股間が腫れたので切開した話~はじめての婦人科~
人生で初めて股間が腫れ、人生で初めて婦人科へ行き、人生で初めて局所麻酔で日帰り手術をしてきたので体験を共有したいと思います。まさか股間が腫れるという言葉を自分に使うとは思っていなかった。
あらすじですが、3行で言うと
バルトリン腺炎だと思って婦人科に行ったら
バルトリン腺炎ではなかったけど
切開して膿を出しました
という感じです。
ご興味ある方はどうぞ。
はじまり
先週の木曜日の夜、入浴中に尻を洗っていたところ、股間に違和感を感じたのが、ことの始まりでした。
触って確かめてみるとなんだかしこりのようなものがついています。
図がないとわかりにくいというか、言葉で説明しようとするとちょっと硬派な官能小説みたいになるので、いらすとやの画像を借りてきました。
なぜか一瞬「あれ、こんなとこに固いパーツなんてついてたか?」と思いました。ラムネに入っているビー玉くらいのしこりで、どうかんがえても昨日まで自分にはついていなかったものなのですが。
思い返せば「自分の肉体に何か異常が起きている」と考えるのが怖かったのかもしれません。
そして「これまで30数年、気にも留めてなかったが、実は『元々あるパーツ』なのでは(※1)」と考えながら、反対側を触ってみます。
しかし、そんなものはついていませんでした。人体は左右非対称ではありますが、「片側だけについているパーツ」が身体の外側にあるなどとは聞いたことがありません。
「いややっぱこれ、なんかの病気だな?」
風呂上がりに鏡で確認すると、やはり片側だけ赤く丸く腫れているのがわかりました。
病気の正体を探る
病気だとわかれば、まずはその正体を探らねばなりません。とりあえずググります。検索ワードに苦心しながら、たぶん一生で一番、粗製濫造エロサイトを恨みました。
調べてみると、「バルトリン腺嚢胞」あるいは「バルトリン腺炎」や「バルトリン腺膿瘍」という病気に、症状が合致していることがわかりました。
ただし位置は微妙に違うような気がします。
さて、このバルトリン腺が腫れる諸症状、「バルトリン腺嚢胞」であれば、ほんの初期なら自己治療が可能であるらしいのですが、症状がひどい場合は手術して治療するようです。
さらに「バルトリン腺炎」「バルトリン腺膿瘍」にかかったことがある人の話を読んでみると、「痛くて歩けない」「座れない」「鶏卵くらいに腫れる」「破裂する」とちょっと怖いことが書いています。
今の私の状況は、患部を強く押せば痛みはあるが普段は違和感がある程度、大きさもビー玉程度と、かなりの初期のようです。
とりあえず悪化する前に早期治療が必要だな、と思い、病院を探すことにしました。
病院探し
串田は生まれた直後に赤ん坊として産婦人科で入院した以降、婦人科に縁がなかったので、婦人科のかかりつけ医というのがありません。
通院中の病院が内科とかなら相談するのも良いのでしょうが、心療内科なので頼りにならなそうです。
ということで自力で探しました。
まず、「病院なび」などの総合検索サイトで探してみましたが、PMSや生理不順、ピル処方など、いわゆるメジャーな内容のほうが得意な病院のほうが多い(当たり前)ようで、よさそうな病院を探せません。
歓楽街近くの病院などは診療内容の第一に性感染症を挙げていますが、バルトリン腺炎は性感染症でもない(淋病など性感染症の原因となる菌が原因で引き起こされることもあるようですが、心当たりがありません)のでちょっと迷います。
最終的に「札幌 バルトリン腺嚢胞」でググって出てきた病院の中から、公式サイトがあって、WEB予約ができ、バルトリン腺炎が診療内容に入っていて、念のためですが手術ができそうな病院を見つけ、予約しました。
初めての婦人科
婦人科に行ったことがないので、どんな準備をしたら良いのかと調べると「保険証、症状の覚え書き、基礎体温表、生理用ナプキン」などが挙げられていました。
このうち基礎体温表は、事情があってつけてなかった(※2)のと、おそらく月経や妊娠に関係する内容を想定してのことだと思い除外。
保険証とナプキンを持って病院に行きます。
病院では、初診の問診票に基本的な内容を記入しました。毎回鼻で笑われるのですが、虫垂炎の手術経験についてもちゃんと書きます。
おそらく院によるのでしょうが、妊娠経験はきかれますが性交経験はきかれないようです。ちょっと意外。
さらに自由記述欄があったので、自分で調べた限りでは、バルトリン腺炎かもしれない、ということを書いておきます。だから口で説明するのが難しい位置なんだよ……
診察室に呼ばれたあと、会話もそこそこに、診察をすることになりました。
健康診断の子宮頸がん検診で内診台に上がったことは何回かあったので、特に抵抗なくぱぱっと下半身を脱いで椅子に上がります。ワンピースを着ていたので少し失敗でしたが、腹の上までまくれば問題ありませんでした。
ガーっと腿と足を乗せている台が開いていくのを見ながら、「腫れているのは外性器なので身体の中を診るわけではないが、これも内診なのか?」などと考えます。
触診の後、カーテンの向こうからお医者さんが言いました。
「これはバルトリン腺炎ではないですね、バルトリン腺はもっと内側なので」
最初に調べた通り、やはり腫れている位置が違うようです。お医者さんによると、バルトリン腺炎ではないものの、このような症状になる女性はそこまで珍しくはないとのことでした。
「治療方法ですが、メスで切って膿を出しましょう。そのほうが早く治ります」
(え? バルトリン腺炎じゃなくても切るんだ。じゃあ次回は手術かな)そんなことを思って「わかりました。よろしくおねがいします」と答える。
直後、カーテンの向こうで、看護師さんに向かってお医者さんが言いました。
「キシロカインおねがいします」
(は????????????)
声こそあげませんでしたが、動揺が脳を駆け巡ります。
串田は医療系フォロワーさんのおかげで知っていました。
キシロカインは塗るタイプの局所麻酔薬だったはずです。
つまり、今から、この場で、手術をするのです。
初めての局所麻酔手術
冷たいゼリー的な何かを塗られた後、「歯医者の麻酔で具合悪くなったことはないですか?」と看護師さんが問いかけてきます。
やっぱ注射もするよな、と思いテンションを下げながら、「いいえ」と答えました。
思考が現実逃避を開始し、斜めに生えてしまっている親知らずを抜きたかったことを思い出します。それが初めての局所麻酔手術になるはずだったのかもしれなかった。
そして逃げた思考を鋭い痛みが引き戻しました。歯茎に刺す麻酔ほどではないが普通に痛い。痛みでいうとモデルナ2回目くらいです。
下手な採血>歯科治療の麻酔1箇所分>今回の麻酔=モデルナ2回目>上手な採血>モデルナ1回目
です。下手な採血どんだけ痛いんだ。
ただし立て続けに3箇所も打たれたので、総合的な痛みは下手な採血(内出血してしばらく色どす黒かった)くらいです。
カーテンの向こうに見えているのは下半身だけのはずなのですが、よっぽど反応がひどかったのか、麻酔の注射を受けている間、看護師さんが「大丈夫ですか?」と何度も心配してくれていました。
麻酔をした後は切開をして膿を絞り出したようです。
カーテンで見えないのと麻酔が効いていたので、とりあえず患部を触られてる、ということしかわかりませんでした。
歯科治療の麻酔は、口の中の感覚そのものがなくなる(※3)のですが、今回は触られている感覚があったのがちょっと不思議でした。
なんだか拍子抜けしたような感じで、その時点で「今回の件を文章にまとめたら、山場は麻酔のくだりになるんじゃないか? 局所麻酔手術の記事なのに……」などと考えていました。なりました。痛みがなくなったことで思考が緩んでいたようです。
そのまま患部に軟膏を塗って貰い、初めての意識がある状態の手術はあっけなく終わったのでした。
手術完了
手術後の説明によると、どうやら膿は半分ほど出せたということでした。あとは1日2回、患部に抗生物質入りの軟膏を塗って様子を見ます。
今日からすぐお風呂に入ってもいいとのことだったので、本当に切ったのかと狐につままれたようになりました。
(特に縫合とかはなかったし、自宅で鏡で見ても傷口がよくわからないのですが、領収書にはちゃんと手術の欄に点数が入ってました)
ただ、精神的にはけっこう消耗したらしく、予防接種を受けた後の犬猫のようなテンションで帰宅しました。
やっぱ麻酔がピークだったのでは??????(なのでタイトル画像のとこは注射にしておきました)
おわりに
ということで、1年以上noteをほっぽり出していたのですが、久しぶりにネタができたので、初めての婦人科と局所麻酔手術の体験を主観でまとめました。
病変から通院予約からなにからなにまで初めてでしたが、これはnoteのネタになるなあ、と思うと不安はそこまでありませんでした。それもどうかと思いますが。
またなにか異変があって気が向いたらこちらにまとめたいと思います。
余談ですが、平日の睡眠時間はここ1年くらいずっと6時間切る感じです(枕前のに戻したら胸の痛みが消えてウケた)。財布を落として1年以上経ちましたが財布は戻ってきておりません。今はurukusutの長財布をつかっており、イイカンジにエイジングしてきました。
※1 昔読んだ本、たしか安達倭雅子の「暮らしの中の性教育」だったと思いますが、学校や親から受ける性教育の内容があまり実践的ではなかったがために、陰核の存在を知らず病気だと思って通院する女子高生の話が出てきていたのを思い出しました。
※2 感染症対策で毎日体温を測ってはいるものの、毎朝のルーティンが
「膀胱が限界なので目が覚めて3秒で立ち上がってトイレに行き、喉がからからに乾いているので目が覚めて30秒で水を飲み、遅刻しそうなので目が覚めて45秒で朝ご飯を食べる」
みたいな感じなので
「朝起き抜けに、横になったまま計った体温」のデータがぜんぜんとれないのです。
※3 歯科治療の注射の麻酔は2種類あって、歯肉に麻酔を注射して歯根に麻酔をしみこませ痛みをなくす「浸潤麻酔法」と、脳と下顎をつなぐ神経に麻酔を作用させることで痛みをブロックする「伝達麻酔法」に別れます。
このうち伝達麻酔法は、顎や舌もしびれるようなので、歯科治療で感覚がなくなるのはそのせいなのかもしれません。