[ブルアカ]ベアトリーチェが行おうとしていた儀式に関する考察(妄想)


はじめに

 本ノートはブルーアーカイブVol.3におけるベアトリーチェが行おうとした儀式について、ひとまずの考察を行ったものです。
 ベアトリーチェがエデン条約調印式を利用した理由について、作中では、ぱっと見わかるようで実のところ一切が不明です。
 まずエデン条約調印式を利用した理由について、詳細があきらかになっていません。
 そこで、必要性があった場合を考えました。


まず前提となる疑問について

 ベアトリーチェがエデン条約調印式を利用した際、

  • 第一回ニカイア公会議の再現であるエデン条約調印式を利用して、アツコを使った儀式を行えるようになる。

  • 戒律を歪曲してユスティナ聖徒会のミメシスを生み出せるようになる。

 という二点以外の、ベアトリーチェにとっての利用するメリットが判明していません。これは奇妙です。

 アリウス分校生徒はベアトリーチェにとって捨て駒という認識については、作中ところどころで明かされています。彼女らにとってのお題目である復讐は、ベアトリーチェにとってどうでもいいことです。
 ではなぜ、わざわざユスティナ聖徒会のミメシスを生み出し、ゲヘナとトリニティに同時攻撃をすることで、混乱を起こしたのか。

 あとアツコが鍵にも関わらず、なぜあんなに扱いがおざなりだったのか

結論

 アリウス派の教義解釈を利用した、崇高を生み出した存在(色彩)を父、崇高と化したアツコ(生徒)を子とする、磔刑と昇天の再現が目的だったのではないでしょうか。
 この奇跡論的再現儀式によって、色彩は理解も認識も不可能な存在から、キヴォトスの神秘に関連する要素を持つ、部分的にでも理解可能な存在に変わります。
 またキヴォトスの神秘がキヴォトスという場に由来するものであった場合、それ自体を変質させるので、非常に大規模な影響が発生します。

 これについて、忘れられた神々についての理解が深いひとは疑問を持つでしょう。あくまでキヴォトスを生み出したのは忘れられた神々であり、生徒はその被造物としての立場だからです。
(この理解については最終編の司祭と名もなき神についてのあれこれが長いので省略)
 しかし色彩と接触した結果、砂狼シロコが崇高(アヌビス)と化したという事実を踏まえると、いくつかの疑問と納得が生まれます。


 ついでに、ベアトリーチェは非常に高等な聖遺物を得ます。救世主を処刑した槍と血を受けた聖杯です。ほかにも聖骸布とかも。
 処刑者の槍は世界を支配する力を持ったりするので、これだけでもすごいですね。聖杯のすごさもよく伝わってます。

アリウス派の教義解釈について

 詳細は長いんですが、簡単な理解についてはWikipediaのアリウス派ページにおける主張をみれば、なんとなくわかると思います。
 とりあえず重要なのは、以下の三点。

ロゴスは全被造物よりも前に、最初に無から創られた被造物である。このロゴスを通じて神は全被造物世界を創ったが、それでもロゴスは被造物である。[5][14]

イエスにおいて受肉したロゴスは被造物であった[14]

救い主の神性は本性によるのではなく、養子とされたことによる[14]

異端な部分を軽く解説

 まず造物主である父なる神は、無からあらゆるものを生み出しました。「無からの(万物の)創造」ですね。
 アリウス派のひとは、これについてこう考えました。
「我々は無から生み出されたわけだから、それ以前に既にあった父なる神とはまったく別の存在だよね」と。

 簡単にすると、小説を生み出した作者と、小説内世界における登場人物は、親子にたとえることはできても実際は違いますよね。
 そういう理屈で彼らは、創造主である父なる神と被造物である子なる神はまったく別の存在であると定義づけたわけです。

 そして、子なる神が、なぜ被造物でありながら子となったのか。
 ここの部分に神の養子として神性を与えられたため(養子論的従属説)と唱えました。

どういうところが異端なのか

  • 三位一体を揺るがしたこと

  • 神の不変性を揺るがしたこと

  • 多神教につながる要素であったこと

 キリスト教において特に重要な要素として、神は永遠に不変であるという要素があります。この神とは、父なる神と子なる神と聖霊のすべてを包括して示しており、要はこの世が生まれる前からこの世が滅びた後までも神という唯一の存在はずっと尊いとしているわけです。

 しかしアリウス派の解釈を適応すると、父なる神は子なる神を生み出すまで父ではないですし、子なる神は養子になったことで神となった(つまり従属しており神性が劣っている)ことになりますし、そもそも父なる神と子なる神はまったく別の存在ということになります。

キヴォトスの神秘的存在に対するカテゴライズに基づく神秘性の適応

 とあるとのコラボによって、コラボキャラにヘイローが形成され、そして神秘性に基づく物理的耐性が付与されたらしいことがわかりました。
 これはキヴォトスの生徒が神秘を生まれつき持つのではなく、神秘性はキヴォトスという場によって与えられるものであることを示しています

 これについて詳細は、とあるのテレズマ論や奇跡論がものすごくややこしいので省略したいです。いる?
 とりあえず、とあるの超能力は特殊な環境によって発生する、奇跡論に基づく小規模な儀式であり、それに基づく奇跡であることを示しておきます。
 これがキヴォトスでも適応されるということは、キヴォトスにテレズマが存在することを示しており……

 要は、あらかじめカテゴライズされた神秘系統が存在し、それに近い存在であるほど高等な神秘が与えられるのではないかと。
 あるいは近似する存在であるほど、忘れられた神々に近づくことができるのではないかと。
 よりいえば、再現性のある奇跡論がキヴォトスでは適応できることを示しています。たぶん。

なぜ儀式が頓挫したのか

 先生がエデン条約を再締結したからです。
 上記のアリウス派の解釈に基づく奇跡論的儀式は、そもそもアリウス派が異端認定された第一回ニカイア公会議の以降では適応できません

 そもそもエデン条約調印式を襲撃したのは、第一回ニカイア公会議を再現するためだと考えるならば。公会議が終わって異端認定を受けるまでに儀式を行えば、奇跡論に従って再現性が生まれます。そこまではいい。

 ですが先生はエデン条約をシャーレの名の下に再締結してしまいました。ニカイア公会議は終わり、アリウス派が異端認定を受けたあとの歴史に舞い戻ってしまったわけです。

 つまりベアトリーチェが想定していた(と思われる)儀式は、先生がエデン条約を再締結した時点で実行不可能になっていたので、本来予定していた時刻とか儀式の手順は正直どうでもいいものになっていたのではないかと。
 なのでアツコの扱いがおざなりだったのではないでしょうか。


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