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『転生したらスライムだった件』で大蛇の首を切った「水刃」。水で可能⁉
生まれ変わって人生をやり直し、すごい成功を手に入れる!というのが「異世界転生モノ」の王道だとしたら、『転生したらスライムだった件』はその最たるものだろう。
すごい物語である。
三上悟37歳は、後輩をかばって通り魔に刺されて命を落とし、気がつくと異世界でスライムに転生していた。
ファンタジーの世界でもいちばん弱い存在で、もうどうしたらいいんだか……と絶望しそうなところだが、彼はめげなかった。
異世界の環境を冷静に分析し、自分がどんな存在なのかを確認し、できることを少しずつ増やしながら、魔物たちと心を通わせて、ついに「ジュラ・テンペスト連邦国」という国家まで建設してしまうのだ!
三上悟がスライムになって得た名前は「リムル」というのだが、このリムルの姿勢がとてもいい。
対立が起こったとき、相手を倒すのではなく、向こうの事情を考え、仲間にし、その能力を活かそうとする。
相手を認め、大切にするため、相手からも信頼されるようになっていく。
『転スラ』には、まるで人生の指南書のような趣(おもむき)もあって、読んでいてとても心地のいいラノベである。
――とはいえ、異世界での出発点がスライムだったのは、作中の事実だ。
そんなモノに転生しながら、なぜ国家の建設ができるまでに成長していったのか。
なぜ最弱のスライムのまま終わらなかったのか?
本稿では、リムルの「はじめの一歩」を考えてみたい。
注目すべきは、最初の攻撃技「水刃」を身につけるまでの過程だ。
水刃は、岩も大蛇の首も真っ二つにできるすごいワザだが、はたしてリムルは、これをどうやって身につけたのか……!?
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