組織運営の技術
組織運営の技術の基本
組織運営の技術の基本的な考え方は現状確認にあります。過去のデータに基づいて、現在がどのような状況にあるのかを確認する作業です。確認作業で現状を測るときに用いるのは計画という「ものさし」です。組織運営を始めるときの想定に従って設定した仮定に基づく計画を「ものさし」として現状を比較して、組織がどのような位置にいるのかを分析します。組織の現在地が確認できたら、そこから先が見通すことができるようになります。
一つの作業を完了して次の作業へ移行するときも、同様に現状確認をします。完了とした状況がどのような状態であるのか現状を確認して記録します。通常、確認作業は複数のスタッフで行い、それぞれが作業確認用紙(Inspection Sheet)に確認サイン(イニシャルで十分かもしれません)をします。この確認作業を繰り返すことで、複雑な作業の一つひとつが計画通り、つまり想定内で執行されていることを証明することになります。結果として業務執行が正しく行われていたことになるので、組織運営に携わった者たちは信用を得られるとともに組織は信頼されることになります。組織運営の品質が保証されている状態です。
かつて、武将たちは祐筆に書かせた文書の内容を確認したうえで、名前の後に花押を記しました。本人の署名(サイン)である花押が文章の内容と真贋を証明していたようです。印鑑は御朱印や絵画などに押してありますが、別の用途で使われていた、あるいは意味を持っていたような気がします。今まで用紙と言えば、必ず署名・捺印だったのですが、ずいぶんと変更されてきました。各種用紙に求められていた署名・捺印のハンコは花押の代わりだったのでしょうか?
作業ごとに現状や現物を複数のスタッフで確認し、記録してから次の作業に移る手法を守ることは組織運営の技術の基本姿勢です。したがって、作業確認用紙を捏造したり、改ざんしたりしては絶対いけません。作業完了ごとに確認作業を複数のスタッフで行い確認印の代わりに各自がサインをするのは、一人で確認作業を行い人のハンコを勝手に押すという間違いを避けるためでもあります。ハンコ優先という慣習が多くの過ちを見逃してきたといえます。通常の用紙はサイン(署名)優先とし、サインだけで記録として十分効力を持つ文書とします。契約書等の公文書は署名と印鑑が必要とするなどして、文書ごとに署名と印鑑の併用にする、しないといった基準の明確化が必要でしょう。