【4日目】なぜプッシュする言い間違い【クソである】
僕は、東京のIT企業に派遣の末端エンジニアとして勤めていた。港区にある大きなビルに入っている企業で、ザ•IT企業といった感じだった。
しかし、そんなところにもちゃんとしょうもないやつは紛れ込んでくる。
一時期同じチームだった40代のおじさん正社員。年下のチームリーダーから、仕事の進捗が遅く報告もフワッとしていることをきっちり正論で怒られ、その翌週体調不良といって4日間休んだおじさん正社員。短い付き合いだし、全然仲良くもなかったが、あれは仮病だったと断言できるくらい精神年齢とか社会経験がしょぼそうなおっさんだった。
そんなおっさん正社員(仮名:シオタ)は、おしゃべりが好きな人だった。あと無駄に声がデカかった。
ある日、シオタは別チームのリモートミーティングをしていた。2、3個離れた席だったが、シオタの声はハッキリ聞こえる。シオタはお話しだとか掛け合いが上手いと自分で思っている節があった。デカい声とその勘違いで周りから舐められていたと思う。少なくとも僕は舐めていた。
ともかく、そのミーティングでシオタが担当する作業の内容や方法についてミーティングに参加しているメンバーに何やら質問をしていた。
メンバーの中にその作業をやったことがある人がいたのだろう。シオタは、分からなかったら連絡する旨の返答をしている。その時、なにか言いたい性分がうずいたのか、変わらぬデカい声で「じゃあ、何か不安なところあったら産まれたての仔犬みたいな目で聞きに行きますわー!」とほざいた。
いや、産まれたてでなんか例えたいなら仔鹿とかでいけよ。仔犬の目でいきたいなら、捨てられたとかだろ。産まれたての仔犬は目開いてないよ。
全然成立してない例えに思わず席を立ち上がりしこたま罵声を浴びせたかったが、少しだけピクッとして、産まれたての仔鹿ばりに足をプルプル震わせて耐えた。
数ヶ月後、シオタは同僚のおっさんと雑談していた。今回も僕は2、3個離れた席で仕事をしていた。同僚のおっさんは趣味か何やらで使っているパーツの不具合の話をしていた。そこでそのパーツの上位バージョンだかを買って丸々交換することにより不具合を解消した、という内容のエピソードだった。
シオタは、そのエピソードを聞いて声高らかに「いやぁ、金に力を言わせましたね!」と返していた。
金には、モノを言わせろよ。そしてお前はもう何も言うな。
さらにムカつくことに、シオタはこの間違った言い回しを2回繰り返して言いやがったのである。1回目で、これ何か違くね?という感覚はなかったのか。同僚のおっさんよ、なぜ注意しないのか。
周りが完全にこのシオタを諦めて放っているが故に増長して、デカい声で何やら言い出すのである。注意してくれる人は大切だ。
ちなみに、シオタは明らかに生活に支障が出てるであろうレベルで太っている。昼飯には揚げ物たっぷりの弁当を揚げ物を最後までとっておいて食べている。やっぱり注意してれる人は大切だ。