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中山美穂さんといっしょに演奏した日のこと

2004年の事だ。
私は、友人であるミュージシャンのキオトさん(元 Qujila)の写真展を観るために、渋谷のライブカフェに行った。
個展の写真展ではなくて、同じくミュージシャンの山口ともさんとの「二人展」だった。
会場に着くと、二人が撮った写真がたくさん展示されていて、二人ともその二人でなければ撮れないような作品になっていた。
会場には楽器もところ狭しと並べられていて、私は会場にいたキオトさんに「演奏するの?」と聞くと「もう少し遅くなってから、二人で即興演奏するよ」と回答された。「ゆるい即興だから、松島君も参加すれば」とも言われた。
そんな会話をしているうちに、会場には清楚な感じの美女がいつの間にか来ていました。
その美女は、中山美穂さんでした。
二人展のもう一人、山口ともさんは打楽器奏者で、中山美穂さんのコンサートのメンバーらしい。ああ、なるほど。
「でも、本当に来てくれるとは思ってなかった」
と山口ともさんは言いました。
当時の中山美穂さんは、キリン一番搾りのCMでは、色っぽさを感じさせる絵づくりになっていました。
ところが、目の前の中山美穂さんは、黒いワンピースで極めて"清楚"な印象で、色っぽいという感じではありませんでした。
…さて、時間がたって、置かれた楽器を使って即興演奏が始まる事になりました。
打楽器奏者でもある私は、案の定演奏に呼び込まれ、持参したダルブッカ(アラブの太鼓)を手にしました。
さらに、山口ともさんは、中山美穂さんも演奏に呼び込みました。
おそらく、山口ともさんが自分で作ったらしい、木琴のような楽器があったのですが、中山美穂さんはそれを手にしました。私は思わず言いました。
「木琴からスタートしませんか?」
中山美穂さんは、素直に手探りのように木琴を鳴らし始めました。
我々はそれに乗っかるように、キオトさんはウクレレやサクソフォンを鳴らし、山口ともさんと私は打楽器を鳴らしました。
なお、会場で聴いていた聴衆が何人かいたのですが、しばらく即興演奏が続くと、やおら立ち上がって、会場にあるピアノに向かうひとがいました。
その人は、中山美穂さんのコンサートでピアノやシンセサイザーを担当する人だったのです。
その人は、ノリノリのピアノを弾き始めました。満を持して、爆発してくれた感じです。結局、そのピアニストが即興に決着をつけてくれた感じで、楽しい演奏が終わりました。
中山美穂さんから、私は名刺をいただきました。その名刺には、彼女のサイトのURLしか載っていません。
「うちのサイトで曲を売るようにしたんです。そのうち何か手伝ってください」
と言うよう事を言われた記憶があります。彼女は、私をプロのミュージシャンだと勘違いしたのでしょう。だから名刺を下さったのですね。
家に戻って、彼女のサイトを観てみると、なんと映画『ブエナビスタ・ソシアルクラブ』にも登場するオマーラ・ポルトゥオンド(キューバの歌手)の曲を、彼女がちゃんとスペイン語で歌ったものを売っていました。私はダウンロードして聴きました。とても素直にスペイン語で歌ってました。

その後、一度も中山美穂さんにはお会いしてません。考えてみると、中山美穂と「いっしょに演奏した」という人は決して多くないのではないでしょうか?

本当に亡くなってしまったの?

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