人を診るということ

80代半ばの女性が、膝の痛みの相談で来院されました。
お話しを伺うと、日ごろは足裏に樹液シートを貼ると楽になるのが、今回はなかなか良くならないとのこと。
身体を拝見して施術を行い、簡単なセルフケアをお伝えしました。

次の受診のとき、開口一番でおっしゃったのが、
「センセー、樹液シートが効いてきました!」
ちょっと可笑しくなったのですが
「それはよかったですね」とお話しし、改めて身体を拝見しました。
その後も順調な回復をみせ、同時に樹液シートの評価もうなぎ上り!!(笑)

そして最後は私から
「樹液シートを貼っても、良くならなかったらまたいらしてくださいね」とお伝えしていったん終了。
クライアントも嬉しそうでした。

誰もがそれぞれ、他人が完全に理解することは難しい、嗜好や思考、
信念や信仰、長年の習慣を含んだ自分だけの世界や物語の中で生活をしています。

そこへ頭ごなしに常識や科学的な正確さを振りかざしたところで、素直に受け入れられるとは限りません。
むしろ反発されることもあるでしょう。

臨床でもっとも大切なことは、クライアントが望む生活に適応できるようにすること。
そのためには、仮にクライアントの考えが正確性に乏しいとしても、年齢や理解力を鑑みつつ、健康被害が生じたり、社会的・経済的破綻をきたす危険性がなければ、物語を書き換えることなく見守ることが望ましい場合もある。


これも「人を診る」ということに通じるのではないかと思います。
今回のクライアントが、80代ではなく仮に20代だったとしたら、ちょっと対応は変わったかもしれませんが。

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