十二国記、それはデバッグの物語
十二国記シリーズを追う間に、高校生はすっかりおっさんになった。
もっと世界を根底からひっくり返すような物語になる可能性も考えていたが、耐え忍ぶ、静かな修復プロセスを描くことで、世界について考えさせるような作品だった。
十二国記「白銀の墟 玄の月」読了。
— くすのき (@kusunoki7100) December 8, 2019
前半ミステリのようで後半政治劇のような、ノンジャンルが故のわからなさが小野不由美作品の魅力だなと改めて思った。冗長に感じるところもあったが特に後半は引き込まれるように読み終えた。もうちょっとファンサあっても良いだろとも思うが…w
一応延麒はでてくるが出番も少なく、景王陽子はだしてくれよーと思ったが
まあ蛇足っぽくなるかな…
ミステリホラーと思いきやファンタジーでしたと終わる奇作「魔性の子」で始まる十二国記は、我々の住む世界と全く異なるルール「天綱」で成り立つ世界をシリーズを重ね描写し、時系列がついに原点である「魔性〜」に追いつく「黄昏〜」で「天綱」のバグをつく絶望的状況が示され、そして18年断絶した
— くすのき (@kusunoki7100) December 8, 2019
魔性の子から読み始めるのを進める人も多いが、俺が魔性の子から読んだら流石にもう読まないかもしれない。自分は「月の影〜」から読み始めて、たぶん「風の万里〜」がまだ出てないくらいだったろうか
本作「白銀〜」はいわばそのバクを更なるバグによって回避し修復に至る話だ。おっさんになり読むと、全く違う世界に見えた十二国も我々蓬莱もさして変わらず、天網に縛られ、祈り、バグり、抗い生きていくしかないのだなと。
— くすのき (@kusunoki7100) December 8, 2019
「残酷異世界転生」である本作が現状のカウンターになっているのは面白い。
読者にカタルシスを与えないのは作風だなあ〜と思った。
泰王の居場所など、なるほど!とはならないけど、ラスト「自己犠牲的ルール破り」というのは色々考えさせられる解決法で良かった。