CloudflareとFastlyの売上内訳比較から、実は注力する購買セグメントとグロース戦略が異なることを知る
Cloudflare、Fastlyは両企業とも、2019年にニューヨーク証券取引所に上場しました。
両社とも株価は右肩上がりで、CDNを提供する企業として比較されることもあります。
そこで、Fastlyが今日決算発表だったこともあり、簡単に決算比較からいろいろ考えてみました。
Fastlyはぼくが大好きなポッドキャストRebuild Podcastのホストかつ伝説のエンジニアである宮川達彦さんが所属しているので、この点もモチベになりました。
顧客の金額セグメントと顧客の獲得方法が全く異なっていた点が気付きでした。
そもそもCDNって一体何だ?といった点を超噛み砕いて最初に説明します。
実は今日の朝、人生で初めてConference Callなるものに参加して、初めての企業がFastlyでした。(半分寝ながら聞いてたけど...)英語ってやっぱむずいっすね。
※ぼくは技術者ではありませんので、間違ってたらぜひ教えてください。
※書いていて疲れてきたので後半尻すぼみです...
CDNとは
CDNとはコンテンツデリバリーネットワークの略で、大容量のデジタルコンテンツをインターネット上で大量配信するためのネットワークのことです。(引用:IDCフロンティア)
目的としては、コンテンツを近くから早く取ってくるためにあります。
コンテンツとは、画像やら動画やら記事やらネットで見ているものが該当します。
字面だけではわかりにくいので、図にして説明します。
CDNが無い場合
CDNが無い場合は、各ユーザーはデータが置いてあるサーバーにアクセスします。
サーバーまで距離があるかつ一極集中しているため、遅延が発生します。
CDNがある場合
そこで導入されたのが、CDNです。ユーザーの近くにサーバーを配置して、トラフィックの負荷を分散して、より早くコンテンツにアクセスできます。
これらをキャッシュサーバーと呼びます。
ユーザーの近くにキャッシュサーバーを配置していて、元のサーバーからデータを一時的に取って置いておきます。
ユーザーは遠くのサーバーにアクセスするのではなく、近くのキャッシュサーバーにアクセスします。
CDN企業は世界中にキャッシュサーバーを配置してサービスを提供しています。
CloudflareとFastlyが何やってるを簡単に説明
両社とも製品セグメント別売上高を公開していません。概要を超軽く説明します。
Cloudflare
CDN以外にもDDoS対策やファイアウォールなどのセキュリティ製品も注力して提供していて、これからポートフォリオを広げていく方針です。
また、世界各地にキャッシュサーバーを配置しています。
Fastly
FastlyもCDNに加えてセキュリティ製品を提供しています。
ただ、名前の通り速さに特化しているようです。
ビデオストリーミングや、ユーザーからのリクエストに応じて返ってくるコンテンツが変わるようなものに適しているようです。
前者はテレビ局、後者は日本の例だと日経電子版で使われています。TwitterやTiktokでも採用されているようです。
キャッシュサーバーが置いてある地域は少ないようです。
その分、各地に点在しているキャッシュサーバーは超高速だそう。
Fastlyの社員の方は、Fastlyをスーパーマーケット、他のCDNをコンビニと例えていました。
コンビニは確かに便利だけど、スーパーマーケットに少し足を伸ばすだけでなんでもあるよ、というニュアンスですね。(参考:Why having more POPs isn’t always better)
購買セグメントの違い
購買セグメント比較をすると一目で違いがわかります。
顧客数
そもそも顧客の数が全く違います。
Cloudflareが350万に対して、Fastlyが2084です。桁が全然違います。
顧客単価$10万/年 以上のセグメント
両者とも大口顧客と称して年間の顧客単価が$10万以上の顧客数と、売上を出しています。
同じ大口顧客といえど、Fastlyの単価が3倍以上です。そして、Fastlyの場合はこの購買セグメントからの売上の9割を占めます。
よって、広い購買顧客層にサービスを提供するのがCloudfrare、少数のお金を大量に払う層を狙うのがFastlyのようです。
グロース戦略の違い
グロース戦略とかいう言葉をかっこよく使っちゃっていますが、どうやって顧客獲得して、継続顧客になって、お金落としてもらうのか、っていう話ですね。
Cloudflare
売上の半分以上が小中規模顧客のCloudflareは、小中規模顧客に対してどれほど社内リソースをかけずにお金を落としてもらうかが鍵になります。
そこで、Cloudflareはセルフサーブ型、つまりユーザーが勝手に選んで使って支払ってくれる形で顧客を集めています。
無料プランも存在しています。
無料有料問わずユーザーを増やし、どんどん追加でサービスを購入してもらうことで売上を伸ばします。
ちなみに、基本的に有料になると月額課金のサブスクリプション制になるようです。
購買層と同様にCDNを起点に広いサービス群を提供するのがCloudflare。
対して、尖ったCDNサービスを狙いを定めた市場に提供するのがFastlyでしょうか。
Fastly
(すみません、Cloudflareと比較してもさらに浅い考察になってますのでご了承ください)
Fastlyは尖ったCDNを提供しています。
Fastlyはユーザーを厳選して、厳選したユーザーにどれほどお金を落としてもらうかを考えていると思われます。
Cloudflareのように広い顧客層を狙っていないと思います。
よって、無料プランやセルフサーブ型を提供する必要がありません。
一応お試しはあるものの、利用者は連絡する必要がありそうです。(詳細不明)
Fastlyを求めるユーザーは、超高速でコンテンツを処理してくれるCDNを利用することが企業の競争力を高ます。
よって他のCDNと比較しても高価なFastlyを採用します。
Twitterのタイムライン更新や日経電子版を開いてニュースリストの羅列が遅くなるとストレスですよね。
(Fastlyは従量課金を採用していますが、課金体系の考察はしないでおきます。)
まとめ
書くの疲れた...
10-k出たらもう一回ちゃんと見たい。
あとテクノロジーの勉強もしなきゃ。
今回話に上げませんでしたが、AkamaiというCDN最大手企業の本おもしろいです。
引用・参考・抜粋