第29回全日本レディース愛媛県予選
4月14日(日)、第29回全日本レディースソフトボール大会愛媛県予選。
まだまだ桜の花が残る松前公園グランド。例年よりも開花が遅かったことを感じる。
午前8時に集合予定が7時半に到着してしまった。
すると既にあゆみんと竹ぴが到着している。やる気ですね!
道具を運び、まだ誰も居ないグランドを見渡す。
ボコボコしているのが気になってトンボ掛けをしていると、山ほど小石が転がっている。
石を1個1個拾いながら、誰もケガしないように、誰もエラーしないようにと願う。
しばらくすると公園管理の方が現れて、トラクターで整備をしてくださった。
整備はお任せして、アップを始めることにした。
今日は暑くなる。
9時抽選、10時試合開始に向け、早めに準備して休息を取ることにした。
コロナ禍を経て参加チーム数は相変わらず少ないものの、今年は何と言っても最大の強敵であるDreamWingsさんが5年ぶりに大会に参戦したことが我々の間ではかなりのビックニュースとなった。
8年前とはいえ全国制覇を経験されたチーム。
どのようなメンバー構成かも情報が無く、少し恐怖も感じていたが、なかなかグランドに現れないから余計に怖い。
ようやく来た時に目にした黒と赤のユニフォームがとても懐かしかった。
聞けばコロナ禍はメンバーの仕事柄、新居浜市を出てはいけないという厳しいもので、昨年5月の5類移行までは松山市での試合などもってのほかだったそう。
とべスワローはこのチームと切磋琢磨しながら成長してきた。
怖い相手だが、ここを倒さずして真の愛媛県トップとは言えない。
組合せ抽選が当日となったため、予め対戦相手に応じたスターティングメンバーを組み、投手3名には朝から全員準備してもらった。
ワクワクドキドキの抽選タイム。
DreamWings監督さんの提案で、「せっかく松山まで来たから、いつもやっている東予のチームではなく中予のチームと試合がしたい」との意見に私も乗っかり、本部と参加チーム合意のもと、初戦は東予と中予のチームが対戦する組合せ抽選となった。
キャプテン紗央里が引いた相手は、DreamWingsさん。
初戦から嫌な相手ではあるが、俄然やる気が湧いてくる。
場所をBコートに移し、淡々と準備を進め、この試合後攻と決まる。
久しぶり過ぎるゲーム前ノックの手順を確認し、散々説明した私が順番を間違える。
みなさん、スルーしてくれてありがとう。
AM10:00の3分前に試合が始まる。いよいよ2024年シーズンの始まりだ。
主審の「集合!」の掛け声で真っ先に飛び出す竹ぴ。
試合の段取り忘れたのでしょうかね。
綾乃の掛け声で出て行くのですよ!
DreamWingsさんが出ると決まってから、対戦するなら先発はあゆみんと決めていた。
特別な理由はないけど私の勘。
えげつないプレーするくせに緊張しいのあゆみん。
1時間前に決まった先発投手にさぞかし心臓バクバクだったことだろう。
でもそれ以上にいつも青白い顔でえずく緊張リーダー美咲がいるから、それよりはマシかなと思っている。
1回表、
その立ち上がり、トップバッターを三振に取る幸先良いスタートを切ってくれた。
2番バッターは強打者。5年前のこの大会で、抜かれたら負けるかもしれない場面で右中間へ強烈な打球を喰らったバッターで一番怖かった。
紗央里が初めてのダイビングで止めてくれたことが、つい最近の出来事みたいに蘇る。
レフトの美咲は豆粒に見えるくらい下がって守る。
外野フェンスのないこの大会は外野のポジショニングが非常に重要で難しい。
この子はポジショニングの勘が優れている選手。
攻めるセンターのカバーもしないといけないからね。
結果はセンター前にヒットを打たれたが、芯を外した当たりでシングルヒットで抑えたのは上出来だった。
これでワンアウトランナー1塁。
ワイルドピッチで2塁へ進塁を許し、続く3番打者の打球は内野フライ。
よし!と思ったのも束の間、やはり緊張すればみんな周りが見えないのか、選手同士が接触し落球、ワンアウトランナー1.2塁となる。
嫌な空気を感じる。そしてミスは連鎖する。
4番の強打者を内野ゴロで打ち取ったにも関わらず、今度は3塁送球を落球。
みんなボールが手につかないまま、自滅しながらいきなりのピンチを迎えた。
ワンアウトランナー満塁。
5番バッターへの初球でパスボール。
負の連鎖が止まらぬまま、自滅は加速し1点を許してしまった。
ヒット1本で1失点。初回から出鼻をくじかれた。
ミスで出た重ねたランナーは得点に繋がりやすいが、ここまで続けば1失点は致し方ないくらいのバタバタだった。
なおもワンアウトランナー2.3塁のピンチ。
打球はセカンドへ。
これをまたまた弾くからヒヤッとする。
1塁送球間に合ってツーアウト。
その間に3塁ランナーが飛び出しホームへ送球、タッチアウトとなりようやくチェンジ。
バッタバタの初回の守りをようやく終えた。
あとから思えば、弾いたおかげでランナーをおびき出したので結果オーライ。
勝手に崩れて1点を献上してしまった。
この投手から1点を取ることは難しい。
1点を争う試合になると踏んでいたので、初回のこの1点は重く重くのしかかった。
1回裏、
内野ゴロ3つであっさり三者凡退。
やはり簡単に打たせてはくれない。嫌な流れを感じる。
2回表、
2つの四球とパスボールでワンアウトランナー2.3塁のピンチ。
エラーは付かないがファウルフライも弾くなど、もうみんなガッチガチ。
私はベンチで冷静を装いながら、どうなることやらと内心頭を抱えたが、ここはあゆみんが冷静にピッチャーゴロと三振で抑えてくれた。
まだまだみんなの表情が硬い。
2回裏、
この回トップバッターは打撃絶好調4番のあゆみん、詰まりながらもセンターに運ぶヒットで出塁し僅かな光が見える。
5番ゆみちゃんには、堅実に送ってもらうことにした。
これが決まってワンアウトランナー2塁のチャンスは作れたが、後続断たれてチェンジ。
ピッチャー以外に取らせたいのに全部ピッチャーゴロという、なかなか流れを呼び込めずにいた。
3回表、
上位打線を三振、サードゴロ、ピッチャーゴロの三者凡退で抑える。
ようやくいつものみんなが戻ってきた。
3回裏、
ワンアウトから9番なっちゃん、ワンストライクから叩いた打球は右中間に抜ける長打となった。
この投手からなかなかないチャンス。
まだ3回と回も浅い。
返球と同時のタイミングでも攻めるべく、3塁ランコ―の私は腕を回した。
結果はランナーが無理と踏んで三本間で止まってしまい、挟まれてタッチアウトとなってしまった。
このシーンは後から止めた方が良かったと散々言われたが、私は私の考えで回した。
もう少し回が進んでいれば、また簡単に打てる投手なら止めて大事に攻めただろう。
この場面はこのチャンスに掛けたかった。
次のバッターが1番紗央里でも、100%ヒットを打つことはできないし、サインプレーが決まる保証もない。犠飛があったかもしれないが、ランコ―の判断は確率論だと思っている。
ホームでタッチアウトとなったならばそれは私の責任であり、全ては結果論であるため批判は甘んじて受けるが、選手にはアウトになれば私のせいなのだから無我夢中で走って欲しい。
ただ、自分の足と相談して自己判断で走れないと思ったときは、私が回しても止まって構わないし、やばいと思うならベースを回る前にボールの行方を確認すべきだと思う。
ベースを蹴ったあとからボールの行方を確認する必要は全くない。
行くしかないのだから。
判断を誤って3塁を回ってから止まってしまったのなら、もはや迷わず3塁ベースへ飛び込むしか選択肢はない。キャッチはこの場面投げずに追う方がリスクが少ない。
ランナーが迷うと相手に余裕を与えるだけである。
行くか行かないか。
後方のランナーであれば先のランナーの援助で挟まれる選択肢はあるが、先のランナーに挟まれるメリットがない。
行くと決めたら迷わず走る。ボールの行方を見るコンマ数秒が重大なロスになる。
今後はホームベースだけを見て突進して欲しい。
これでツーアウトランナー無し、バッターは1番紗央里。
レフト前ヒットで出塁。ヒットが続いて出ると行ける気がしてくる。
2番詩音、普通ならここで盗塁を掛けたいところ。
キャッチの肩がやばいので走るタイミングが非常に難しく、よいカウントにしてくれたものの、流れを切ることに怖気づいてサインを出せずじまい。今後の反省です。
結果詩音もセンターへのヒット。これはみんな捉え始めたか?
徐々に見えてきた光の線が太くなってきた。
とにかく1点を取って試合を振り出しに戻したい。けど焦りは禁物。様々な感情が錯綜する。
ツーアウトランナー1、2塁。
1塁牽制のうちに3塁を陥れる紗央里、さすが!
こういう抜かりの無い走塁が相手にダメージを与え、チャンスを広げる。
ぜひみんなに浸透してもらいたい。走塁は足の速さよりも判断力と決断力。
走るのが遅いから走塁が下手だと思っている人は大間違い。
結局この回も無得点ではあったが、少しの手ごたえが生まれ、ゲームの流れを引き寄せた。
行ける気はしてきたが、何せまだまだ3回終わって1対0の1点ビハインド。
この試合が時間制であることが恨めしく感じる。
だが今のスワローは逆転できる力がある。その自信だけはあった。流れを掴み続けるには次の守りが重要になる。
4回表、
この大事な回をセカンドゴロ、サードゴロ、三振と文句なしの投球内容。
あゆみんの調子も上がってきた。
4回裏、
トップバッターは4番のあゆみん。またもヒットで出塁と絶好調は継続。
5番ゆみちゃん、今度はバントはいらないと判断。
ピッチャーが投げにくそうだなと感じていたその時、ゆみちゃんが振りぬいたライナー性の打球がレフトの頭を越えた。
足を痛めていることは重々承知で、頑張って走ってもらった。
値千金の逆転ツーランホームラン!!
やったぞ!!私は無言で両手を突き上げる。
そして3塁通過時にお礼のお辞儀をしたと思う。ありがとう、ゆみちゃん!
ベンチの前ではもうみんなが並んでお待ちかねのハイタッチ。
私も待って待って最後にハグ。しかし私の後ろにも長蛇の列が!
応援に来てくれた砥部クラブジュニアの子供たちやコーチも大はしゃぎ。
ゆみちゃんは一番ジュニアの練習手伝ってもらってるから、子供たちも嬉しかっただろうな。
ゆみちゃんはもちろん凄いけど、あゆみんのヒット出塁がマジでナイス!
ひとまず同点ではなく、一気に逆転したことで完全にゲームの主導権を握った。
4回終わって1対2と試合をひっくり返した。
5回表、
もうあゆみん自分の世界に入った感じを見受ける。
三振と2つのサードゴロで三者凡退の完璧なピッチング。心配することはもう何もない。
5回裏、
この回トップバッター、1番紗央里がレフトへのソロホームランを放ちダメ押しの1点が入る。
私はまた一人静かにガッツポーズ。
そしてハイタッチの列はまたまた長い応援団の列へ。
もう押せ押せムード。
2番詩音もツーベースヒットでチャンスを作ると、4番あゆみんがこれまたツーランホームラン!
想定外にもほどがある展開。スワロー打線は止まらない。
前半の緊張を返してもらいたいくらい。
5番ゆみちゃんはまたしても長打で3塁打。
ゆみちゃんの足は限界だったので、代走にかのんを入れる。
あまりに打つものだから、次の試合のことも考えたのと、2打席凡退のもえぴの気晴らしになればとスクイズをかけた。
絶妙なバントはキャッチが捕球し、確かに結果はホームアウトだったかもしれないが、ランナーはスタート切ってないまま中途半端にホームへ走りアウトとなった。
スクイズはピッチャーが投げたら迷わずゴー。その結果正面に転がってホームアウトや、空振りは作戦失敗だったというだけ。
明らかにスタートを切りそびれたのならば走るべきではない。
中途半端からは何も生まれない。迷わず突進することで相手の焦りを生む可能性だってある。
ランナーは迷ったら負け。迷ったら走らない。行くなら腹を決めてよいスタートを切るだけだ。
この回、まさかの3得点で1対5と大きくリードした。
6回表、
クリーンナップを7球で三者凡退に打ち取る。
もうこれで勝利は決定的なものとなった。
6回裏
ワンアウトからヒットで出塁のなっちゃん。
続く紗央里もヒットで1、2塁。ライトゴロになるまいと必死で走る。
2番詩音の内野ゴロが相手のエラーを誘って満塁のチャンス。
3番ななんみんの内野ゴロの間にランナーが帰り、1点追加となったところで時間切れゲームセット。
終わってみれば最初のバタバタは何だったのかと思うほど。
点数だけ見れば6対1で快勝した。いや、中身はめちゃくちゃしんどかったけど。
しかしそれだけ初戦は魔物がいるということ。
ベテラン相手にまだまだ青い我がチームは、全国が懸かった大事な大会の入りがガッチガチ。
3回くらいからようやくいつものみんなの表情になった。
5年ぶりとはいえ、全国優勝投手に対して12安打3ホーマーは上出来過ぎた。
全国の猛者たちと互角に渡り合うには、打撃強化>投手力強化>走塁強化>守備力強化と思って今年をスターとさせた。
年始から古海さんのピッチングクリニック、2月には山本優さんに個人のバッティング指導を受け、3月には渥美万奈さんと峰幸代さんに基礎トレから守備、走塁を教わってきた。
選手がうまくなるために、チームが強くなるために、頼れるものは何でも頼る。
所詮生涯スポーツと思われようと、私は競技スポーツのつもりで挑んでいる。
あとは選手たちが個々に何を感じ、何を学び、何を努力していくか。
毎日練習するわけではないので、その中で諦めも大事。個々に取捨選択して自分が磨くべきものを磨いていって欲しい。
何かを犠牲にせずして全国の上位には辿り着けない。
全国に出てくるチームはみんな本気だから。
自分たちで考え、意識や目標を共有しながら同じ絵を描いていく。
そして今年のチーム目標は全国ベスト8!
決勝戦の相手は松前ひまわりさんに決まった。
Bコートの整備と片付けを済ませ、Aコートへと移動する。
先発投手は足を痛めているゆみちゃん。
申し訳ないけど、投げれられるかどうかは確認しなかった。
投げてもらうしか私の頭になかったので。
応援団も大移動。
予定では12時試合開始であったが、11:45開始が決まる。
思い思いに時間を過ごし、その時を待った。