その歌声に一目惚れで
駅前
時刻は夕方
辺りは会社終わりのサラリーマンや学校が終わった学生で溢れかえっている。
人の声と雑音とで埋め尽くされた空間に、ひとつの音色が聞こえてきた。
??)僕たちはなぜここで、見つめあっているのかって〜♫
??)不思議な事だと、今改めて思ったかもしれない〜♫
それは透き通る様な声で、周りの雑音が一気にかき消されたように感じた。
気が付けば彼女の目の前に立っており、聞き入ってしまっていた。
??)ありがとうございました〜
いつの間にか曲が終わっていたようだ。
僕はギターケースの中に1000円投げ入れ、その場を去ろうとした。
すると
??)ありがとうございます!また聞きにいらしてください!
僕は彼女の歌声と笑顔にやられてしまった。
そして次の日
特に用事があった訳でもないのに、いつの間にか昨日と同じ所に来てしまっていた。
今日も彼女の姿がそこにはあった。
ボーッと彼女の曲に聞き入っていると、彼女が話しかけてくれた。
??)あの、昨日1000円くださった方ですよね?
○○)はい、そうですけど、、、
??)やっぱり!昨日はありがとうございました!
○○)いえいえ、そんな大した事じゃ。
??)あの自己紹介遅れましたね。
??)私の名前は谷口愛李です、よくここで路上ライブやってます。
○○)僕は○○って言います。
谷口)○○さんって何歳ですか?
○○)今年20ですね。
谷口)えっ!私と同い年じゃん!
○○)本当ですか!
谷口)何か1曲歌うけどさ、なんかリクエストある?
○○)それじゃ、昨日の歌でお願いします。
谷口)おっけー。
それから彼女は歌い始めた。
それからほぼ毎日彼女に会うために、ここに来ていた。
それから数年後。
谷口)うわぁ、めっちゃ大きい。
○○)流石、日本武道館だ。
谷口)めっちゃ緊張してきた。
○○)大丈夫、愛李なら成功出来るよ!
谷口)ありがとう○○。
○○)それじゃ、リハーサル行こ!
谷口)おっし!
あれから愛李は毎日路上ライブをしていた。
それがある日、スカウトマンの目に留まり愛李はメジャーデビューした。
愛李の人気はすぐに出始め、今では日本武道館でLIVEをするほどにまで成長した。
そして今の僕らの関係は、あの日のアーティストと聞き手という関係から、恋人になり僕は愛李のマネージャーをするようになった。
そして今日の日本武道館でのLIVEは観客超満員の大成功で幕を閉じた。
谷口)はぁ、めっちゃ緊張したわ〜。
○○)お疲れ様、今日はゆっくり休みな。
谷口)ありがとう、○○。
○○)どうしたんだ、急に。
谷口)○○のお陰でここまで来れたから。
○○)僕も愛李には感謝してるよ。
○○)あの日、愛李に会ってなければこんな事になってなかったからね。
谷口)改めてありがとう、これからもよろしくね。
○○)こちらこそよろしく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?