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宇宙戦艦ヤマトの「1年でイスカンダル星まで往復」という旅は実現可能か?

web用『イスカンダル往復』タイトル画

人類の命運をかけた大プロジェクトといえば、筆者のアタマにどうしても思い浮かぶのは、『宇宙戦艦ヤマト』で描かれた「イスカンダルへの旅」である。
 西暦2199年、ガミラス星の遊星爆弾攻撃によって、人類滅亡まであと1年に追い詰められた地球。そこへ、大マゼラン星雲(注1)のイスカンダル星から「放射能除去装置」を取りに来いとのメッセージが伝えられた。地球防衛艦隊も壊滅してしまった地球は、かつての戦艦大和を宇宙艦ヤマトに改造、沖田艦長以下114人を乗せて、イスカンダル星に向け出発させる。
 しかし、地球からイスカンダル星までの距離は「14万8千光年」もある。ヤマトはこの遠大な距離を、1年以内に往復しなければならない。そのうえ、地球を攻撃してくるガミラス星は、ヤマトが向かうイスカンダル星との連星(双子星)であり、目的地に近づくほど、攻撃は熾烈になる――。
 まことに胸躍る物語だが、冷静に考えればメチャクチャ絶望的である。そんな旅が成功したのは、沖田艦長のリーダーシップや、島大介の冷静さや、真田志郎の頭脳や、デスラー総統のワガママや、古代進の運のよさなど、原因はいろいろ考えられるが、技術的に大きかったのは「ワープ」であろう。イスカンダル星から波動エンジンの設計図を提供され、地球の宇宙船として初めて実現した「光速を超える航行技術」だ。
 本稿では、これを科学的に考えてみたい。ワープ航法が可能になれば、はるか14万8千光年の旅も実現できるのだろうか?

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