
[日記]トルコに行くまでが長い①
今回の旅行、行先はずっと前から行きたかったトルコにした。
スリが出ると聞いてビビり、リュックに鍵をつけて(気休め)
食あたりした人の話を聞いてビビり、薬と消毒ウェットシートを買い込み(気休め)
気温の高低差にビビり、寒さ対策グッズも入れて
パンパンになったキャリーケースとリュックをもって、はるばる羽田空港までやってきた。
ここからドーハ空港に行き、乗り継いでイスタンブール空港に向かう。
今回のツアーは現地集合現地解散なので、トランジットは1人である。ちなみに初めてのトランジットだ。そして1人で飛行機に乗るのも初めてだった。
ドーハ空港に向かう便は夜中の12時出発だが、地方の田舎空港からだと、夕方6時に羽田空港着が最終便だった。ツアーとセットの安いチケットだったからかもしれない。
こうして私はゆうに6時間、羽田空港で暇を潰すこととなった。
キャリーケースはイスタンブールまで運んでくれるらしく、少し身軽になって国際ターミナルへ向かう。
ちなみに国際ターミナルも初めてだった。
テレビで特集が組まれていたときのことを何となく思い出す。ここでしか食べられない牛丼と橋があった気がするという情報しか無かった。
第一印象は、いかにも外国人受けしそうなビジュアル!という感じだ。
私からすれば物珍しくて、ずっとウロウロしていた。たとえば本屋にある外国人向けのガイドブックをみてすら、なんだか感動していた。1番気に入ったのはプラネタリウムのあるカフェである。また行きたい。
機内食が出ると聞いていたため、ガッツリ晩ご飯は避けておいた。代わりに治一郎のバームクーヘンを展望デッキで食べる。ふわふわで美味しい。でもふわふわで腹持ちがよくなさそうであった。
時間はちゃんと過ぎていき、チェックインカウンターに並んでいた時の事である。
端末をもったスタッフさんが、並んでいる客の列をまわり、ピピーッとこぎみよくパスポートを次々スキャンしていく。私の番以外は。
私のパスポートを読み取る。ピピーッと音が鳴るも、首を傾げるスタッフさん。もう一度読み取る。が、
「チケットの情報が入ってないですね(端末に)」
「え…」
私の旅は国際ターミナルで終わってしまうのか。まだバームクーヘンしか食べてないのに。
本部で確認してきますーとEチケットをもって去っていくスタッフさん。
そのまま並びながら、私はなんだか手首の身体側の方が痒くてポリポリかいていた。ちょっと腫れていた。なお内心は震え上がっている。
ここまで来て、私はドーハにすら行けずに帰るのかしら、そして空港で一夜を過ごすことに…と悪い方に想像が働いていると
「お待たせしました、確認が取れましたー大丈夫です!」
良い報せである。やれやれほっとした。
と思っていると、なにやら手首が痛い。さっき痒かったところが痛い。
見るとさっきより腫れが酷い。だいたい手首の外側の骨と同じくらいの大きさである。あれ、どっちが骨が分からない。
さっき展望デッキで刺されたのかな…
あれ待てよ
ここ空港じゃないか
しかも国際線じゃないか
まさか
〇アリ とか セ〇カゴケグモ とかそういう…
いやいやいや空港の人達がちゃんと水際で止めてるし
でも刺されて痛いとか蚊じゃないし、腫れが尋常じゃないし、なんかそういえば、クラクラする気がするし
いやいやいや蜂とかアブとか色々あるし、それだと結構腫れるし、クラクラするのはお腹空いてるのと慣れない場所うろついてたからでしょ
でもさ…
という押し問答が頭の中でうるさかった。
問答してる間にチェックインは済んでしまった。通路側の席が取れて嬉しい。
いやそうではなく。
どうしよう、空港のスタッフさんに言って薬でもつけてもらうか…でもただの虫刺されだしなあと結局何もせず保安検査に進んだ。
進むのかよ、と自分でも盛大にツッコんだ。
進んだ先で、なんだかさらに具合が悪くなってきた。目眩がする。今考えれば普通にお腹がすいていただけである。
でも1人だと、想像は悪い方向へフルスピードで猛進し
私、トルコで死ぬのかもしれない
と思い始めた。
そうするとトルコが最後の旅行になってしまう。
あれ、でも最後の地がトルコって良くないか?
ずっといきたかった場所で最後を迎えるってなんだか良いかもしれない。
と思い始めた。本気で死ぬとは信じてないからこそ、ここまでお気楽なのである。
腹ぺこ女のただの妄想である。
たぶん私が本気で異国の地で死ぬ可能性を考えると、保険の費用が降りるかどうかが不安で死ねない。
しかしその時の私は、この旅行が人生最後の旅のつもりでこれから旅行を楽しむと決めた。
最後の旅ならなんだってできる気がする。全部ワクワクしていた。
でもどこまで死ぬ気でやれるかは謎であった。