西端境界道路が説明なし

左)旧上瀬谷通信施設地区 土地区画整理事業 環境影響評価書
右)旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業における道路計画に係るオンライン説明会 資料
上瀬谷小学校と学校前交差点は筆者付加

区域内・区域隣接道路なのに、なぜかまだ計画が説明されていない道路があります。旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業の道路計画では、八王子街道、海軍道路、図の『1』道と『3』道の4道路の説明が行われました。
下記2つの道路計画が全く説明されていません

『2』道路の新設(物流地区南端道路)
跡地西端境界道路の拡幅(上瀬谷小学校の西側道路)

この2道路について説明会資料に記載がない理由も、今後の予定も、一切説明されていません。(そういうところだぞ、横浜市)
そこで、オンライン説明会のQ&Aで質問したので、市の回答を引用し確認していきます。

『2』道路(物流地区南端道路)について

1 物流エリア南端の道路につきましては、新たなインターチェンジと合わせて、検討を行っているところです。 今後、計画をお示しできる段階になりましたら、お伝えしていきたいと考えています。

2 新たなインターチェンジは、現在、東名高速道路との接続位置やルート周辺環境への影響など基本的な検討を進めている状況です。営農への影響についても、それらとあわせて検討を進めていく予定です。

オンライン説明会の第二次質問・回答

説明会資料では、こちらの道路にインターの接続があると読める図(右)がありますが、これは市会で初めて公表された時(令和4年5/31)と同じ図で変わっておらず、具体的な計画は全くわかりません
農業振興地区への影響についても質問しましたが、全てが検討中のようです。(新インターについては、後述に詳しく掘ります)

◆跡地西端境界道路について

跡地の西端の道路については、都市計画道路ではないため説明を行っておりませんが、北町交差点付近から上瀬谷小学校前交差点間については、土地区画整理事業の中で、両側に歩道を整備する計画としています。整備時期については、今後、施工計画を検討していく中で、決定していきます。 なお、新たなインターチェンジと一般道との接続箇所については、今後検討を進めていく予定です。

オンライン説明会の第二次質問・回答

以前、私が職員から聞いた説明では「拡幅」と明言※していたのですが、北側区間に歩道をつけるとのことで、4車線化ではなかったようです。「都市計画道路ではない」と明記していることから、上瀬谷小学校前交差点より南区間についても民地立ち退きを伴う拡幅はありえないと考えて良いと思います。(※「南側も拡幅なんですか?」と更問しましたが、「その予定です」とのことだったのですが。)
上瀬谷小学校前交差点より北区間については、インターとの接続には好立地であることと、拡幅の用地確保が容易であるため、歩道がつくだけではない可能性はありそうです。新インター接続計画が決定しないことには、この道路の計画も決定しない可能性が高いです。

それにしても上瀬谷小学校交差点から瀬谷柏尾線への下り坂も細い2車線道路でいつも混雑しています。こんなに住宅街に囲まれた場所で、花博とかテーマパークとか新インターとか「マジかよ…」と思ってしまいます。瀬谷柏尾線の慢性的な渋滞が、この跡地開発により周辺住宅街への車両の流入となってしまうことを危惧します。

【2】新”上瀬谷”インター事業はどんなもの?

上述のとおり、まだ計画の詳細が出ていないのですが、市会(令和4年5/31都市整備局委員会)での市の説明では、「花博までに2方向は間に合わないかもしれない」とのことでした。

10月末に行われた『旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業における道路計画に係るオンライン説明会』のQ&Aでは「スマートインターか正規インターかも決まっていない」と驚きの回答がありました。
正規インターの必要用地はかなり広大ですが、現在の計画ではスマートインターでも厳しいような状態に思えます。

横浜町田インターとは1km程しか離れておらず費用概算も出ておらず、NEXCO東日本がどれほど費用負担してくれるのかも不安です。
とはいえ、どうあっても花博をするのであれば、本当に建設が花博に間に合うのであれば、このインター新設は必要かもしれません。このままのアクセスでは「行きたくても花博にたどり着かないのでは…」というレベルの状態です。
テーマパークには賛成できないですが、新インターはあくまでも地域の方々が「便利になって良かったね」と思える唯一のレガシーとなることを願います。(今の計画では、周辺の住宅街で渋滞が発生する可能性は高いです。)

 🔷仮に図のように新インターが接続されたとすれば…

旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業における道路計画に係るオンライン説明会 資料

🔶地上を通るインター接続道路を建設する場合
図の青い点線のようにインターと接続されると、物流地区南端道路の西へ続いており、農業振興地区を分断することになります。
道路の擁壁が巨大であればあれほど、日照や風向きに影響がでます。こんなところで営農できるのでしょうか?

🔶地下を通るインター接続道路を建設する場合
地上式と違い、農業振興地区の分断や日照の問題は机上では解消できます。しかし、地下をいじらないことを前提に区画整理事業は進められてきたので、環境配慮面での作業は膨大になることは間違いありません。
東名高速は跡地よりも少し低い位置にありますが、深いというほどでもないので、農地利用に影響が出ないほど地下深いトンネルを建設することになり、深くもぐって上がっていくような大規模なトンネル工事になり、現実的とは思えません

どちらにせよ、区画整理事業にかなり大幅な計画変更が出ることになると思われます。
また、西端境界道路新インターと接続される場合は、現在も住宅街ある接続道での渋滞が起きがちな瀬谷柏尾線(2車線)への影響はかなりのものになると思います。

環境アセスも新インター事業として別で行われるとのことですが、花博までの4年強で新インターが完成しない可能性は高いと思われます。

【3】上瀬谷通信施設跡地 周辺道路の整備

横浜市 旧上瀬谷通信施設 周辺道路の整備計画概要 より

現在、私が確認できている新しい道路や車道の拡幅の計画※で、整備が動いているのは、三ツ境下草柳線(第一期地区)瀬谷地内線です。
整備の動きはないが、計画が公表されているのは、三ツ境下草柳線(第二期以降)環状3号線の延伸計画としての二ツ上橋交差点南側の瀬谷柏尾線の4車線化となります。下記にまとめていきます。
※歩道の整備は整理しきれていません。

 🔷三ツ境下草柳線

横浜市 二ツ橋北部三ツ境下草柳線等沿道地区土地区画整理事業

昭和32年三ツ境下草柳線瀬谷地内線都市計画が決定しています。もちろん花博どころか上瀬谷通信施設の返還の話もなかった時からの都市計画です。返還後の事業を支えるための都市計画道路ではなく、あくまでも地域のための道路です。

三ツ境下草柳線(2車線)の計画は、三ツ境駅北側を通る既設道路を瀬谷駅方面へ延伸し、瀬谷地内線と交差接続し、瀬谷柏尾線とも一度クロス(平成30年のまちづくりニュースでは交差点とあるので接続もする予定)して、瀬谷小学校の南で瀬谷柏尾線へ合流します。
その先の計画は、「下草柳」とあるので、大和市下草柳へと続くのかもしれませんが、瀬谷柏尾線から瀬谷図書館の北側で分岐していき、瀬谷本郷公園の北側を通る計画のようで、境川(大和市との境界)から先の予定図は見つけられませんでした。

上図のい部分が第一期地区で、この事業には瀬谷地内線(縦の点線)の敷設も含みます。工事の概成時期は令和6年度末頃の見込みです。花博までには間に合う道路ですが、下述する瀬谷地内線(相鉄本線以南)との接続がないと大きな意味はありません。(三ツ境からの花博シャトルバスのルートにはなっています)
西のい部分の第二期以降地区はまだ着工の目途は立っていないようです。

 🔷瀬谷地内線(相鉄本線以南地区)

横浜市 都市計画道路瀬谷地内線

瀬谷地内線(2車線)は、三ツ境下草柳線と共に昭和32年に都市計画決定しました。三ツ境駅~瀬谷駅間には相鉄鉄道本線を跨ぐには踏み切り道路しかなく、瀬谷地内線は相鉄本線アンダーパス(線路下のトンネル)方式で、南北のアクセス性が上がる地域待望の道路です。
黄色い点線が前述した三ツ境下草柳線(第一期地区)事業で、黄色の縦の点線が瀬谷地内線です。北で既存の瀬谷地内線と接続し、南でこの瀬谷地内線(相鉄本線以南地区)と接続します。

上図のい部分がこの事業(相鉄本線以南地区)の道路で瀬谷地内線の南端部になります。和泉川を暗渠にし跨ぎ、瀬谷柏尾線に合流(交差点新設)し、二ツ上橋交差点へと終点接続します。
令和5年に着工を予定しており、花博に間に合うかどうかの問い合わせには「スケジュール整理中」とのことです。

横浜市 瀬谷地内線・都市計画変更 説明会 資料(平成22年開催)

上図のとおり都市計画変更により、既存の瀬谷地内線の北端は東野地区までとなりました。2018年に開通した瀬谷団地連絡道路(1998年度に事業開始、総事業費10億円)のおかげで、ようやく北側の県営細谷戸ハイツの東側道路と接続しました。

跡地内道路と上記の三ツ境下草柳線瀬谷地内線が完成すると、瀬谷地内線瀬谷団地連絡道路→細谷戸ハイツ東側道路→跡地内の『1』道路に接続し、北上し続ければ八王子街道に抜けます。
そうです、ここは南側からの新インターへのアクセス道路で、八王子街道へのアクセス道路でもあります。野境道路や瀬谷市民の森を貫通する瀬谷高校北側の道路も抜け道利用が増えていくでしょう。
先述した瀬谷柏尾線沿いの住宅街と共に、このエリアの住宅街にも車両の急激な流入の増加は免れないと思われます。幹線道路は大渋滞なので、住宅街への流入は増える一方なのではないかと危惧します。

 🔷環状3号線(二ツ上橋交差点の南側への延伸)

横浜市 環状3号線(汲沢地区)資料より ※緑丸(瀬谷地内線との接続部)は筆者付加

横浜環状3号線の当初計画も昭和32年(1957年)です。1964年東京オリンピック招致決定は1959年で、横浜開港100年祭は1958年です。戦後復興の最中、日本中にこういう道路計画が出来たのだとは思いますが、現在となっては都市計画道路予定地住宅がどんどん立ち並ぶ中で、65年前の計画が粛々と進められている横浜市。「一度決定したものは絶対!」主義が垣間見えて怖いです。

上図(平成30年作図)で青紫区間は既設で、南側の水色の枠内が近年工事されている戸塚区の区間です。現在は戸塚区画で国道1号線アンダーパスなどの工事が進行しています。
緑丸の部分が平成26年「都市計画道路 環状3号線・瀬谷地内線及び三ツ境下草柳線について都市計画の変更」説明会の資料(下図)で出てくる区画です。これよりも南へも環状3号線は延伸するはずですが、具体的な計画は出ていないようです。

都市計画道路 環状3号線瀬谷地内線及び三ツ境下草柳線について都市計画の変更 説明会の資料

平成26年計画変更の説明では、瀬谷地内線(2車線)は二ツ上橋交差点が終点で、中原街道に接続します。中原街道は東から二ツ上橋交差点までが環状3号線の扱いになります。その先の環状3号線は二ツ上橋交差点から南下することになり、既存の瀬谷柏尾線を4車線化拡幅する形で整備するという計画に変更されています。上図では青・オレンジ道路は2車線、赤道路は4車線です。
二ツ上橋交差点から南の環状3号線の整備は、着工や完成の目途は示されていません

◆周辺道路の開通時期のまとめ
①三ツ境下草柳線(第一期地区)事業:令和6年概成。花博に間に合う
②三ツ境下草柳線(第二期以降)事業:着工時期は不明
③瀬谷地内線(相鉄本線以南地区)事業:令和5年着工予定
④環状3号線(二ツ上橋交差点の南側への延伸):まだ計画のみ

花博に間に合うかどうかは気になるところですが、この4道は米軍基地跡地が返還されるずっと前の昭和32年からある都市計画であり、花博やテーマパークの混雑に耐えうる計画とは思えません。
市民の生活が成り立ってこその都市計画だと思うのですが、市の考えは違うのでしょうか。

【4】花博:駐車場とパークアンドライド計画

深掘り1で指摘した通りですが、ここでも簡単に整理したいと思います。

2021年3月横浜国際園芸博覧会基本計画(案) - 国土交通省HPより

上表の通り、横浜市は最大13470台、休日平均で8270台の自家用車が来場すると試算していますが、駐車場は計5000台分しか準備しません。
しかし、1,000万人来場者想定が杜撰なように、この需要予測も杜撰な数合わせです。(たとえば上表を見ると、おかしなことに、団体バスの予測が来場者上限で減っています)

しかし、環境負荷市民生活負荷を考えると、駐車場を増やすことよりもむしろ自家用車の需要を抑える施策を考えるべきです。
パークアンドライド計画撤回し、半年しか使われない会場横の駐車場は、駐車台数を減らし、土舗装にするなど簡易的な整備に留めるべきです。

 🔷半年だけの3000台駐車場!(下図の青の斜線部)

2027年国際園芸博覧会 基本計画案 (2022年7月)

この駐車場(上図の青の斜線部)は、上瀬谷の大自然を潰し、舗装されたの駐車場になります。花博期間の半年だけのために整備され、その後この土地は、テーマパーク用地になることを前提に、区画整理事業が進んでいます。テーマパークでも駐車場として利用させるかどうかは全くわかりません。

半年だけのために高額で広大な駐車場を造るのは絶対にやめるべきです。簡易的な整備(土舗装)に留め、駐車台数減らすことが必要です。

 🔷往復数時間?!パークアンドライド計画(2000台)

左)土曜正午GoogleMap交通状況(筆者が会場からの10km同心円を加筆)
右)2021年3月横浜国際園芸博覧会基本計画(案) - 国土交通省HPより

町田戸塚あたりの10㎞程離れた駐車場2か所(計2000台規模)からシャトルバスで来場者を輸送する計画です。左図(白円は会場からの10km同心円)は土曜日お昼ごろの周辺道路交通状況です。
言い過ぎではなく、この計画は早急に撤回すべきだと思います

深掘り1(里山ガーデンと上瀬谷)でも書きましたが、ズーラシア里山ガーデン(市営の園芸鑑賞場)は花博会場から直線で4km程の所にあります。(こんなに近くに同じような施設を造るのは、都市計画として愚策です。)
ズーラシアは繁忙期に3km程の路線バスが2時間(閑散期は15分程)かかることもあります。
古淵駅(町田方面へ10km)・東戸塚駅(戸塚方面へ10km)あたりから車で、現時点で平日ルート検索で片道30分程ですが、花博期間中だとどれくらいかかるのでしょうか?
会場から10kmも離れたら
そこはもう別の場所です。立案自体がおかしい。

 🔷計画どおりだと、環境に高負荷・市民生活破壊!

自家用車の休日平均を8000台超と予想する横浜市が5000台分しか駐車場を用意しないのもおかしいのですが(もしかして、そんなに人が来ないと分かってる?)、現行案の会場内・外の5000台の駐車場でも環境負荷が大きすぎます。また、このまま計画が決行されると市民生活が破壊されます。
花博の環境アセスでも指摘はされるでしょうが、答申は「軽減策を出来る限る考慮すること」というような”努力してね”の一文になるかと思います。

◆環境負荷 軽減策として実施すべき変更点

・入場者数を現実的なレベルに見直す
・会場横の駐車場の規模を小さく抑える
・会場横の駐車場を予約制にし、車での来場者を制限する
・パークアンドライド計画は撤回する
・インター新設なら尚のこと、パークアンドライド計画は撤回する
(高速から会場横に降りたら、10km先に行けと言われてしまうはめに)

排気ガス等の環境に配慮するなら、来場者試算の見直しはどうあっても必須です。このままの試算のための帳尻合わせで、10kmも離れた場所に駐車場を作ったり、遠方の駐車場からシャトルバスを走らせるのは環境負荷が高いだけでは済みません。
空っぽの駐車場の費用がかさみ、空っぽのシャトルバスが周辺を走り回り、周辺住民は買い物へ行くにも渋滞に悩まされその赤字を市民が負担する未来しか見えません。

【5】今後の混雑予測はどうなってるの?

旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業における道路計画に係るオンライン説明会 資料より

上述の通り、旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業における道路計画に係るオンライン説明会では、上図の黄緑の道路の説明しかありませんでした。
これは推測ですが、新規『2』道路や西端境界道路が記載すらしていないのは、花博に間に合わない可能性が高いからかもしれません。

土地区画整理事業の環境影響評価書では、2019-2020年の状況と比較して、「工事着工1年後」と、全ての工事が落ち着く見込みの「2046年」を想定して混雑予測を作成しています。これを踏まえて下記にまとめていきます。

 🔷これから花博開催までの交通予測

旧上瀬谷通信施設地区 土地区画整理事業 環境影響評価書工事中の交通量予測について)

今年度(令和4年度)の冬から工事が本格的に始まります。工事車両の通行量が増えていきます。区画整理事業の発生残土は運搬車12万台分となります。発生残土運搬車は工事車両の一部に過ぎないので、花博工事が本格化するだけで、生活環境は厳しい状態になるかもしれません。
区画整理事業での予測対象時期には「日曜日は作業しない」とありますので、外出は日曜日がねらい目かもしれません…

旧上瀬谷通信施設地区 土地区画整理事業 環境影響評価書花博工事中の交通量予測

上図(右表)では2019-2020年の各地のピーク予測と比較して、工事着工1年後工事用車両の運行ルートとなる4つの地点のみで行われております。工事そのものが行われる「地域社会5」(左図)がどうなるかは予測対象外で、あくまでも工事車両が通過する道路だけを対象にしており、当然起こり得る迂回による他道路の影響などは全く予測していません

右表の「限界需要率(交差点の処理能力の上限)」の現状調査では、どの地点もピーク時間帯でさえ限界を超えていないことになっており、周辺住民の方の感覚とずれているのではないかと思います。

旧上瀬谷通信施設地区 土地区画整理事業 環境影響評価書地域交通調査日時

上表が、2019-2020年に行われた現状調査の日時です。各地点で平日休日混雑時(地域社会7を除く)の24時間調査です。驚くべきことに「調査は1日」です。数週間の平均値をとっているのかと思いきや、たった1日だけのデータをサンプルに2046年まで予測しています。(市長の前歴が泣く)

また、土曜日デイタイムデータが調査対象になっていないようなのです。評価書には「土曜日8時~17時」調査記録が見当たりません。評価する前提のデータに、工事車両の増加が予定される土曜日8時~17時が含まれていないとすれば、この予測は一体なんなのでしょうか…(問い合わせ中)
交通量のピークが土曜日であろう地域の実情や、工事が土曜日に行われることを考えれば、土曜日比較元データとして反映されていない予測意味はあるのでしょうか

 🔷花博期間中はまだ予測なし!

最大13470台、休日平均で8270台の自家用車が流入すると市は試算しており(この試算は1000万人有料来場想定によるので、そんなわけないだろとは思いますが)、13470車両はともかくも花博来場車両により地域の道路状態はまともに暮らせないほどパンクすると思われます。

園芸博覧会協会は、花博期間<前・中・後>の予測はまだ発表していません(前とは展示会場などの建設期間、後は解体撤去期間のことです)。環境アセス「方法書」には調査・予測項目として記載されているので、「準備書」「評価書」を待たなければなりません。

 🔷花博期間"後"の交通予測は「2046年」のみ

土地区画整理事業 環境影響評価書 図 9.17-1 現地調査地点及び予測地点位置図

花博期間後にも多くの工事が行われます。むしろ花博後が上瀬谷周辺が大渋滞になる本格期間なのかもしれません。しかし残念ながら、花博開催後から各工事が完了するまでの期間は予測の対象外であり、この期間の渋滞予測を横浜市は行っていません2046年予測以外に存在するのは”工事車両しか増加しない「工事着工1年後」の予測(前述の「🔷これから花博開催までの交通予測」)のみです。
それぞれの事業の完了時期がバラバラで、2043年完成予定花博跡地公園の工事が続く中で、新インターテーマパーク等が先に開業する可能性が高いので、工事車両と一般車両が入り混じる予測が難しいのか、横浜市は予測を放棄しています。

🔶花博期間後から2045年
花博期間後は、総事業費555億円(建設整備費だけで355億円)の花博跡地公園の工事が本格化し、テーマパーク誘致が決定していればその工事も始まり、農業振興地区・物流地区の工事もまだ続いている可能性が高いです。これに花博に間に合わないかもしれない新インターや、事業者が決まれば新交通の工事も始まります。また、昭和32年に計画された三ツ境下草柳線(第二期以降)の工事(民地立ち退きも伴う)も始まるかもしれません。

それぞれの工事が終了すれば、テーマパークへの来場者、花博跡地公園への来場者、物量運搬車インターを利用する一般車両などで、さらに混雑することになりそうです。

🔶横浜市”2046年”交通予測とはどのようなものなのか?

旧上瀬谷通信施設地区 土地区画整理事業 環境影響評価書2046年の交通量予測について抜粋

前述のとおり、土地区画整理事業の交通混雑の予測は2046年を想定して作成されています。あらゆる工事が終了し、地域が安定してくるのは2046年ごろになると横浜市は考えているようです。
問い合わせたところ、1500万人来場するテーマパーク花博跡地公園、農業振興・物流地区、各道路工事完了による流入予測などの車両需要増減全て見込まれた予測とのことです。

土地区画整理事業 環境影響評価書 表9.17-22 交差点需要率 ※見やすく加工

上表の通り「供用時の限界需要率(交差点の処理能力の上限)は全て下回っているので、問題なし」と結論づけられています。こちらもまた周辺住民の方の感覚とずれているのではないかと思います。トップ画像のように土曜日の渋滞は慢性化しています。高めに設定されているとしか思えない限界需要率を「下まわっているから、OKだよね」と言われても受け入れられるのでしょうか。
また、瀬谷柏尾線・国道246号・野境道路・中原街道・厚木街道・保土ヶ谷バイパス・東名高速に与える影響予測一切ありません大和市・町田市への影響も一切考慮されていません

しかしながら、注目点もあります。

地域社会1(目黒交差点):八王子街道の2車線⇔4車線の切り替え地点であり、混雑悪化を予測
地域社会3(上川井IC交差点):八王子街道の2車線⇔4車線の切り替え地点に近く、休日は混雑悪化を予測
地域社会5(瀬谷中学校前交差点):環状4号線の2車線のままの地点のため混雑悪化を予測

そうです、「だいたいそうなるよね、あんまり渋滞緩和されないよね」という今でも想像つくようなレベルの状態に23年後の上瀬谷はあります。
23年待たない
と大規模な工事がない環境で暮らせず、そんなに我慢して23年経ったとしても流入車は増えるのに道路状況が改善される策はほとんど打たれないことを、周辺の方々はどれほど把握されているんでしょう。

 🔷本当の未来はもっとヒドイかもしれない

ここまで読んでいただいて、一度でも周辺を走行したことがある方はお気づきのように、この道路状態ではテーマパーク誘致には横浜ドリームランドのような末路(Wikipediaアクセス問題と経営悪化は必読)もあり得るということも、念頭に置いて今後も市政を注視していく必要があると思います。横浜ドリームランドにまつわる何を読んでも、慢性渋滞地区上瀬谷での花博・テーマパークが上手く行くイメージが湧きません。たとえ、新交通ができたとしても投資に見合うような人気テーマパークとなるかは未知数です。
また、横浜ドリームランドの事業と”後始末”にも市税が多く投入されたことも忘れてはいけません。

渋滞の問題は一朝一夕で解消できるものではありません。ここは埋め立て地ではなく、跡地を一歩でれば住宅街です。迂回するような抜本的な対策は打てないというのは明白です。
便利になるかに思える新インターも、横浜町田インターの混雑事情を考えれば、迂回利用される可能性は高いです。結局は訪れる人で混むだけでなく、高速利用車による住宅街への流入という事態は避けられません。
他には、相鉄本線アンダーパスによる瀬谷地内線の南北接続は地域の方々にとっては朗報ですが、それも花博よりずっと前からの計画であり、跡地開発による流入車の増加にどれほど耐えられるのかはわかりません。
少なくとも、「現在よりも交通状況が良くなる解決策が示された」といえる計画は横浜市は出していません

🔷ーーー🔷ーーー🔷ーーー🔷ーーー🔷ーーー🔷ーーー🔷ーーー🔷
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
改めて、上瀬谷を追うだがや1-3もシリーズでどうぞ願いいたします。

実は、深掘り4は「土壌汚染」の予定でした。ですが、上瀬谷について分かっている汚染情報は深掘り1の情報から、戦争遺構調査にて不発弾が出土(記者発表なしのため、忖度され報道されず)したこと以外に更新されておらず、旧日本軍の補給基地だったときの地図比較検証や、他の場所で起きた旧軍由来の汚染事件を追う記事になりそうで…これはこれで書くべきとは思いますが、後に回しました。
交通インフラ」と「お金」の記事を同時に進めて、こちらが先に仕上がった形です。お金の件も椅子から落ちそうになる事実もわかりました。

💖Special Thanks💖
改めて、上瀬谷の未来を考えよう会さんありがとうございます。
✨Change.org2027横浜国際園芸博覧会(花博)のために桜並木を切らないで!市民の意見を尊重し上瀬谷の開発見直しを
✨上瀬谷の未来を考えよう1-志さん『市長への質問書-
✨上瀬谷の未来を考えよう会有志さん質問書への市(長)からの回答
横浜市・上瀬谷整備・国際園芸博覧会推進室の皆様

💖参考にさせていただいたレポート💖
亜梨子さんの旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業に係る都市計画道路の変更説明会
📣11/19質疑応答
📣11/20質疑応答

本当にありがとうございます。これからもどうぞ宜しくお願いいたします💖

いいなと思ったら応援しよう!