詩)なぐさめに
昨年10月、同じ市内に住んでいた妹の旦那さんに急な転勤が決まり、妹夫婦は北九州の方へ行ってしまいました。
妹がこちらに居た時は、ほぼ日に1度はうちに来て、母の用事と犬のヒデ蔵の世話(散歩、ご飯、シャンプー等)をしてくれていました。
ですから、ヒデ蔵は妹が大好きなのです。
その妹が月に1度数日泊りで、母とヒデ蔵の世話をしに帰って来るのですが、それがこの前の3連休でした。
妹が来たのが、車のエンジン音で分かるのでしょう。
ヒデ蔵は車が駐車場に入って来るなり、小躍りして長い尻尾をちぎれんばかりに振るのです。
妹も母に顔を出した後に、ヒデ蔵の傍に来てひとしきり撫でてやると、一緒に散歩へと出て行きました。
日に2回の散歩、遊んでもらいシャンプーしてもらい、ヒデ蔵は久しぶりに至福の数日を過ごしたのです。
数日後、妹は帰る前夜私の部屋に来て、明日はヒデ蔵の顔を見ずに、早朝発つからといって出て行きました。
ここからは、ヘルパーさんから聞いた話です。
翌早朝、車のエンジン音がしたと思ったら、ヒデ蔵は慌てて駐車場の方へ駆け出して行ったそうです。
妹の車は既に駐車場を出たところで、その車の後ろ姿を、ヒデ蔵は尻尾を下げたまま、寂しそうな顔してずっと眺めていたと。
ヒデ蔵よ、切ないなぁ…
でも、またしばらくしたら妹は、お前の顔を見に帰って来るから。
また…、帰って来るから。
『なぐさめに』
淋しがらず
それは君だけじゃ
哀しがらず
誰もがどこかで
堪えるだけの
今ひと時を
やり過ごして
蘇る記憶に
「無」になる事を
前提に生きて
生きてしまえば
別離はただの
一過性の
些細な感情の錯乱と
君に
そう言ったところで
いつもの君に
戻るわけもなく
僕は何を言えば
君の慰めに

〜〜〜〜〜〜下が加工前の画像〜〜〜〜〜〜