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里親について学んでみた

先日、保育士試験を受けた話を書いたのですが、それに関連して
里親入門講座に参加したので、そこで学んだことについて書こうと思います。

保育士試験を受けた話はこちら(ことばWeekly その9)


保育士試験の「社会的養護」とは?

保育士試験の科目の中に「社会的養護」という科目があります。
保育の現場では、単にご家族からお子さんを預かって保育する、というだけではなく、様々な環境に置かれている子どもと関わる環境や状況もあり、それを社会的養護といいます。
法律や用語の方法や条件などが出題され、「社会的養護」は「教育原理」という科目と共に他の科目の半分の問題数、回答時間で出題され、両方同時合格が条件のため「ニコイチ科目」と言われています。
わたしは保育士になりたいというより、保育の理解と解像度を上げるために学んでいたので、試験後、この社会的養護をさらに理解したく、自治体が開催している里親入門講座を受講してみることにしました。

里親は「子どものため」

今回の結論はこれです。様々な家族の形が増え、いろんな立場から里親というものに興味を持つ人に伝えたい。私も独身の身ながら、社会のお役に立てるなら、里親になってみたい、と思っていたのですが、正直、そんな生ぬるい気持ちでは、絶対に里子を依頼されることはないだろうなと痛感しました。
なぜなら、里親は「こどもを最優先にできること」が大前提だからです。子どもがいないから、子どもが産めないから、家族が欲しいからなど、本人たち視点の「子供が欲しい」から一歩進んで「子供を幸せにしたい」を言葉だけでなく、体現できる人でないと、里親として認められることはないと思いますし、その覚悟を持って里親について考えてほしいなと思いました。

入門講座に参加して

入門講座では、児童相談所の職員の方が、社会的養護の仕組みや養子縁組と里親委託の違い、どんなふうに育ててほしいのか、里親になるまでの流れ、委託された後に経験するであろう課題や知っておくべきことを案内いただき、実際に里親/養子縁組された方の話を聞くことができました。保育士試験で学んだ内容や、ネットで調べるとわかる情報もほとんどでしたが、実体験など、よりリアルに理解できたと思います。

里親に求められること

自分の子どもなら、子どもを多少放任で育てて、自分の時間も大切にすることもある程度は容認されることもあると思いますが、里子はそうはいきません。過酷な環境で育った子どもや、愛情に飢えている子どもたちに、十分で独占的な愛情を注いでほしいから、里親に委託するわけです。そして児童相談所は自治体の組織ですので、そうやすやすと動機のはっきりしない人に子どもを託すことは絶対にできない。そのため身元の審査は厳格ですし、目的も何度聞かれてもブレないような方でないと、安心して委託してもらえません。子供に好かれる、とか、愛情がある、とかよりも「児童相談所の職員に自己開示でき、円滑なコミュニケーションができるスキル」「里子のために積極的にコミュニティに参加しつながりを構築できる社交性」を身に付けていないと、まず選ばれないだろうなと思いました。

出羽守になる前に

里親やステップファミリーの話になると、海外の進歩的な事例を取り上げ、日本ももっと寛容に里親を増やすべきだ!という海外「では」○○、という話も聞かれるのですが、私は今のまま慎重であるべきと思っています。日本の里親制度は、親になる人間が私立の孤児院から選んできた子を育てる、というようなファンタジーではありません。

  • 里親になるには何回も面談や身辺調査をしたうえで都道府県から認められる必要がある

  • マッチングについては双方の特性で児童相談所が選ぶ

  • 里親として認定されるのは5年間で、都度更新が必要

  • 待っている期間などを考慮したりはしない。保育士・教師など、子どもを育てた経験のある人は優先、重宝されることはある

  • 1家族当たりの受入人数が決まっている

  • まず候補に選ばれた後、毎週決まった日に会いに行くなど、受け入れるための手順が決められている

上記のどれもこれも「子供の幸せと安全を最優先」しているゆえの施策です。里親、やっぱやーめた、とか、別の子が良かった、とか、自分たちの時間が大切だから他に預けたい、ということにならないよう、何重にも警戒して、やっとマッチングしているのが現状なのだと感じます。

里親になりたいあなた(たち)に

国としてもできるだけ里親委託を進めたいと考えている中で、さまざまな人たちに里親の門戸を開いていますよ、というのは事実です。ただ、一方で

  • 男女カップルで専業主婦の家庭

  • 子育てが終わったシニア世代

  • 実家暮らしの保育・教育・看護職の経験者

などと同じくらい、自分や自分たちの方が、「子どもに十分な愛情を与えることができて、周囲と協力でき、安心して子どもを託せる相手であるということ」「委託される前から委託の終了までずっと証明でき、児童相談所の職員や、手を差し伸べてくれる里親会のメンバーと良好な関係を継続できる人」だということを、言葉だけでなく行動で示していけるひとでないと、おそらくエントリーするのすら難しいと思います。委託の見込みのない人を管理するのも不要なコストがかかるでしょうし。
とはいえ、単身世帯が4割になろうかとしている現在の日本で、児童相談所が期待するような絵にかいたような家族が確保できるのかという課題はあります。だからと言って、基準を緩めるというわけにはいかないので、委託件数が上昇するのは難しいんではないかな、と感じるところです。

今回の講座を受講して、里親を行っている人たちをリスペクトするとともに、こうして発信だったり、自分のできる形で、子どもの幸せを支援することもできるのではないかと感じました。これからもアンテナを張って見守っていきたいと思います。


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