犬王感想メモ
犬王の感想、忘れないようにメモっておく。
前提として、私は湯浅ファンだが全作品観てます!というほどのコアなファンではないと思う。
野木作品は「掟上今日子」「逃げ恥」のみ。
あまちゃんはすごい好きで大友さんの楽曲もよく聴きました。
音楽は人並みには好きで、ライブはポップス、アニメも両方そこそこ観てる。
2.5次元とかアイドルアニメステージとかも男性向け女性向けも含めて結構観てます。
以下観た直後感想
犬王観た。原作未読。なるほどこう言う感じかー。湯浅さんの近作では1番好きかな。
— くすのき (@kusunoki7100) May 28, 2022
ただライブが圧倒的とまでは…。
あと曲がなー。ミュージカル的に同じフレーズの反復にせず、そばかすの姫みたいに楽曲でゴリ押した方がキャッチャーとは思った。
個人的にはもっと松本大洋に振るか「ルードヴィヒ」か「アマデウス」みたいなのが好みだけど、なんというか「ボヘミアンラプソディ」…というか「ムーンウォーカー」か「THIS IS IT」みたいな感触でした。
— くすのき (@kusunoki7100) May 28, 2022
「松本大洋に振る」というのは特に初期作品で反復される犬王と友魚の「陰陽的対比を軸にする」って意味で言っています。
「『ルードヴィヒ』や『アマデウス』みたいなの」って言うのは、雑に「天才の苦悩」(と社会とのすり合わせ)みたいな意味。
「『ムーンウォーカー』か『THIS IS IT』みたいだった」というのは、私は両作品のBDを買う程度にはマイケルジャクソンが好きなんですが、マイケルジャクソンという人はダンスが世界を変えてしまう程に上手くて、そのことを前提に自分用にシンプルなフレーズの楽曲作って、ダンスがピークに来る映画を作るわけです。(車に変形したりロボに変形したりもしますが)
そういった「スーパーな才能に自覚的」な「ダンサーによるダンス映画」なものを感じました。
わりと序盤が好きだったので、結構その後序盤で提示された(と感じた)ものが扱われなくなってくのは物足りなさ感じた。
— くすのき (@kusunoki7100) May 28, 2022
平家物語とすごい対となってて、高野文子の松本大洋っていうところも対照的だなあって思った。
犬王がそういう寓話として受け取れる要素が提示されてるのはわかるけど、個人的には中盤以降は「そういうふうに受け取って欲しくない」のかな?と感じたなあ
— くすのき (@kusunoki7100) May 29, 2022
序盤で提示される「異形、喪失が生み出す美」とかその主観的アニメーション表現とかが、どろろ的展開で無くなっていくわけだけど、それが「平家の失われた物語を伝える」「民衆の熱狂」「為政者に取り込まれる」みたいな要素が噛み合ってない感じも…。
普通の人間の体=クリエーターと観客と同じ身体性を取り戻していくということは、体感としては面白いと思いましたが、そこが突き抜けてピックアップされてる感じはなかったですね。
さりとて前述した「スーパースター映画」「LIVE最高映画」の要素もそれらと噛み合ってるわけではなく、ちょっと要素がバラバラなのかなあと。
犬王の感想ようやく自分で咀嚼できてきたんだけど、映像研の水崎さんが曾祖母がお茶を捨てるのを観てた話もの凄く好きなんだけど、その衝動部分が犬王だと怨讐と不可分になっているのが、バシッとははまらなかったのではないかなと。
— くすのき (@kusunoki7100) June 12, 2022
結局は自分的にはこれで、芸に生きる二人を物語はもちろんメタ的に「作画アニメ」「音楽映画」としても描くのであれば、「衝動」の部分を描いてほしかったなーという気持ちなんだけど、結構そこは「歴史映画」として処理されているのが乗り切れなかったなーと。
劇うたプリとか、キンプリとか、いわば「架空Liveアニメ」みたいなのって、何度も見やすいし、垂れ流しやすいし、月額配信に相性いいんじゃないかなーと思っていて(エビデンスはない)ここに実は「犬王」は刺さる可能性あるんじゃないかと。狙ってるかはわからない。
— くすのき (@kusunoki7100) June 1, 2022
犬王をLIVEアニメとして語るなら、劇場うたプリもキンプリもラブライブも観てよ!湯浅アニメとしてみてる人はそのままでいいです。
— くすのき (@kusunoki7100) June 4, 2022
とは言え自分も大衆側に投影して「作画LIVEアニメとして楽しいー!!」という楽しみ方は出来るし、それが一番素直な楽しみ方なのかなと。
音楽映画として「このモチーフでメタロック史でいいのか?」という意見もありますが、まあそれは音楽への思い入れで変わるのかなあ…。
個人的にはエレキの音がする事より「琵琶を立って弾けんのか?」のほうが気になりました。
そういや、前に仕事でちょっと調べる機会があって、弦楽器のボディーの形というのは共鳴、音色と密接に関わっていて、かつ弾く姿勢とも分かち難いもので「立って動き回りながら弾く」というのは共鳴を電気の力でアンプという形で外部化できたからこそで、楽器の進化とともに定着したスタイルだと
— くすのき (@kusunoki7100) June 5, 2022
演出上古典弦楽器をどこまで立って弾いてゆるされるのか?ストラップはいるだろ?いやしかしどんな楽器も原理的にはエレキ化できるし…みたいなことを考えていたら、犬王は特に説明なく、しかもボディーが丸い琵琶を立って弾いてて、結局作画が上手ければ説得力出るという結論を得ました。
— くすのき (@kusunoki7100) June 5, 2022
というわけで各要素がバラバラな感はありつつも、それ故に受けてによって切り口が全然違ってそこが不思議な魅力ですね。
「好き嫌いなくいろんなジャンル観ると良いよね」と思わせてくれる映画でした。
配信が来たらまた観たいですね。