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大久保のテニス論
みなさんこんにちは。一部界隈で部活動の残留如何について騒がせておりました大久保です。他の部員による熱烈な求愛行動や、リーグ2部3部入れ替え戦において、数え切れないほどのOB・OGが集結し、地域・世代をも超えて人間を一つにするテニスという競技の素晴らしさを再認識し、残留することを決意しました。残留にあたって、金銭面での工面が1番の課題となります。家賃以外の費用に関しては私のアルバイトの給与から出すこととなっており、今年からは納税の義務も発生します。対抗戦や遠征を盛んに行う京大テニス部に所属するということは私にとって大きな覚悟がいる決断となります。徹底的に金銭の使用を見直し、月0回の外食、月0回の飲料水の購入、ひいては米の入手経路なども見直し、本当に価値を感じるものにのみ金銭を使用するということを心がけております。その結果、1月の食費を2,218円に抑えたりだとか、後輩に率先して奢らないなどといった行動の積み重ねにより、来月の生活費は来月の給料、という状況から脱し、大きく黒字化することに成功しています。預金残高の増加とともにテニスと真剣に向き合う精神的余裕も増加しており、さらなる飛躍を目指して日々邁進していきますので応援(金銭可)の方よろしくお願いします。
さて、ここからは私なりに考えている再現性の高いテニスの上達法について少しだけ綴って締めくくりたいと思います。
まず一つ目は体力であります。ロジャー・フェデラーがいつかのインタビューで言っていたとおり、高速化し続けている現代テニスにおいて、才能のある選手よりも動ける選手が台頭してきています。素晴らしいサーブ、フォアハンド、バックハンド、ボレーを放つ選手よりも素晴らしいフットワークを持つ選手が勝利を収める可能性が高いのです。それもそのはずであり、素晴らしいショットを打てる技術を身につけたとしても、体力が尽きてしまっては発揮出来ないという状況に陥ってしまうこと、そして何より足が動かなくてはベストなヒッティングポイントを確保することが難しくなり、そもそも素晴らしいショットは打てなくなってしまうのです。適切なヒッティングポイントを確保し続けながら試合を展開出来るだけで、試合の結果はひっくり返ることもあると思われます。また、私の個人的な意見ではありますが、「身体作り」といった抽象的な目的のため、筋力をつけるといった行為は極めて危険なものであり、燃費が悪くなる可能性を秘めているだけでなく、コートにボールが収まらずミスを重ねてしまうという危険性もあります。また、筋力をつければボールの質が上がるというのも相関関係であるのみで、因果関係ではありません。テニス部随一の非力代表である大久保と川勝さんですが、ボールスピードはテニス部随一であります。このことからも、ボールの威力というのは筋力のみに決定されないばかりか、「体の使い方」によって決定される割合が極めて高いと考えます。しかも、力を伝える感覚を磨くというのは、パワーで相手を圧倒する武器になるばかりでなく、最小限の体力で試合を展開出来るようになるという利点もあります。このような理由により、テニスに全ての時間と労力を注ぎ込めるわけではない大学生プレイヤーにとって筋トレとは費用対効果の低い行為だと私は考えるのであり、そこで筋トレしている理由を尋ねたところで、「身体作りをしたい」「強いボールを打ちたい」などといった抽象的な言葉、的外れな言葉ばかりが返ってきます。筋トレしている時間を全て走り込むことに費やすことができるなら、飛躍的にテニスのレベルが向上すると信じています。
二つ目はクロスラリーのクオリティです。テニスとは相手との駆け引きが生じるスポーツであり、いかに相手よりも自分が繰り出す攻撃が有効となるのかが勝敗を決定するのです。そこで重要となってくるのが攻撃の起点となるショットです。もちろん、サーブが得意な選手、ボレーが得意な選手等がいることは理解していますが、そのような選手にとってもクロス打ちは必須の技術であると考えます。そもそもストローク戦が主流の現代テニスにおいて最も基本となるショットであるのがクロス打ちです。ネットは中央になればなるほど低く、距離も長いことから最も成功率の高いショットであり、ここでの打ち合いで優位に立てることほど簡単な試合の勝ち方はないと考えます。成功率の高いショットで自分の攻撃を展開していくのです。しかし、ここでいうクロス打ちとは単にスピードボールを放つことができるようになることを指しているわけではありません。クロスラリーには2つのポイントがあると考えており、1つ目は相手に攻撃されないこと、2つ目は相手から甘い返球を引き出すことです。1つ目のポイントに関しては言うまでもなく深さが大切になります。相手がボールを打つ位置を押し下げることで、自陣に返球されるまでの物理的距離を稼ぐことができ、相手は有効な攻撃を繰り出すことが難しくなります。2つ目のポイントとしては様々な方法が考えられます。ボールスピードを上げる、相手の少し浅く入った球をすかさずタイミングを上げて返球する、ショートクロスやミドルクロスに配球することで相手の体制を崩す、などここはそれぞれの選手の個性が問われる場面だと思います。クロスでの打ち合いで、相手の有効打を封じ、自分の攻撃をねじ込んでいくことが勝利を掴む近道なのです。
三つ目は締めくくることができる能力です。クロスラリーで優位に立ったとしてもそれをポイントに繋げなければ意味がありません。そこで重要となってくるのがラリーからネットプレーへのスムーズな移行だと考えます。クロスラリーで優位に立ち、オープンコートに展開、そこからネットに繋げて相手のパッシングショットによるミスを誘う、もしくはノーバンで返球することで相手の守備範囲外にボールをコントロールし、ポイントを締めくくる。これが出来れば、相手からフォースドエラーを引き出せるどころか、甘いボールは打てないというプレッシャーからアンフォースドエラーを引き出すことも可能になると思われます。テニスはミスによって大半のポイントが決定するのにも関わらず、徹底的に自らのエラーを抑える部員がレギュラーに食い込めていない状況を鑑みるに、相手のアンフォースドエラーのみで試合を制することは一定以上のレベルからは困難になるのであり、彼にはフォースドエラーを引き出す能力が決定的に欠如しているのです。相手への圧のかけ方を身につければ彼はブレイクスルーすることは間違いないでしょう。
以上が私が考える、再現性の高い上達法です。無限の体力でクロスラリーを制し続け、チャンスが来ればしっかりと得点に繋げることができる。確かに、テニスにはこれだけでは語れない非常に多くの問題が複雑に絡み合うスポーツであることは間違いありませんが、勝敗に最も関わってくる要因であると考えています。