自分の中の『先生』を育てる
私が手技療法の基本をお伝えする中で、特に大切にしているのが「楽操」つまり楽に操作するということ。
自分にとって楽に操作できるからこそ、正確な評価ができ、的確な介入ができると考えています。
聞くと当たり前だけどこれがなかなか難しく、その自覚すら持てていない場合も少なからずあります。
だから練習中に私が質問することはほとんど
「楽に出来ていますか?」
ということ。
そこから楽に操作していくために必要と感じたアドバイスをするのですが、
形を覚えることを通して感じ取っていただきたいのが、前後の感覚の変化です。
この感覚の変化こそ、十分に味わって覚えていただきたいもの。
楽でない状態から楽になったという感覚の変化。
楽でなかったと自覚していなかったことに気づく感覚の芽生え。
その感覚を育てていくことで操作をしている時、より敏感に違和感を持てるようになり、早期に対処できるようになります。
手技療法は他者に行うものなので注意がそちらに向きがちになり、自分への意識がおろそかになりやすく、それによって無理が続くと自分の身体を傷め、技術の精度を低下させてしまう。
だから尚更、気づきの力を養う必要があると私は思っています。
気づきの力が養われてくれば、自分の中の「先生」となって私たちの身体を守り、上達への導き手となってくれます。
講師として私が特に意識しているのは、技術の伝達を通してその人の中の「先生」を育てるということ。
これが育てば私は不要の存在になる。
大げさに聞こえるかもしれませんが、気づきの力はやがて人格にも影響を及ぼし、生活にまで波及すると「幸せを感じる力」になっていく。
私自身の経験からそう感じています。
だから手技療法を実践面だけではなく、自分自身を育み、人生をより豊かにするために学ぶものとしたい。
これが私の願いであり、そのような思いでいつもお伝えしています。