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「調べる」「発明する」とは「こういうこと」です ~ その場で実演しながら進むのが「企業内”発明塾”」
こんにちは。楠浦です。
弊社は
「企業内”発明塾”」
を、
「実働支援」
サービスと呼んでおります。
「塾」
という名称と、弊社の他のサービスの内容から、”発明塾”を教育サービスとして捉えていただく場合が多かったのですが、どこかで書かせていただいた通り、教育目的で行った過去事例が、少なくとも数年(1-3年程度)以内で
「あまり、結果につながっていない」
という独自調査の結果、
「必ず結果が出る/結果を出していただくサービス」
として、5年ほど前に再出発しました。
もちろん、実施いただいているものは、教育(スキル習得)目的を兼ねている例が多いと思いますが、いつも申し上げている通り
「結果が出れば、人は育つ」
「結果が出てないのに、身についたと言われても困る」
という考え方で、あくまでも
「必ず、結果を出していただく」
ことにしています。
前置きが長くなりました。
● 「講義」ではなく、「実例」での「実演」を交えた「実践」~即興で結果を出すことが学びにつながる
行っていることは、過去の
「学生さん向け発明塾」
と全く同じです。つまり、
「各自が、情報やアイデアを持ち込み」
それにもとづいて
「全員で調査と発明討議を行う」
スタイルです。今日何をするか、次回何をするか、それまでに何をしていただく必要があるか、など、必要最小限の説明は行いますが、
「講義」
のようなものは行いませんし、何か、
「お決まりのパターン」
にしたがった、作業や討議を行うこともありません。
僕が行っているのは、例えば
「僕だったら、その続き、こういう風に調べますよ」
と、その場で
「即座に調べて、その結果をリアルタイムで共有する」
こと、および、
「その先、例えばこういうことが考えられますね」
と、情報を探しながら、どんどんアイデアを出していくことです。
その場で出てきた情報にもとづいた、即興的な
「調査・発明実演」
「調査・発明実況中継」
のイメージに、近いですね。
20代のころ、夜な夜なブルースやジャズのセッションに通い詰めた成果でしょう。
その場で、モチーフ(Motif)とキー(Key)を決めて、即興演奏をする、というのを何時間やるわけですが、当時はそれが楽しくて仕方がありませんでした。
定型的な演奏ではなく、与えられたモチーフを、うまく
「育てながら」
新しいものにしていく、だけど、元のモチーフとのつながりを感じさせる、そういう演奏が求められるのが、ブルースやジャズの
「インプロビゼーション(improvisation:即興演奏)」
です。今は、発明と知財の世界で同じことをやっている、と言えます。20代から、何も変わってませんね。
● 「実例」で実践し、「リアルタイム解説」しながら、結果を出し続け、身につけていっていただく~結果が出るまで考え抜くことで「変化」が起きる
模擬事例のようなものは、
「発明を学ぶ」
上で、あまり意味がない、つまり、結果につながるほどの
「発明力向上」
が生じない、というのが
「学生向け発明塾」
での10年の実践結果です。
見せられたこと、説明されたこと、理解したことが
「自身の思考回路と統合される」
ところまでいかないのだろう、と推測しています。
「考え抜く」
ことによってしか、起こらない変化、つまり
「神経回路の繋ぎ変え」
がある、と考えています。これは、今後の神経科学の研究成果を待ちたいところです。
神経回路の繋ぎ変えがどの程度生じていて、それがどの期間維持されているかは、測定できるはずです。超小型CTなどが、一部の医療現場で使われていることは知っていますので、そういうデバイスを、発明の現場に投入したいと考えています。
「発明の科学」
ですね。
僕の”技術者”としての長年の夢のひとつです。
今後、弊社で研究したいと考えていますが、研究したい研究機関の方がおられましたら、共同研究も可能です。むしろ大歓迎です。
創造性が開花していく瞬間を科学する、というのは、発明塾でぜひとも行いたいことの一つです。人類の英知についての神秘を、1つ、解き明かせる、千載一遇のチャンスだと考えています。それを、誰かが一人で独占すべきだ(してよい)とは、僕は考えません。
ご連絡は以下へ。
● 実例で「即興」で結果を出し、「振り返る」ことで落とし込む~「いっぱいいっぱい」になって自滅しないために
学生さん向け発明塾、および、企業内発明塾で
「義務付け」
ていることの一つに
「振り返り」
があります。以下でも、取りあげました。
教育・トレーニング分野の言葉を使うなら
「強化学習」
になるでしょう。
その場で、自身の考えていることについて、
「即興」
で、どんどん情報とアイデアが飛び交い、
「あれよあれよ」
と、発明討議が進む。
これには、良い点と悪い点があります。
良い点は、(うまく進めば:意味は後述)
「短期間で、素晴らしい成果が出ること」
です。
悪い点は
「あっぷ あっぷ」
「いっぱい いっぱい」
になって、何が起こったかわからない、ついていけない、という現象が
「一部の人に、一時的に」
起きる可能性があることです。
「能力が、大きくストレッチされている」
と解釈すれば、悪いことではありませんが、繰り返し、長期間にわたり起きると、挫折につながりかねない現象でもあるので、要注意です。
そのために
「振り返り」
を義務付けています。
「あっぷ あっぷ」
な人ほど、時間をかけて、振り返るよう、指導しています。
● まとめ~結果にコミットし、実例・即興・実演で進め、振り返りを行う
発明や創造性に関することは、
「わかっているようで、ほとんどわかっていなかった(わかっていない)」
ことが、わかっています(笑
僕の手元にある、古今東西の様々な
「発明」
「創造性」
の手法などに関する書籍や論文を見ても、
「内容は、どれも変わり映えしない」
と感じるからです。
膨大な蔵書がありますが、どれも変わり映えしないため、ごく一部の必須図書だけ、発明塾ではリストにして公開しており、あとは、参加者に、
「必要に応じ、必要な書籍を紹介する」
にとどめています。
これも、
「科学されていないから」
だと考えています。
皆が、(理屈も証拠もなしに)好き勝手に、いろいろなことを言っているのです。
いい迷惑です(笑
しかし、(企業の)現場では、科学されていないから結果が出ない/出せない、という言い訳は通用しません。
「何かわからないけど、上手くいく」
というところからしか、始まらないことも多い、というのが、僕の
「技術屋(科学者ではない)」
としての経験からくる、持論です。
内燃機関の設計理論は、9割以上、そのようにして出来上がったものです。
Kawasaki 入社直後、設計マニュアルに書いてある式や数字について、
「理論がない」
ものについて、上司や先輩に徹底的に聞きまくりましたが、
「んー、それ、俺も聞いたけど誰も知らんねんなー」
で終わったことが、どれだけあったか(笑
開発現場でも、
「よくわからんけど、何回繰り返しても素晴らしい結果が出るから、現状、これをよしとして使うしかない」
ということが日常茶飯事でした。後で、(道具がそろえば)サイエンスすればよいのです。
発明塾の発明理論/発明法も、そのようにして
「膨大な実績の裏付け」
の上に、出来上がり、また、進化し続けているものです。
「10年の蓄積」
が、みなさんを支えています。
今後は、発明をサイエンス(科学)することにも、取り組みたいと考えています。
楠浦 拝
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