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組織運営の技術

組織運営の技術-運営の前に

 モノつくりの技術(Hard Technique)と同じように組織を運営する運営の仕方にも技術(Soft Technique)があります。技術というとすぐにモノを作る製造業やワザを持つ職人さんのことが思い浮びます。技術という言葉が意味する範囲は広く、職人さんの技能とかワザ、ウデと呼ばれる技術も含まれています。では、組織を運営する技術の習得にはどのようなワザやウデが必要なのでしょうか。
組織運営の技術はモノつくりの技術とは違うところがあります。組織運営の技術が生産するモノは乗ってみたり、手で触ってみたり、食べてみたりすることができません。形の見えない技術といえるかもしれません。たとえば、指揮者がいろいろな楽器が集まるオーケストラを指揮するウデのようなもので演奏会という作品を演奏するワザです。作品は、指揮者の演奏を聞いた人が評価します。また、学校で先生が教育する生徒は先生の作品と言えなくもありません。学校や先生は生徒が社会へ出て多くの一般の人に評価されます。このように指揮者の指揮手法や先生の教育手法と同じように、組織の運営手法の良し悪しは社会に評価されることとなります。
 指揮者のウデも先生の教え方もしっかりした基礎があってこそ初めて力が発揮できます。したがって、組織もしっかりした基礎を持って運営することが重要です。組織が力を発揮するためには、運営の責任者と構成員が基礎を共有することが必要です。組織を運営する手法が組織運営の技術なので、関係者が組織運営の技術を身につけることによって、組織は十分に力が発揮できます。
 具体的には業務を構成する一つひとつの仕事の基本を標準として、学校で学ぶ機会を設けることです。基本的な事務文書の作り方や事務文書の取り扱い方、標準的な仕事の進め方や手順、仕事のとりかかりから完了報告をしてファイルを閉じるまでを社会における標準的な業務として、すべての人が社会へ出る前に常識として身につけることができるようにする必要があります。
社会へ出てどこかの組織に属するようになると、所属する組織によって業務の中身や進め方には違いがあります。しかし、仕事をこなすための基本は身につけているので、組織ごとの特性に合わせることは困難ではありません。即戦力として活動できます。
 他の先進国並みの組織運営の技術を発揮して3周遅れを取り戻すためには、こうした基礎の底上げから始めることが必要ではないでしょうか。急がば回れです。

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