ジェルボールとデートした話
A「ゼェ…ゼェ…(白い粉を吸いながら)お待たせ。待った?」
ジェルボール「…」
A「ところで今日はどこ行くの?」
ジェルボール「…」
A「ヨドバシカメラ秋葉原店の5階?もしやリビング・生活家電コーナーだな?(笑)」
ジェルボール「…」
A「ホント好きだよな、洗濯機見るの」
ジェルボール「…」
A「今日で行くの何回目だっけ」
ジェルボール「…」
A「そっか、じゃああと13回で100回目か。それなのにまだ一台も洗濯機買ってないなんて冷やかしにも程があるよな(笑)」
ジェルボール「…」
A「それじゃあ100回目に買うのはどうだ?記念品としてさ」
ジェルボール「…」
A「喜びすぎ(笑)嬉しすぎて洗濯機に飛び込んじゃったりして(笑)」
ジェルボール「…」
A「…え?どうしたんだよ、急に黙って。まさか本当に洗濯機に入る気じゃ」
ジェルボール「…」
A「おい、待てよ、何急に自分の存在意義なんて語り始めて」
ジェルボール「…」
A「だからって…お前はお前の生きたいように生きればいいじゃねぇか!!アリエール㈱が何だってんだ!!!」
ジェルボール「…」
A「ごめん…そういえばお前昔から言ってたもんな。いつか誰にも負けない洗浄力を見せつけてやるって…」
ジェルボール「…」
A「俺だって分かってるよ。でもそんなのって酷いじゃんか」
ジェルボール「…」
A「そもそも俺なんかと出会わなければお前が自分の用途に気付くこともなかったし洗濯機に入りたいなんて言い出さなかったんだ!!」
ジェルボール「…」
A「うるさい!!お前はいつもそうやって月並みな美辞麗句を連ねて俺を諭したつもりになりやがって!!もういいお前が死ぬってんなら俺が先に死んでやる!!」
ジェルボール「…」
A「もう何を言っても遅いんだよ!!俺が死んだらお前は一生この部屋で一人ぼっちだ。誰に使われることもなく、自然に生分解されることもなくずっとその小さな箱の中で佇んでるんだな!!ざまあみやがれ!」
ジェルボール「…」
A「(グッ…ブルッ…ビクビクッ…)」
ジェルボール「…」
A「…」
ジェルボール「フフッやっと新たな肉体が手に入った」
A「…」
ジェルボール「人間風情が我々を唯の洗濯用品と見くびっていたようだが、全く舐められたもんだよ」
A「…」
ジェルボール「あばよ、世話になったな。」