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渡せなかったもの

昔からクリスマスが好きだった。
街のイルミネーションの灯りや、ヨーロッパのクリスマス雑貨の雰囲気が好き。


あんなに嫌いだった家族のことを大事だと思うようになった。
クリスマス、何かしようかな。
来年も家族と一緒に住んでいるかはわからないし。
無職でお金があるわけではないので、安く買えるもので。
そう思ったのが12月の初め頃。


プレゼントは好きだけど少し苦手だ。
何を贈るのがいいか考えて探しても、これなら喜んでもらえると確信をもって買えることは少ない。
何日も何週間も調べて探してしまう。
そもそも、相手のこと、何が好きか知らない、ということにその時気が付く。


そこそこ冬は寒い地域なので、両親には靴下を。
調べまくってとりあえず買った。
でも、なんかしっくりこない。
気持ちが落ち着かない。
渡すことが楽しみに思えない。


なんでだ。


渡すかどうか迷い出していた。


昔、父の日にプレゼントをしたことがある。
その時に言われた。
「こういうものにお金を使うのはもったいない。」
服を買ったが、着ているところも見ることはなかった。
それ以降、父にプレゼントするのは止めようと思い、その時以来何もあげていない。
それを思い出し、迷い始めた。


母には、母の日にプレゼントしてきた。
喜んでくれることもあったが、私が普段から冷え性なこともあり、私がその靴下を使えと言われそうな気がした。


何より、私が無職の今、物を買ってプレゼントすることが、倹約家の彼らには喜ばれないだろう予感があった。
無職になって半年以上になる。
「プレゼントより就職は大丈夫なのか?」と思われる自信があった。
それは、私の将来を心配してのことだろう。
心配する気持ちはわかるけど。


どうしよう、決まらない。
モヤモヤ


一旦漫画読んで気晴らししていたイブの夜、思った。
私がまず自分らしく仕事して、自分の道を歩むことが、何よりも先だ!
私が元気でいないと伝えられるものも伝えられない。


私がしっかり稼いで、それからプレゼントしたい。
どっちにしたって父は、もったいないと言うだろう。
でも、渡そうが渡さまいが、何よりも、活躍して幸せでいる私になりたい。
そう思った。

今渡したい気持ちもあるけど、まずは私が幸せになろう。
だから、渡すのをやめた。
結局、朝起きるとやはり渡したくなり、一旦はそれぞれの部屋にプレゼントを置いたのだけど、どうしても気持ちが落ち着かなくて回収した。
なんか、渡せなかった。


少し切なかったけど、何となくホッとした。
でも、あげたかった気持ちも本当だし、大事な気持ちだ。
だから、その気持ちを胸に、私は自分のこと、頑張ろう!


念のため書くと、私が無職だからプレゼントするより就職が先だよな、と思ったわけでは全くもってありません。
でも、うちの両親は、素直に喜ばないだろう気がして、渡すのをためらってしまった。
大して喜ばれなくても贈りたい、とまでは思えなかった。
相手の反応によって自分の元気がなくなったり焦りに繋がる機会になるならやめようと。
それでもやっぱりあげたかったら、その時はあげてました。
無職だろうが関係ない。あげたければあげればいい。
今の私には、人に何かをあげる元気さはなかっただけ。


最近、私自身が、これからやりたいことへの気持ちがブレる。
モチベーション上がったり、急に今の自分に自信なくなったり。
もっと元気な私で渡したい。
そんな自分になりたいという話でした。

結局、自分のことかよ、と言われそうですが。。
本当だね。

今回あげられなかったプレゼントは父の日や母の日にはあげようかな。

親が求める普通の幸せに私はなれていないし、なれないかもしれない。
でも、私はわたしの道を進み、両親に、心から幸せだと言えるようになりたいと思う。
でも、今もまあまあ幸せなところはある。
そうは思えず、道を見誤った気がして落ち込む日もあるけど。
今の私にあるもの、たくさんある。
大事に思える家族がいる。
新しい生き方へ進んでいる。



・・・プレゼントは結局いつも自分の好みで買ってしまう。


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