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平成元年トリオがお送りする第106回薬剤師国家試験を語る会を開催して Part3

こんにちは!
薬学で語る薬剤師のたいぞーです。

薬剤師がもつ専門性を最大限活かすことで患者さんに健康を届ける薬局薬剤師をしたり、「健康を夢実現の資本」という理念を掲げるオンラインサロンの運営をしたりしております。

このイベントについては、色々と書きたいことがたくさんありすぎてとうとうPart3まで来てしまいました。たぶん今回で終わりになると思いますのでどうぞお付き合いください。

Part1はこちら

Part2はこちら

実践問題 問206-207

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この問題は早速解答から書きますが、問206が「3、5」問207が「2、3」になります。

で、この問題では問の内容ではなくこの問題(症例)そのものについてイベントの中では議論をしました。

議論のテーマになったことは2つあります。

なぜ血清カリウム値が上昇したのか?

1つは、この患者さんがなぜ血清カリウム値が上昇したのか?

問題文の流れからすると、便秘になって追加になった酸化マグネシウムがめちゃくちゃ怪しそうです。
※そもそも便秘の原因になっているのは、利尿剤が追加になったことが影響しているかもしれないなということも推測しております。

もしも、酸化マグネシウムが原因なのだとすれば、今回の問題で問われている経口ゼリー剤A(アーガメイトゼリー)は、この薬を服用することで便秘傾向になる方も多い薬です。

だとすると、

経口ゼリー剤Aを服用し始める→便秘が悪化傾向になる→酸化マグネシウムを増量する→またカリウムが上がる→経口ゼリー剤Aを増量する→・・・
※酸化マグネシウムと経口ゼリー剤Aは、Mgが経口ゼリー剤Aの陽イオン交換樹脂に捕まって、本来捕まえたいカリウムを捕まえられなくなる可能性があるので併用注意なのも見逃せません!

という薬物治療の負の無限ループにハマってしまいます。

でも、なぜ酸化マグネシウムがカリウム値を上昇させるのか?それが参加の誰もがパッとわからず、本当に酸化マグネシウムを被疑薬として考えてもいいのだろうか?というところが、疑問として残りみんなで調べてみました。

結果あまり明確な根拠に行き着けたわけではないのですが、次の文献に細胞内外へのカリウムの輸送とマグネシウムの関係性についての文献をみつけて、

高Mg血症になると、細胞外へのカリウム排泄が抑制されて、それによって血液中のカリウムの取り込みが抑制されることで高カリウムになるのかなと推測しましたが定かではありません。

カルシウム,マグネシウム代謝の考え方(日腎会誌2008;50 91-96 )

もしも、マグネシウムとカリウムの関係性について詳しい方がおられたらぜひ教えていただけると嬉しいです。

そして、この問題は2つ目の議論ポイントもあります。

ジゴキシンってこのまま継続でいいのだろうか?

2つ目の議論のポイントは、ジゴキシンってこのまま継続でいいだろうか?ということでした。

この患者さんは、問題文の中では入院加療中で、医師や看護師が常にいる環境で、何かあってもすぐに医療処置を受けることができたり、体調がおかしければすぐに気づいてもらえたりできる環境にあります。

でも、この患者さんは状態が安定してきたら自宅で療養をしていくことになると思います。そうしたときに、自宅では、家族や介護、医療のサポートをどの程度受けることができるのか?自己管理能力がどれほどあるのか?といったこの方を取り巻く環境によっては、TDMの対象でハイリスク薬でもあるジゴキシンをもしも別の薬で代替可能なのであれば、他の薬に変えておくことも一案なのではないかという意見がでました。

このポイントについても明確な結論には辿り着くことができませんでしたが、実際現場で患者さんをサポートしていく際には、在宅という限られた資源の中で患者さんがより効果的で安全な治療を実施できるようにする薬物治療の選択肢を考えることもとても大切な視点だなというように思いました。

と、今回はこの1問を掘り下げていったところで結構たくさんのことを書いてしまったので、今日のところはこの辺で終わります。

今回で終わりになるかと思いましたが、Part4に続くことになりますので、引き続きどうぞお付き合いください。
#終わる終わる詐欺

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薬屋たいぞー
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