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Zaif株式の新株予約権割当の解説と問題点

株主提案の詳細クシム現経営陣とのやり取り特設サイトに載せておりますのでご覧になってください。
今回は初回の株主提案のご説明の中で挙げさせていただきました論点のなかでも最も複雑なZaifに対する新株予約権発行の詳細とその問題点について解説します。
(次回以降はよりわかりやすい論点について解説いたします。)

ざっくりとした説明はこちらの特設サイトの中にも載せています。

Zaif新株予約権割当の概要

Zaifの新株予約権の割当についてその概要をまずは説明します。

CaicaとZaifの関係性

Caica DigitalはクシムグループにZaifが参画する前のZaifの親会社でした。
この際、Caica DigitalはZaifの経営がうまくいかず、年間15億円以上の赤字をZaif単体で出した上に2021年の暗号資産バブルのときでさえ黒字に届きませんでした。
(クシムグループ参画後は大島社長の元で徐々に経営改善し、月間黒字が出るまでになりました。)
そうした赤字が続く中でZaifおよびその直接の親会社である現ZEDホールディングス(中間持株会社)には事業継続のための親会社からの負債やCaicaの事業であるSIer事業の人員をZaifに派遣した際の売掛金など親子間の負債が溜まっておりました。
これらの負債はクシムグループ参画時に一部清算しますが、10億円ほどが残った状態になっておりました。

今回の新株予約権発行の概要

内容: Zaifの中間持株会社であるZEDホールディングスの株式の43%にあたる株数を新株予約権によって割り当てる。
その代わりに割当時にZEDホールディングスとCaica Digitalの間の負債の利息支払いを免除し、新株予約権行使時にその分の負債を免除するもの。

上記の新株予約権発行について

新株予約権の行使条件

  1. 2025年10月31日以降
    もともとは2024年の10月31日から行使可能にする予定でしたが、私を中心に強固に反対し、一年延ばしております。

  2. それ以前において、クシムが敵対的買収を感知しCaicaに行使を要請したとき
    TOBの際にCaicaに行使させることで買収した相手がZaifの利益を受け取れないようにする通称「クラウン・ジュエル」という手法に当たる
    この手法で有名なものとしてライブドア社がニッポン放送を買収しようとした際にニッポン放送がクラウン・ジュエルを実行しようとして裁判所に却下された事例がある。

今回の新株予約権発行の名目

  1. Caicaへの負債の利息負担の免除

  2. Zaifの買収防衛(シークエッジグループにとっての買収防衛)
    クシムの取締役会において伊藤大介社長は「これはグループからZaifが買収されないように防衛するために必要不可欠だ」と述べており、Caicaは当然クシムグループではないため、ここでいう「グループ」とはシークエッジグループにほかならず、シークエッジグループからの買収防衛と見るのが妥当であると思われます。

Zaifの新株予約権の問題点

私は本件について非常に問題が大きいと考えており、取締役会においても強固に反対いたしました。
理由としては大きく分けて3つあり
1. シークエッジグループのためのZaif買収防衛策(クラウン・ジュエル)を実施すべきではなく、取締役としての善管注意義務違反に該当しうる
2. シークエッジグループの都合であり、株主にとって最適でないにも関わらずZaifを右に左に動かすべきではない。クシムにとっての経済合理性が乏しい
3. このような重要事実を株主に非開示で実施すべきではない。金融庁にもきちんと連絡すべき

上記三点についてより詳細に説明いたします。

1. クシム取締役としての善管注意義務・忠実義務違反(クラウン・ジュエル)

前述の通りここでいう「買収防衛策」とは会社や株主にとってではなくシークエッジグループにとっての買収防衛策です。
そのため、この買収防衛策はクシムの株主にとっての合理性が一切なく、あくまでシークエッジグループのための行動であるとして取締役の会社に対する善管注意義務違反としての違法性が非常に高いと考えられます。

2. 前親会社であるCaicaに株を付与する経済的合理性の欠如

前親会社であるCaicaはZaifの経営に非常に苦戦しており、前述の通り年間15億円以上の赤字をZaif単体で出した上に2021年の暗号資産バブルのときでさえ黒字に届きませんでした。
この前親会社に対して、Zaifを徐々に経営改善しているクシムが4割以上の株式を割り当てる経済的合理性が存在しません。
免除対象となる負債もCaicaによる経営失敗による負債であり、特に親子間のSIer人員の融通による売掛金が元手となっている負債については経営権を切り売りしてまで免除する合理性に乏しいと言えます。

さらにZaifはクシムグループに参画してからわずか一年に過ぎず、この取引はカイカがZaifの経営改善のコストとリスク、その間の赤字をクシムに押し付けて改善したら経営権を一部取り戻す取引と疑われても仕方がない悪質な取引です。

3. 株主・金融庁等に一切説明せずに行うガバナンスの欠如

本件は非常に重大であるにもかかわらず「子会社における取引であるため開示は必ずしも必要でない」として開示を行いませんでした。
クシムグループにおける重要な経営資源のおよそ半分を譲渡できる契約にも関わらず開示しないことは株主の皆さまとのコミュニケーションを軽視していることになります。

また、取引所において大きな資本変動があった場合、金融庁に事後的な報告・承認が求められます。事後報告かつ中間持株会社とはいえ、Zaifの経営がうまくいかなかったCaicaへの経営権の一部譲渡であり、円滑な運営のためには実務上事前に説明を尽くすのは必須と言えます。
しかしながら、金融庁への事前説明は一切行われず、それどころか当初はZaifのコンプライアンス部門にも一切説明しないまま進めようとしておりました。


反対した理由は上記の通りですが私が反対した際に取締役陣・監査等委員との会話において、クシムをきちんと経営する意志があるか疑問に思わざるを得ないやり取りもありましたのでご説明いたします。

事の重大性を認識できない専門性・当事者意識の欠如

私は取締役会資料において本件について認識するとすぐに伊藤社長やその他の監査等委員にご連絡し、詳細や本件がいかに重大に事案であり、問題の多い取引であるかご説明いたしました。
しかしながら、取締役陣は本件についてきちんと認識しておらず、上記のように金融庁に確認が本来必要である可能性があることについても認識しておりませんでした。
それどころか伊藤社長に至っては私がご連絡するまでこの取引の詳細(2024年10月31日から行使できる点)については認識しておらず、私の説明を聞いてようやく認識した次第でした。

これらのことから現経営陣は本件がクシムの経営に与える影響についてきちんと考慮するだけの専門性を持たないのみならず、詳細について認識していない当事者意識の欠如も見られ、同社の経営には不適格と言わざるを得ません。


今回は株主提案に至るまでの経緯の中でも最も複雑であるZaifに対する新株予約権発行についてご説明しました。
複雑ではあるものの、現経営陣の問題点や従業員や株主のためではなくシークエッジグループのために経営されている実態が如実に出た重大な一件であり皆様にご理解いただくことが不可欠でもあります。

本件についてご質問がある場合はコメントやXのリプライにてお気軽に投稿してください。


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