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年末年始)ポスト・コロナに向けた「新規事業」の考え方~日・米・中のトップ企業のIR資料分析に基づきアドバイスしていること
楠浦です。仕事柄、特に、それぞれの分野での
「トップ企業」(規模は問わない)
のIR資料を、毎日のように読んでいます。
携帯電話があればトイレで読めますので、1日一社、など決めておけば日米中の主要企業のIRは、年に一度は目を通せます。
アナリストレポートなどを購読すれば、手間を省いて、さらに200‐300社は情報が取れますから、年間500‐600社のIR情報に、ある程度の深さで目を通せます。最近は、本を読むより、もっぱら
「特許とIR」
を読む生活に戻しており、2021年もこの方針です。2015年ごろからしばらくそういう生活をしておりましたが、最近は本の量を少し増やしていました。しかし最近、読んで、これは!という本に出合う確率が「ガクン」と減ってきました、、、。Youtubeも、ここ2カ月ほど時間をかけて色々見ましたが、よほどの人のチャネルでない限り、情報量/時間という意味では、やや効率が悪い感があります。全く新しい分野や、速報性、という意味では面白いのですが、時間配分は見直そうと思います。
さて、本題です。
年末にかけて、知人も含め、多くの経営者の方から
「2021年/ポストコロナを見据えた新規事業を、どう考えればよいか」
というご相談を、けっこういただきます。
そこでお答えしたことを、備忘録を兼ねて、ここにまとめておきます。
「新規事業の必要性を感じているが、どう手をつければよいかわからない」
という経営者の方の、年末年始の経営方針見直し作業のご参考になれば、幸いです。そういう時間が取れるのは、年末年始かGWぐらいしかありませんから、ここで考え直さないと、また、日々の業務に埋もれる羽目になります。私が、経営者の方に
「壁打ち」
を提案するのも、これが理由です。
「アポ入れて時間を取らないと、そもそも、新規事業のことを考える時間も取れない」
という方が、けっこう多いからです。前置きが長くなりましたが、中身へ入りましょう。
コロナが終わろうが終わるまいが、変わるモノは変わる、それを頭に入れて着手する
まず、ご相談者の多くが
「コロナ、いつまで続くでしょうか」
という質問を口にされますが、この質問は
「時間の無駄の筆頭」
です。
「誰にもわからない」
からです。中長期的には、根絶するでしょうが、それまで待っていたらあなたの会社はなくなるでしょう(笑
1-3年ぐらいを目途にアクションを考えるのであれば
「コロナが続こうが、そこからある程度回復しようが、変わるものは変わる」
と考えることです。
となると、次の質問は
「では、必ず変わる(だろう)ものは何か」
です。それが、コロナにより加速するならラッキー、コロナが落ち着いて、見通し通りに戻れば、見通し通りなのだから問題ありません。それ以上コロナのことを考えるだけ、時間の無駄です。
例えば弊社では、13年前から完全在宅勤務なので、コロナであろうがなかろうが、働き方は影響をほとんど受けていませんし、今後も受けません。いずれそうなるはずだと「先取り」「先読み」していた未来が、コロナで加速してやってきただけです。
日・米・中のTOP企業(ニッチ~グローバルまで)のIR資料を読むと、やはり、ほぼ同じことを言っている企業があり、そういう経営者の方が居られます。先に行く企業とは、結局そういうことを考えているのだと感じます。読めばわかります。
私がグダグダ言うより読んでいただいた方が早いので、ご相談をいただいた際、内容をよく伺った上で、「この企業のIRと特許を、読んでみたらいいですよ」というお話をします。
読めばわかります。
コロナで無くなったもの、これがしばらく続くと無くなるもの、は「すっぱり」捨てる
これもよくあるのですが、
「しばらくしたら、また良くなるでしょうか」
というご質問。大半の方の質問の意図としては
「様子を見ていて良いか」
ということだと思われるので、
「良くならない前提で、捨てるものは早めに捨てたほうが良いですよ」
とお話をします。僕は、既存事業やアセットを、以下の3つに分けることを勧めています。
① もうすでに無くなったモノ、無くなりつつあるモノ、もう少し続くと無くなるだろうと思っているモノ
② コロナの影響はほとんど受けていないモノ、受けないモノ、受ける理由が見当たらないモノ
③ コロナの影響で変化が加速して成長しているモノ、成長の兆しを日々感じているモノ、成長しそうだなと考えるモノ
数字+現場に出ていて感じること、を整理すれば答えは出ます。企業内発明塾でいつも指導している、
「ハードな証拠」(弊社商標)
「ソフトな証拠」(弊社商標)
の話です。数字だけではわからないこと、に、差別化できる大きなチャンスがありますから、「ソフトな証拠」(感じたことなど)は、とても重要です。
「感覚」のような「ソフトな証拠」(暗黙知レベルにとどまっているモノ)と、「IRや特許」のような「ハードな証拠」(形式知化、数値化・言語化されているモノ)を結び付け、つなぎ合わせて戦略を立てることが重要です。
コロナの影響を受けないモノは、徹底的に合理化する
①は上で「捨てましょう」で済ませました。捨て方(撤退戦略)も色々あります。弊社で申し上げると、2008年のリーマンショックで、特許情報調査の事業から撤退しました。
その後、倒産した特許調査会社もありましたし、調査事業を抱えて低迷した会社も身近にありましたので、正しい判断だったと思います。もちろん、その後、需要は戻っていますが、僕が経営者としてバリバリやっている間に
「また来る」
としか思えませんでしたので、撤退しか選択肢はありませんでした。人が絡むので、完全撤退に3年かかりました。僕は、事業は捨てても人は切りません。この辺は、経営者によると思います。撤退戦が長引くと、残る人にかなりの我慢を強いてしまいますので、スパッとやめる方が良い場合もあります。これも、残るメンバーとの調整、などが大事でしょう。人は生きています。会社は人の集まりです。
コロナの影響で変化が加速して成長しているモノに、経営資源を集める
①と②は、③のための手段です。経営資源が浮かせなければ、次の手が打てません。これは、普通の社員さんレベルではなかなか理解されないので、経営者がめちゃくちゃハッパかけないと進みません。経営資源は有限です。あれやこれや、はできません。できても、「徹底できない」ので、いずれ負けます。いずれ負けることは最初からやらない方が良い、というのが僕の考えです。普通の社員さんは
「合理化=クビ」
みたいに思ってしまうのですが、そうではなく
「成長するために、合理化が必要」(資源を浮かせて、もっとワクワクできる次のことをやろう!)
なのです。これがわかる人はいない、と思って、粘り強く説明し動かしていく必要があります。運よくわかっている人でも、他の人を説得するインセンティブはないので、必ず流されてしまいます。経営者にしかできないこと、それが
「資源配分の意思決定」
です。「やめる」と「合理化」は、その大きな(最初の)2つです。
資源もないのに新規事業とか言っても、何も始まりません。
「コロナの影響で変化が加速して成長しているモノ」がない、では、どうするか~新規事業の検討をする前に
ここまでは、「成長している事業がある」前提です。しかし実際には
「どれもじり貧です」
「事業と呼べるものは1つしかありません」
という企業もあります。では、どうするか。
①撤退 ②合理化 は、同じです。それをやらないと
「新規事業の検討」
すら、始められないからです。ジリ貧な事業について考えること自体が、
「会社で最も希少な資源である、経営者の時間と頭脳」
を無駄遣いしています。すぐに撤退できないくても、
「道筋」
が見えていれば、頭脳は空けられますので、新規事業検討に着手できます。経営者が方針を示せば、周りの力も借りられるからです。具体論は外注できますが、意思決定は外注できません。
僕は、ずっと製造業にいたので、
「改善による合理化」
で資源を浮かせて次に投資する、というロジックが体に染みついています。昨今の不況だと金利もすごく低いので、スジの良い事業計画が立てられれば、
「事業化を加速するための資金」
は、銀行から調達(お借り)できます。ですので、まず
「最初の一歩」
が検討できるだけの、時間と頭脳を浮かせればよいわけです。そんなに難しいことではありません。特に、弊社の主要なクライアントである製造業系のところでは、撤退はともかく、合理化はお手の物だと思いますので、それをしっかりやって、社長が次のことを考える時間と「お金」をつくることです。
なんで「お金」の話をするかというと、資金繰りのことを気にしていては何もできないからです。キャッシュのことを気にしない時間をひねり出す、という意味でも、合理化(無理・無駄・ムラの排除など)は大事です。品質トラブルが出ても、社長の資源は割かれますので、結局はQC(品質管理)の基本である、無理無駄ムラの話になります。
小さな企業は「調べたけどダメでした」だけが残る調査はやってはいけません!~調査会社・コンサルタントの言いなりにならないで!
ここで1つ、
「割と大きな問題」
があることが、いくつかの相談を受けて、最近わかりました。
経営者の方々は、アンテナはそれなりに張っていたりするので
「今後、このへんが伸びそうかな」
ということについて、漠然としたイメージを持っておられる場合も多くあります。
で、注意点。
「すぐに、それに飛びついて調べない」
ことです。身近に調査会社があったりすると
「ちょっと調べてみたいんですけど」
と言いたくなりますが、ぐっと我慢。
「調べてみた結果、思ったほど市場は無い(伸びない)ようです」
みたいな結論だけが出てくる調査を、頼んではダメですよ!
これを、
「無駄な調査」
と僕は呼びます。
「ダメという情報も、一つの情報」
なのですが、小さな会社にはその情報はあまり有益ではありません。
「1回の調査で、何度もおいしい、考え抜かれた調査の仕方」
(一粒で何度もおいしい)
があります。よく考えて、ご自身で調査するか、依頼してください。
僕はまず、経営者自身が調べることを推奨しています。
「調べ方」
「最初のヒントになる情報(エッジ情報)」
は、僕がいくらでも教えられますので、それで
「よい調査がどのようなものか、自ら体験して、理解する」
ことを、まずお勧めしています。その後、その方法で、外注するなり、部下にやらせるなりすればよいのです。
「無駄」
がなくなります。調査費用や工数って、バカになりませんよ。社長が1時間で済むと思っている調査も、社員さんがやれば、あーでもないこーでもない、あっという間に一週間、一か月です。
で、その結論が、「思ったほど市場がなさそう」「弊社には難しそう」になる、、、
無駄ですね。
さいごに
あくまで、備忘録ですので、やや乱暴な文言になっている部分も、現時点(2020年12月30日)では、有るかと思います。
ですが、経営者/社長が新規事業の検討ができるのは、年末年始とGWぐらいです。最近は、各社「お盆」など存在しませんしね。
ここでしっかりお考えいただきたい、という意味で、書きました。
ご質問などは、以下で承ります。
守秘義務契約を結ばない、簡単なご相談は無料ですので、ご心配なく。もちろん、サービス提供事業者として、一般的なNDA契約で指定されるレベルの顧客の秘密は守りますが、守秘義務契約を結ぶとなると、当方でのリーガルチェック・契約管理・秘密情報管理など、意外にコストがバカになりませんので、それなりの費用をいただきます。ご了承ください。
以前も、無償の相談なのにNDAの締結をしつこく要求されたクライアントさんがありました。無料相談だと、当方に、契約を結ぶインセンティブがないんですよね、、、。
楠浦 拝
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