ハスカップのメタノール抽出物は、in vitroで化膿レンサ球菌に対する抗菌活性および抗バイオフィルム活性を示した。
Methanol extract of Lonicera caerulea var. emphyllocalyx fruit has antibacterial and anti-biofilm activity against Streptococcus pyogenes in vitro
BioScience Trends. 2019; 13(2):145-151.Biosci Trends.
Masaaki Minami, Hiroshi Takase, Mineo Nakamura, Toshiaki Makino
要旨
ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)は、誤嚥性肺炎の原因となる重要な病原性嫌気性細菌である。この細菌は口腔内や気道関連医療器具内で頻繁にバイオフィルムを形成する。このバイオフィルム形成に伴って起こる細菌コロニー化が、難治性の誤嚥性肺炎の主な原因である。Lonicera caerulea var. emphyllocalyx (LCE)の果実は、日本北部の北海道で民間薬として使用されてきた。本研究の目的は、LCEメタノール抽出物(LCEE)の抗菌機序の一つであるP. gingivalisによるバイオフィルム形成抑制効果を明らかにすることであった。その結果,LCEEは3種の異なるP. gingivalis分離株によるバイオフィルム形成を濃度および時間に依存して有意に減少させ,サフラニンレッドの吸着により定量した.LCEEをP. gingivalisがすでに形成したバイオフィルムに添加した場合,LCEEはバイオフィルムを分解しなかった.しかし,LCEEを添加した場合,コントロールと比較して振動によるバイオフィルムの除去が有意に促進された.また,走査型電子顕微鏡(SEM)分析により,LCEE処理したP. gingivalisにおける気管内バイオフィルムの形成を確認した.LCEの成分の一つであるシアニジン3-O-グルコシド(C3G)も濃度依存的にP. gingivalisのバイオフィルム形成を抑制した。この結果から、LCEEはP. gingivalisによる誤嚥性膿胞症に有効な抗菌物質である可能性が明らかとなった。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1155/2019/1797930