平成元年トリオがお送りする第106回薬剤師国家試験を語る会を開催して Part2
先月開催した平成元年トリオシリーズ「第106回薬剤師国家試験を語る会」のダイジェスト版の続編を書き留めていきたいと思います。
Part1はこちら
理論問題 問108
今年の問題をみてみると漢方の問題がたくさん出ている印象を受けました。
その中でも特にこの問題は特徴的で漢方を学ぶ上で必要な知識の詰め合わせバライティーパックのような問題でした。
どのようなものの詰め合わせになっているかというと次のようなラインナップとなっております。
この問題はたぶん僕が学生の時だと、解けたかどうか微妙な問題だなと思います。
※ちなみにこの問題の答えは「2」です。
というのも僕が漢方をきちんと理解して学んだのは卒業してから、日本在宅薬学会の漢方セミナーを受講してからでした。このセミナーで学べたことは実臨床における漢方の考え方を使った患者の見かたでした。
この問題はそこで学んだ知識を使うことで解けるような問題になっていて、国家試験でもかなり臨床に則した漢方の問題が出題されるようになっているなということがこの問題から感じました。
理論問題 問172
これも特徴的なことだなと思ったのですが、今年の国家試験では化学構造式から薬剤師の特徴を考察する問題が多かったように思います。
この問題は、CYPを阻害する薬とその構造を覚えておくことで答えに辿り着くこともできますし、化学構造からヘム鉄が配位結合できそうな構造をもっている物質を探すことでも答えに辿り着くことできます。
他にも薬物動態(吸収、分布、代謝、排泄)に影響を及ぼすような科学構造上の特徴は様々あります。
この図は僕が知っている薬物動態や薬理作用について考えるときに影響する要素をまとめたものです。臨床で患者さんへの薬の影響を考えるときにこれらのことを考えながら検討をしていくのですが、このベースになる知識が国家試験で問われるようになっているのも、臨床で患者さんへの薬の影響を薬学的な観点で見ていく力がある薬剤師を生み出していこうとする国家試験の出題委員の先生方の思いの現れかなと思いました。
ちなみに答えは「1」です。
実践問題 問211
この問題も先程の理論問題 問172では、化学構造から薬物動態へ影響を及ぼす薬剤の特徴を考察する問題でしたが、この問題は化学構造から薬力学的な観点への影響を考察していく問題になっています。答えは「4」です。
DPP-4の化学構造と薬力学的な観点での考察については、日経DIの山本雄一郎の「薬局にソクラテスがやってきた」にとてもわかりやすくまとまっているので見てもらえると理解が深まると思います。
このようなことを踏まえると今後DPP-4阻害薬を使用して十分な効果が得られなかったため同効薬の中で治療薬の変更について医師より相談された。薬剤師として提案する薬剤として適切なものはどれか?
というような問題で、この構造上の特徴の違いを踏まえて答えるような問題が出題されるようになるかもしれません。
このような問題がどんどん出題されるようになってくると、もっと基礎化学的な知識を臨床の場で使って、薬学で患者さんのことを語れる人が薬剤師が増えてくるんじゃないとワクワクしてきます。
まだまだ他にも取り上げたい問題があるので、Part 3に続きたいと思います。
応援いただければ、記事を書いてくモチベーションになります。 いただいたサポートは、応援の連鎖を作っていくための資金にさせていただきます。