訪れた国
Episode 20 – Austria 1
ウィーンの旧市街地は一方通行で一車線の車が多く、両側に車がズラリと駐車していました。コンクリート舗装の道が多いのですが石畳でできた道もありました。市内の道路はよく整備されていますがコンクリートの歩道にガードレールはなく、車道より少し高くなっているだけです。歩道は狭く街路樹はあまり見かけません。
西洋に多く見られるように、歩道の車道と反対側は直接建物の壁になっています。一つのブロック全体が口の字型の建物で囲われており、口の字型の建物の中央部は植木が植わっている中庭になっているようです。街中のホテルは石造りの古い建物で歴史を感じさせましたし、宮殿のような建物も少なくありません。オーストリアは観光で行くところだと改めて感じました。
残念ながら業務出張なのでウィーンはゆっくり見て回れませんでした。その代わりにザルツブルグに近い湖のほとりにある村へ行きました。ウィーンから高速道路を車で6時間以上かかったでしょうか、ザルツブルグに近いグムンデンという町へ行きました。
小さな地方の街にある会社が香港新空港のクラッディング(壁や天井の外装)を設計し製造するので、設計打ち合わせや製造検査に向かったのです。小さな町の小さな設計事務所のような会社には、近郊の人たちが働いています。ドイツ語圏なので事務所の言葉はドイツ語ですが、わたしたちが訪れるとみなさんの対応が英語になりました。事務所から少し離れた工場を訪れると、小さな工場で数人の若者たちが手作業でアルミ製の外装パネル版やガラスの枠を生産していました。
グムンデンの会社が手配してくれたホテルは、近くの山中にあるトラウン湖畔の町にありました。ザルツブルグ付近の山に囲まれた避暑地のようなところです。夜のとばりが下りた湖を見ながら夕食に鱒料理とワインをいただきました。仕事を離れてゆったりとした気分に浸る至福のひと時でした。
来るときはウィーンから車で数時間かけてきましたが、帰りはザルツブルグへ出て飛行機でウィーンへ戻りました。双発のプロペラ機で2列あるビジネス席に搭乗したのは私一人でした。アルプスの少女のお姉さんのような客室乗務員の方がいろいろと気を使ってくれて、あっという間の1時間でした。
別の時はザルツブルグからミュンヘンへ行くルフトハンザの航空券を持って空港へ行きました。しかし、ミュンヘンへは飛行機ではなく高速バスでした。高速道路から見える森は見渡す限り黄色く色づいていました。
オーストリアの片田舎ともいえるような小さな町の会社が設計し生産するものが世界へ出て行くことに驚かざるを得ませんでした。モノつくりのハードの技術は一番ではないかもしれませんが、彼らが組織を運営するソフトの技術は世界標準だと改めて感じました。
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