II – 4 計画(Planning)

行程(Road Map)
次に、プロジェクトにはどのような作業があり、どのような行程をたどり、いつ頃までに結論を出せられるかを示す行程表を作成する。行程表は縦に作業を書き出して、横は時間軸とし作業ごとの所要時間を横線の長さで表現する。出来上がった表をバーチャート行程表(Bar Chart)と呼ぶ。バーチャートは業務を形成する作業ごとの所要時間を表している。しかし、ロジックフロー図と違い作業間の関係は表現できない。
前述したロジックフロー図の作業AからHをバーチャートで表現すると、図‐XXの表現となる。

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図‐XX

このバーチャートからわかることは、業務の最初の作業はAだ。Aが完了すると作業Bを開始する。作業CとDは作業Bの途中から始まるが、作業AやBと関係があるのかないのかはよくわからない。作業Eは作業Dの開始後に始まる。
作業Eの開始は作業Bの完了と関係があるのかもしれないがわからない。作業Fは作業Eの途中から開始する。同様に作業Fの開始は作業Cの完了後かもしれない。作業Gは作業Eの完了後始められるのか、作業Fがある程度進めば始められるのかわからない。作業Hは作業Fと同時に始めなければいけないのか、作業Cの完了を待っているのか、それとも作業DかEがある程度進めば開始できるのか、開始条件はバーチャートからは読み取れない。
バーチャートの特徴は作業ごとの所要時間と全体の期間がわかることにある。また、同時にどの作業を遂行しているかもわかる。しかし、作業間の関係はわからないので各作業の開始を制限している条件はわからない。プロジェクトのクリティカルパス(Critical Path)にどの作業がかかわっているかも示していない。
したがって、進捗を検証するときにどの作業に注目すればよいかを知るには経験が必要となる。あるいは計画変更が必至の時、どの作業を見直せばいいかといったことは直接にはわからないので経験に頼ることになる。
バーチャートの期日情報をロジックフロー図に入れると図 - XX次のようになる。作業を表す四角の左下の数字は作業期間を表し、作業開始を示す接続線上に書かれている数字は後続作業の開始時期を示す条件である。作業終了後の接続線に書いてある青地の数字はフロー(余裕)を示している。赤色で書かれた作業と接続線はクリティカルパスを表している。
図の情報から説明すると、作業Fは作業Eの開始後5単位過ぎたら開始できる。作業Fのフローは1単位あるから、開始が何らかの理由で1単位遅れて、作業Eの開始後6単位後に開始しても全体行程には影響しない。同様に、作業BとE、Gは3単位のフローがあるからそれぞれが合計で3単位までは遅れても問題ない。
作業Dのフローは2単位。クリティカルパスは、作業A(10単位)+4単位+作業C(9単位)+作業H(17単位)=40単位となり、この仕事の作業期間は40単位となる。通常のプロジェクトでは、1単位を1週間とするとモニターしやすい。

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図‐XX

ロジックフロー図は計画を理詰めに表現しているので、プロジェクト執行中に計画時に立てた仮定や想定に変化が生じた時は簡単に組み替えることができる。ロジックの組み替えができるとすれば、修正計画が達成可能であることの証明になる。簡単な計画ではロジックフローは頭の中で検討されている。複雑な仕事になるとロジックフロー図を使って作業間の関係を明らかにしておくことは、仕事を効果的に遂行する上で有効なツールである。
プロジェクトマネジメントの良し悪しは計画に左右されるので、プロジェクト執行にあたって、ロジックフロー図を用いて計画全体を検討することを強く推奨する。

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