スケッチブック
放課後
吹奏楽部の音が響く校内。
いつも通り美術室に向かう。
いつもは誰もいない美術室に、人の姿があった。
その人は私の絵の前に座っていた。
するとその人が私に喋りかけてきた。
??)ねぇ、これ君が描いた絵?
村山)はい、、、そうですけど、、、
??)へぇ、そうだったんだぁ、、、
村山)あの、私の絵がどうかしたんですか?
??)いや、すごい絵が上手いなぁって思ってね。
村山)ありがとうございます…///
自分の絵が褒められ少し照れる村山。
??)あっ、そういや名前言ってなかったね。
男は自己紹介を始めた。
○○)2年A組 ◎◎ ○○ 君は?
村山)私は2年A組の村山美羽です。
○○)A組って事は俺とクラス一緒なのか。
村山)○○君って、私の隣の席?
○○)えっとぉ、、、確かそうだったはず(笑)
村山)こんな事聞いて良いのか分からないけど、○○君って学校来てるの?
○○)来てはいるよ、ただ教室には行かないだけ。
村山)どこで過ごしてるの?
○○)保健室とか、その辺ブラブラしたりしてる。
村山)美術室にはいつも居るの?
○○)毎日じゃないけど、結構いるね。
○○)俺も絵が好きでね、それでたまたま来たら君の絵を見つけたって訳。
村山)そうだったんだ、絵に興味あるんだよね?
○○)そうだよ。
村山)それじゃ、私と一緒に絵書かない?
○○)いいよ、俺上手くないし。
村山)そこは私が教えるから、一緒にどう?
○○)そんなに言うなら、良いよ。
村山)やった、いつも1人で書いてたから一緒に書く人欲しかったんだ!
○○)そんなに喜んで貰えて嬉しいよ(笑)
それから2人は放課後一緒に絵を描いた。
来る日も来る日も美術室で絵を描いていた。
2人が出会って、1年が経ち2人は3年になった。
そんなある日の事、村山からある事を告げられる。
村山)あのね、○○君話があるの。
○○)どうしたの?改まって。
村山)私、引越しするの。
○○)えっ、、、
村山)だから、今日で最後なの。
○○)なんで、もっと早く言ってくれなかったの?
村山)○○君に悲しんで貰いたくなかったから。
○○)ありがとな、村山。
村山)えっ?
○○)俺さ、すごい楽しかったよ。
○○)今まで、学校に来る意味なんて分からなかった俺がすごい楽しく過ごせた。
○○)だから、ありがとう。
村山)そんな、、、こちらこそ楽しかったよ、、、グスングスン
村山は泣き出していた。
○○)おいおい、泣かないでくれよ(笑)
村山)うぅ…うぅ…
○○)よしよし。
○○は村山の背中をさすった。
少しして、、、
○○)落ち着いたか?村山。
村山)うん、ありがとう。
村山)あのね、ひとつお願いがあるんだ。
○○)なんでも聞くよ。
村山)私を描いてくれない?
○○)えっ?俺が村山を?
村山)そう、描いてもらえる?
○○)自信は無いけど、村山のお願いなら頑張るわ。
村山は○○の前の椅子に座った。
○○)それじゃ、書くね。
村山)うん。
○○が描いている間、ふたりの間に静寂が訪れた。
次の日、村山は引っ越した。
そして時は経ち、○○は卒業した。
○○)俺も今日で卒業か。
○○)あいつ元気にしてんのかな、、、、
○○の手には、1冊のスケッチブックが握られていた。
それを開いた○○。
○○)はぁ、戻ってきてくんねぇかな、、、、
スケッチブックに残った切れ端をなぞりながら、○○はそう呟いた。