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働き方実験【最終報告】【タダの箱庭】ギフトな世界からやりたいことを見つめ直す?
この記事は、あたらしい働き方ラボ、指定企画「タダの箱庭」における「働き方実験【タダの箱庭】ギフトな世界からやりたいことを見つめ直す?」という研究の最終報告になります。報告内容は以下の通りです。
実験の背景と目的
背景
55歳を迎えたIT業界のサラリーマンが、年々増加する生活費と退職後のライフワーク検討のため、本業で培ったスキルを活かし、副業としてECサイトの立ち上げやコンサルティング、マーケティングや広告運用などを行っている。その中で様々な問題に直面し、いろんな人と触れ合い、本当に自分にあった働き方は何なのかを探している。
目的
この実験はサラリーマン人生の終盤を迎え、<背景>にあるような問題を抱えている筆者が、老後に向けて幸せに社会にも貢献しながら生きるために、自分のやりたいこと(やるべきこと)を見つけることにあります。
研究活動の概要
研究活動は大きく「日々の活動」と「月一のやりたいこと整理」の二つです。詳細は本実験の実験計画「働き方実験【タダの箱庭】ギフトな世界からやりたいことを見つめ直す?」に記載していますが、日々の活動の内容や時間の配分を少し変えているので、以下に再掲します。
日々の活動
指定企画「タダの箱庭」の研究期間中、毎日1時間程度を目安として、以下のギフトな世界での活動を行いました。
ギフトな世界で何をするか考える(20分/日)
「タダの箱庭」の本を読んでヒントを得る
「タダの箱庭のDiscode」を見てニーズを知る(活動見直しで中止)自分の周囲に手伝えることが無いかを考える(活動見直しで中止)「タダの箱庭のDiscode」に読書感想を記載する
思いついたギフトな世界での行動をしてみる
(40分/日)(時間のある時にまとめて行動に変更)考えた内容で今後の計画を見直す(20分/日)
計画した行動があればその行動の結果を振り返る(20分/日)
行動した内容を記録する
自分の心境や考え方の変化を記録する
自分のやりたいことを新しく思いついたら記録する
やりたいことの整理
指定企画の研究期間、月末に行動した内容の整理を行います。
自分がやりたいことをやりたい順に並び替える
毎月末自分が一番やりたいことについて、5W2Hを明確にする
活動結果報告
活動のアウトプットとしては以下の3つを考えていました。
<アウトプット①> 日常の発信
日々の活動はnotionに記録
その中で周知したいものはSNSで映像を含めて発信
<アウトプット②> 定期報告
日常に記録し、月末に整理/報告・・・notion上で常に整理しながら進めていたこともあり少しづつ整理できていたが、時間を削減するために定期報告は省略した。それが原因で「問題の分析と対策」が疎かになっていた。
<アウトプット③> 中間・最終報告
本実証実験で決められている報告
本報告書は、研究活動状況の最終報告として「日々の活動」と「やりたいことの整理」結果を報告させていただきます。
日々の活動概要
活動開始から4か月半(7月1日~11月15日)における日々の日々の活動内容は、大別すると以下の4つに分類できます。
「地方活性化:ソーシャルビジネスの構想」
「プロボノ:プロフィールサイトの制作」
「地域活動:地域清掃やスポーツ振興のお手伝い」
「タダ箱:読書とオンラインイベント参加」
ここでは一番力を入れた「地方活性化」活動のみ報告させていただきます。
日々の活動>地方活性化:ソーシャルビジネスの構想
上述のとおり4つの活動の中で一番力を入れたのが「地方活性化」を目指した活動です。
具体的には以下のような活動で、第2の人生におけるライフワークの検討も兼ね、事業として継続できることが前提で、完全に見返りを求めない社会規範的な活動ではなく、市場規範的な側面もある活動です。
ソーシャルビジネスの構想
福岡県八女市黒木町にあるコワーキングスペースの活性化検討
奥八女の人口減少や空き家問題を解決するための事業構想
結果から先にいうと、使えるリソースや資金繰りの課題、距離的な問題による地域関係者とよそ者(自分達)の協力関係(つながり)不足、どこまでリスクを背負えるかなどの判断の難しさから、なかなか先に進めない活動になっています。
<コワーキングスペースの活性化検討>
福岡県八女市の黒木町にあるコワーキングスペース、河川公園を見ながら快適な施設を無料で利用できるという、都心にはない至れり尽くせりの施設ですが、利用頻度が低い状況になっているとのことでした。
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この状況を考えてみると、利用頻度が低い原因は以下のようなものではないかと思いました。
利用頻度が低い原因(想定)
近隣の大都市である福岡中心部から2時間程度かかるため都市部からの日帰りニーズが期待できない
地元黒木町にはIT系の従業員を大量に抱える大企業がなくテレワークのニーズがあまりない
各地を移動しながらコワーキングスペースを活用して働く「ノマドワーカー」や「デジタルノマド」を呼び込むにも長期滞在できる宿泊施設がない
市の管理施設であるがゆえ利用時間が9時~17時までになっているコワーキングスペースと、1日8~10時間を自分の生活リズムに合わせて働くといわれている「ノマドワーカー」の働く時間との間にズレがありそう。
問題の原因が上記想定通りという前提で、コワーキングスペースの活用案をいくつか考えてみました。
コワーキングスペースの活用案<その1:広報拠点>
案1)長期滞在型訪日観光客のコミュニティスペースとしての活用
黒木町は「八女茶発祥の地」で、黒木町周辺にも、インバウンドの外人観光客がちらほら見受けられる。実際に黒木町周辺に点在する民泊(ゲストハウス:天空の茶屋敷)には長めに滞在している外国人観光客の方もいる。彼らと黒木町住人スペーススタッフの親善の場としてコワーキングスペースを周知し、利用してもらうことにより、コワーキングスペースの利用率を上げるとともに、SNS等発信、くちコミでより多くの訪日観光客を黒木町に呼び込むための広報拠点として活用する。
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コワーキングスペースの活用案<その2:ツアー拠点>
案2)アドベンチャーツーリズムの拠点としての活用
黒木町は、茶畑や製茶に代表される農業だけではなく、1700年ごろから始まった織物業で栄えたころの歴史的建造物が数多く残存しています。
また地理的には豊富な森林資源を持つ奥八女地区への入り口にあり、材木や石材の事業者をよく見かけ、奥八女地区まで足を延ばせば材木や石材資源を生み出してきた自然を堪能できます。
これらの観光資源「自然・アクティビティ・文化」を上手く組み合わせた体験ツアーを企画する事業者を募り、コワーキングスペースを彼らの拠点として活用してもらう。
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しかし、この案は以下のような「使えるリソースや資金繰り等の課題」をクリアする必要があり短期的に答えを出すのが難しく、長期的な活動目標にきりかえ、本実験での取り組みは中止することにしました。
コワーキングスペースの活用の課題
課題1)コワーキングスペースの利用前提
公共施設としての利用はコワーキングスペースとしての活用が前提で、それ以外の利用は認めてもらえそうにない。
上記前提以外の利用の場合は、施設の購入から考える必要があり資金繰りが難しくなる。
課題2)現地常駐スタッフ
コミュニティスペースにしてもツーリズムの拠点としての利用にしても、現地に常駐のスタッフを配置する必要がり、スタッフを雇用するか、自ら移住して働くぐらいの覚悟が必要。
課題3)資金繰りとリスク許容度
上記課題を克服するためには事業計画を立て、資金繰りをする必要がある。そのためには、どういう体制で、いつまでに、どこまでリスクを取って、この活動をすべきか判断が必要。
<人口減少や空き家問題を解決するための事業構想>
前述の問題の打開策として、黒木町で安く利用できる拠点を探していたことがきっかけで、奥八女地域の空き家問題に気づき。
活動拠点の課題と空き家問題を一緒に克服することを期待して「人口減少や空き家問題を解決するための事業構想」を開始しました。
八女市の中でも一番山間部に位置する奥八女の矢部地区(旧:矢部村)、杣の里(そまのさと≒木こりの里)と言うだけあって、夏は里山農業、冬は林業がさかんな地域。高齢化がすすんでおり、空き家や耕作放棄地の問題を抱えている。
矢部村の中心部には福岡県から阿曽・くじゅう方面へのドライブやツーリングの休憩地となる道の駅「杣の里」や離れ宿(やべのもり)があり、週末になると交通量がある。「杣の里」の前を流れる矢部川には「矢部川源流公園」などファミリーが気軽に遊べる遊水公園があり、大きなダム湖や九州有数のロッククライミングが楽しめる岩場、岩場に隣接するキャンプ場(ハート岩キャンプ場)、登山が楽しめる矢部村山系(釈迦だけ)などアウトドアの観光資源が豊富。
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矢部地域の方々にご協力いただき、人口減少や空き家問題を解決するための事業が構想できそうか?矢部村の空き家の現状を見せて頂き、村の現状を伺いました。
ヒアリングした現状から人口減少や空き家の問題の原因を整理すると以下のような想定がなりたつと考えました。
人口減少や空き家問題の原因(想定)
山村の空き家は不動産業者が仲介・販売しているものだけではなく、空き家の持ち主が物件を処分せずに遠隔地にいる子世代が管理していていて特定しづらい場合も多い。欲しい物件を特定するためには地元の方に協力して頂き所有者を特定する必要があり、地元にコネのないよそ者にはハードルが高い。
物件所有者は既に高齢化していて管理の難しさを実感しており、物件を賃貸ではなく販売したいと考えている。またその場合の販売金額がおそらくニーズに合わない。
里山の空き家は、家だけでなく農地や山林、それにたどり着くための接道が付いている場合が多い。購入者はそれらをまとめて購入する方向になることが多く、また購入後もそれらを管理していく必要があり購入のハードルが高くなってしまう。
結果、自分の人生をかけて地域で働くぐらいの覚悟がないと、人口減少や空き家問題に対応できないほど、難しい課題になっている。
空き家が増え人口が減ると、民間事業者が営業できなくなり集落の魅力が低下する、結果として子供世代が町から離れざるを得ない。その結果、悪循環に陥る。
問題の原因が上記想定通りという前提で、人口減少や空き家の問題の解決方針を考えると。
人口減少や空き家の問題の解決方針
「若者」が戻ってきて働きたいと思える魅力ある職場(例:奥八女焚き火の森キャンプフィールド)をひとつでも多く作る。
民間事業者が事業をしやすくすること、具体的には、空いているリソース(公園、空き家、農地、山林)を利用したいと考えている人が活用しやすくなるように公の支援を拡充する。
「よそ者」が人生をかけなくても活動してみたいと思える環境と風土を地元の人が提供する。
「若者」や「よそ者」は環境とチャンスをくれた現地公務員や地域住民に敬意をはらい活動する。
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これらの活動は半年で成果を出すのは難しく、「あたらぼ4期:指定企画:タダの箱庭」の活動が終わっても地道に継続し、マイペースで事業として実現させたいと考えています。
日々の活動>数値目標の達成状況
活動できた日数は、当初計画していた毎日(153日)活動ができず、実際は76日(49.6%)という状況でした。ただ活動できた日は計画の最低1時間を大幅に超えて活動していたので、実験時間はある程度確保できていました。
やりたいことの具体的なイメージ
以下のような見返りを求めない、(社会規範的な)活動を行うことにより、新たな目線で今一番やりたいことをもう少し具体的にして、作業開始順に記載すると以下のような感じになります。
ソーシャル?ビジネスを始めたい(市場規範50%社会規範50%)
今回一緒に活動した心の豊かさを共感できる仲間とちょっとでも社会が笑顔になれるような持続可能な事業を起案してマイペースで進めていきたい。
福岡市周辺、佐賀県北西部地域の伝統工芸・産業をよそ者視点でマーケティングした商品開発(市場規範80%社会規範20%)
プライベートブランド(PB)を企画したい
PBごとにビジネスモデル(マーケティングモデル?)を検討したい
自宅の遊休地を活用したカフェづくり(市場規範90%社会規範10%)
活動を陰で支えてくれた妻とカフェを作りたい。
地域の人を呼んで体が動く限り楽しめる働き場所を作りたい。
ふり返り:自己評価66点
6か月間の振り返りとして、発生している問題の分析と対策を記載します。
<結果40点/50点中>自分が真にやりたいことが見つかったか?
見つけたやりたいことがどれだけ明確になっているか?(15点/25点中)
やりたいことの目標とコンセプトと仲間が明確になった。
自分達の得意とするところは何かを真剣に考えるようになった。
市場規範と社会規範でライフワークを考えるようになった。
具体的な活動内容まで明確にしたいと思っていたが、できなかった。
明確にした活動を開始したいと思っていたが、できなかった。
その動機は継続して維持できる動機になっているか?(25点/25点中)
動機は半世紀以上、自分の信条であり未達の目標である「美しく生きる」ことに通じていて死ぬまで継続できる動機になっています。(まだまだ不徳のなすところが多く道半ばですが、、、)
<努力26点/50点中>見つけるためにしっかり活動できたか?
実験期間内、日常の活動ができたか(日数)
日常の活動は「64.8%(活動83日/全128日中)」(6点/10点中)
活動した日はNotionを記録した。本業が遅くなったり、副業が重なったり、夜の飲み会などに参加したときは、どうしても予定していた日常の活動は出来なかったことが要因。無理せず楽しくできる範囲で最大限努力していた感じ。
当初予定していたSNSの発信をしなかった。(0点/10点中)
SNSを発信する準備に必要なコンセプトワークなどの時間を取るより、実際の活動に時間を取りたいと考えたことが要因。
定期的なアウトプットはすべて提出できたか(定期・中間・最終報告)
定期報告を省略した(0点/10点中)
日々のとりまとめで月間活動をnotion上で整理できていたが、それをnoteで報告する手間を省いた。
中間報告、最終報告は提出てきた(20点/20点中)
気づき
【知見1】自分を責めず、やらないことを決める!
限られた時間の中で、可能な限り活動時間を割いていることは自分をほめてやるべきだと思います。
ただ、それでも成果がでないのは「できないことを決められない」ことにあるような気がします。
やりたいことの中から今やるべきことを取捨選択し、目標設定/計画することができないと、サラリーマンが副業をしながら新たに実りある活動をすることは難しいと改めて感じました。
【知見2】プロボノは大事な友達を増やすチャンスをくれる!
自分が今までやってきて少し自信がある分野で、見返りを求めず人に尽くすという事は、自分にとってあまりメリットが無いことと思っていましたが、実際にやってみると、そんなに苦労せずに、人との結びつきをより深くするチャンスを与えてくれることに気づきました。
自分ができることを人に与えると、おのずと人から何かをえることが出来る。「頭は下げるものではなく、頭は下がるもの」ってタダ箱本に書いていたけど、これは本当だって実感することが出来ました。
【知見3】地域活性化したいなら、その地域に暮らすのが近道!
地域を活性化するには、その地域住民を知ることが大事なのはわかっていたが、それだけでは不十分で、地域住民から信頼をえることが大事。
実際に地域に暮らしながら、地域の頼まれごとに応えていく中で、やることも、顔見知りも、物件数も、俵山ビレッジに来る人も増えた、最近は、移住希望者やボランティアスタッフとして訪れる人も増え
俵山ビレッジ代表の「吉武大輔」さんの記事に上記のように書かれていたが、自分も半年間、地方創生活動を目指し実際に活動してみて。その地域のコミュニティで「おかげさま」の心がお互いに芽生えないと地域の方から信頼を得て、地域活性化の事業を成功させるのは難しいと強く感じた。
あとがき
今回は色んな活動とかぶってしまい、行きたかったタダ箱のオフ会やサイハテ見学に行けなくなったり、あたらぼ「指定企画:タダの箱庭」の定例化にも参加できないことも多々ありました。そんな私がたまにオンラインMTに参加したときにでも優しく受け入れてくれた。タダ箱運営やメンバーの皆様に心より感謝させて頂きます。
また、本研究の題材となった活動を一緒に実施してくれた友人と友人の知人、それに八女市黒木町でお世話になった方々に心より感謝させて頂きます。
55才になっても、まだまだ未熟で色んな方にご迷惑をおかけしながら色々学んでいる状態ですが、マイペースで力を蓄えて、社会に恩返しできる人間に成長したいと思います。関係者の皆様、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
本記事は、ランサーズ新しい働き方LABの「研究員制度」第4期の活動の一環として、【指定企画:タダの箱庭】で行う「働き方実験」の中間報告として研究計画をまとめたものです。