2023年全国大会①
2023年9月8日(金)
その日の朝はアラームよりも早い4時に目が覚めた。
出発時間まで待つのもソワソワするため、少し早めに家を出る。
明るい月を見上げながら、よし!行くぞ!と一人で気合を入れて両手で頬を叩いて車に乗り込む。
いよいよ始まるワクワク感、1年ぶりに感じる高揚感。
この時ばかりは仕事も何もかも忘れて、とべスワローだけに集中する4日間になる。
待ちに待った全日本レディース大会に向けて出発する日だ。
寝坊助のゆみちゃんを迎えに行くと、しっかり自分で起きて準備していた。
やはりどこか高揚感があって目が覚めたのかもしれない。
続いてななみんを迎えに行くと、何やら外で荷物をゴソゴソ。
心配性だから最終チェックでもしていたのだろうか。
朝7時と明るい時間に砥部町役場へと集合する。
詩音は少し遅刻したけど、みんな揃った。
いつもお世話になっている十季観光さんの大型バスへ大量の荷物を積み込む。
そしてだいたいいつも同じような場所を陣取って席に着く。
私の席はいつも左の前から5列目。
1列目は空いていて、2列目から4列目はばーばの席。
運転手さんとの打ち合わせや点呼が私の仕事だから、いつもその場所に座っている。
来島海峡SAでトイレ休憩を取り、バスは一路山口県へ。
途中で、新幹線でやってくるあやてぃんと綾乃からそれぞれ乗車しましたLINEが入る。
綾乃は乗車ギリギリまで駅弁選びに勤しんでいるようだった。
関東あたりが台風の影響を受けているようで、新幹線が遅れはしないか心配したが、無事時間通り運行されていてひと安心。
合流場所を練習グランドとし、段取りを打ち合わせる。
お昼前に下松SAで昼食タイムを取ると、佐川急便(株)高松さんと遭遇した。
監督さんへ挨拶に向かい、少しお話を伺ったりした。
食事中に話しかけてすみませんでした。
若者はお腹が空いていないのか、パンやら軽食で済ませる中、ばーばはラーメン・チャーハンセットや、うどん・ご飯セットとモリモリ食べている。
だからこれだけ元気なんだな。
人は食べないとダメだ。
「ちょっと小太りぐらいで、食べたいものを食べ、やりたいことをやっている人のほうが健康だ」という自分に都合のいい記事を読んだばかりの私は、妙に納得した。
そろそろ着替えるかと、バスに乗ってから一人ユニフォームに着替える。
そこで最終オーダーをメモ帳に書き留める。
今年はこれでやってきた。これで行くぞ!と再確認。
14時からの監督会議のために、一人だけやまぐちリフレッシュパークで下車し、あとの練習は右田主将に委ねた。
少し、いやかなり心配ではあったが、個々に体を動かすだけでもいいかと任せてみた。
彼女たちなりに練習してくれたようで、どうやら外野ノックはハードだったらしい。
内野ノックは簡単だったらしいとだけ報告を受けた。
1時間も早く着いた監督会議会場では、選手名簿をパラパラとめくる。
日本リーグ(現;JDリーグ)で活躍した方の名前がちらほらあって、ソフトボールファンの身としては少し興奮する瞬間でもある。
各チームの選手の年齢を見ても、やはりうちの楠元ばーばが最高齢の選手登録だ。
いつか最高齢記録で表彰でもしてもらいたいくらい。
いくつかのチームの監督さんへ挨拶に伺ったり挨拶に来ていただいたり。
隣の席は初戦の相手、佐川急便京都さん。
同じ場所で練習していましたねと声を掛けて頂き、それをうちの子たちに聞いても誰も気づいていなかった模様。
今全国各地にチームを持つ佐川急便さんのソフトボール事情を色々と聞かせていただいた。
会議で各チーム自己紹介と変更事項申告、ひと言を発表する場が設けられる。
私は「とべスワローズ」とよく間違われるので、「とべスワロー」という名を覚えて頂ける大会にしたいと述べた。
結局試合では間違われて、意気込みは達成されず仕舞いとなった。
会議が終わり、駐車場までとぼとぼ歩いているとバスが駐車場へと入ってきた。
グッドタイミング。
9月とは思えぬ暑さで、外で待つのは苦痛でしかない。
16時からは開会式。
昨年はコロナで開会式が中止となり、今年は久しぶりの開会式。
監督として参加するのは初めてなので、どこに行けばいいのかわからずプラカードの前で手持無沙汰。
佐川急便京都さんのコーチと何気ない話をしていたら、出身が四国中央市と聞いて一気に親近感が湧いたりもした。
ようやく監督が呼ばれ、体育館の隅に並ぶ。
1列で並んでみたがどうやら納まらず、結局2列目の後方に立つことになり、我がチームの選手たちの入場行進の雄姿はチーム旗の先しか見えなかった。
しっかり足を揃えて歩けたのだろうか。きっとできてないだろうな。
開会式が終わりバスへと戻る途中、ななみんが「集合しますか?」と聞いてきた。
特に集まる理由もないので、「いや、集まらんよ。集まった方がいいですか?」と聞き返すと、集合してほしいとのこと。
何かと思ってたら、小袋を1人ずつ配り始め、いいと言うまで開けるなとのこと。
ななみんの合図で一斉に開封すると、中身はとべスワローマスコット、すわ郎の絵がプリントされたクッキーだった。
みんなが「すごーい!」って盛り上がる中、ばーばの1人が、「なに?つば九郎?」ってトンチンカンなことを言うから突っ込んでおいた。
予選に引き続き、またまた若手3人からのサプライズ。
その心意気がいつも嬉しい。
ななみん、ゆみちゃん、なっちゃん、ありがとね。
一通り盛り上がったあとでホテルへと向かう。
チェックインに手間取り、部屋に荷物を置くや否や夕食会場へ。
今回は初日初めてホテルでの食事とした。
竹ちゃんに食事前の挨拶をお願いしてみたところ、少々緊張しながらもしっかりこなしてくれた。学生の部活みたいだったけど。
一杯だけと頼んだ生ビールがとても美味しく、ビュッフェ形式の食事はあっという間に終了。
その後コインランドリーへ行くことになり、なぜか若者全員で散歩がてら湯田温泉の街を歩いた。
あまり覚えてないので、きっとどうでもいいようなくだらない話をしながら歩いたのだと思う。
ようやく到着したコインランドリーで、洗濯乾燥が1時間でできるとわかると、約15分かけて歩いてきた道のりをもう一度往復する元気は誰にもなく、そこで待つこととなった。
誰かれともなく常識クイズが始まり、いつものようにななみんの無鉄砲回答に笑わせていただいた。
栄養学になるとさすがもえぴが強かった。本職だもんね。
詩音がわからんとつまらなそうにするも、1問だけ水鳥の気持ちになった感覚で正解してご機嫌さんになった。
一番盛り上がったのはフレンチキスの問題。
あやてぃんが真面目に正解を述べる姿が一番盛り上がった。
夜のコインランドリーにジャージ女子の集団が団欒している、なかなか奇妙な光景だった。
帰り道は行きよりも早く感じる。
若者がその後どうしたのかは知らないが、私はさっさとシャワーを浴びて寝ることにした。
ビール1本飲む元気すら残っていなかった。
明日はいよいよ決戦の日。
アラームは6時にセット。
明日のことを考える暇もなく睡魔が訪れていつの間にか眠っていた。