ハスカップ果実エキスのジンジバリス菌に対する新規抗細菌効果

厚真産ハスカップ果実エキスのジンジバリス菌に対する新規抗細菌効果

 2019年 北海道薬学大会

○中村峰夫1)、牧野利明2)、南 正明3) 1)中村薬局、2)名市大院薬、3)名市大院医

ハスカップLonicera caerulea var. emphyllocalyx は、果実を食用とする低木である。我々は第64回、第65回北海道薬学大会で、厚真産ハスカップの果実エキスがA群連鎖球菌や腸管病原性大腸菌に対してin vitroでそれぞれ増殖抑制効果や運動能抑制効果等の抗細菌効果を有することを報告した。ジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis)は、誤嚥性肺炎歯周病の原因となる病原細菌であり、バイオフィルムを形成することで、抗菌剤等の外界刺激から自己防御する能力がある。そこで本研究では厚真産ハスカップの果実からMeOH抽出したエキスのジンジバリス菌に対するin vitroでの抗バイオフィルム効果について検討した。

ジンジバリス菌のバイオフィルム形成は厚真産ハスカップ抽出液で用量依存的に抑制された。更にバイオフィルム形成後に厚真産ハスカップ抽出液で処理して攪拌刺激を加えると、未処理群と比較して有意にバイオフィルムが除去された。

本研究の結果、厚真産ハスカップの果実は誤嚥性肺炎や歯周病の原因菌となるジンジバリス菌のバイオフィルム形成を抑制する新規効果が見出された。


ハスカップのジンジバリス菌に対する抗バイオフィルム効果

Anti-biofilm effect of Lonicera caerulea var. emphyllocalyx extract against Porphyromonas gingivalis

第92回日本細菌学会総会 2019年

南 正明1, 中村 峰夫2, 牧野 利明3

1名市大院・医・細菌, 2中村薬局, 3 名市大院・薬・生薬

[背景] ハスカップ (Lonicera caerulea var. emphyllocalyx) は北海道で古来から食用等に利用されてきた果実である。我々はこれまでハスカップのメタノール抽出物のA群連鎖球菌や腸管病原性大腸菌に対するin vitroでの抗菌効果を報告してきた。ジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis)は、誤嚥性肺炎や歯周炎の原因となる病原細菌であり、バイオフィルムを形成して、外界刺激から自己防御する能力がある。今回我々はハスカップ抽出物のジンジバリス菌に対するin vitroでの抗バイオフィルム効果について検討した。

[方法] 北海道厚真町産ハスカップの果実から室温でメタノール抽出液を調製した。3種類のジンジバリス菌(JCM12257, JCM8525, JCM19600)株をCDC Anaerobe Blood Agarで24時間前培養した後、1X106 CFUの細菌を、ハスカップ抽出液を添加したGAM液体培地中で嫌気性条件下で培養した。 48時間培養後のバイオフィルム形成能をサフラニンレッド染色法で測定した。また無添加GAM液体培地でジンジバリス菌を48時間培養後にハスカップ抽出液を添加して、バイオフィルム形成後のハスカップ抽出液によるバイオフィルム除去効果も検討した。

[結果] ジンジバリス菌のバイオフィルム形成はハスカップ抽出液で用量依存的に抑制された。更にバイオフィルム形成後にハスカップで処理された細菌群でも、未処理群と比較して有意にバイオフィルムが除去された。

[考察] 今回の結果からハスカップがin vitroでジンジバリス菌に対して抗バイオフィルム効果を有することが示唆された。


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