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【透析患者さんの水分管理】減塩の習慣化で、ストレスは軽くなります。

透析患者さんが困ること。

最初に思い浮かぶのは、水分制限です。

もう透析を受けている方は、ご存知だと思いますが、腎不全になると塩分や水分の制限が必要になります。

日本人が大好きな、白ごはんに味噌、醤油、漬物、佃煮は最高です。そして塩辛いものを食べたあとに飲むお茶も美味しいですよね。

そんな慣れ親しんだ食事を変えていくのは大変です。特に美味しいものを食べるのが楽しみでない人はいませんから。

「制限しろといわれても、どうすればいいんだ」特に自炊しない独身の方や時間のない方は途方に暮れてしまうでしょう。

わたしは多くの患者さんの透析に関わってきました。治療のためとはいえ美味しい食事を制限するように伝えるのは辛いです。透析だけでも辛いのに、さらに追い打ちをかけるようなことは言いたくありません。

私なら、やけくそになってしまいそうです。共働きの私も、疲れた時や時間がないとき、スーパーで買ってきた惣菜や弁当で済ませてしまうことがあります。
透析にも時間を奪われてしまいます。制限なんか無理だ。そう思われたあなたに、ストレスを貯めない制限方法のお話しです。

【辛い制限をストレスなく習慣化する方法】

ドライウエイト「以下DW」を理解する。

腎不全になって透析を受けるようになると、水分管理が必要になります。

水分管理は、腎不全で尿が出なくなった透析患者さんに、最も重要と言っても過言ではありません。

水分管理には、まずドライウエイト「DW」について理解する必要があります。

腎臓は、体液量が一定になるように調整しています。

ところが、腎不全になると多くの場合は、無尿「1日500ml以下しか尿が出なくなる」になるので体液量の調整ができません。

簡単に言うと水分を取りすぎると体に溜まってしまいます。体液量が増え続けると、行き場のなくなった水は肺に漏れ出て呼吸ができなくなります。そこで水分管理の指標として考えられたのがドライウエイトです。

正常な体の約60%は水です。

先程も説明しましたが、腎不全になると、水を飲んでも尿として水分を排出できないので、体の水分の割合が増えてしまいます。その余分に溜まった水分を透析で除去します。

透析で除去する水分量の目安とする体重が「余分な水分が溜まっていない体重」ドライウエイト「以下DW」といいます。

透析前に体重を測り、DWを基準にして透析で水分を除去「除水」することになります。

透析は、体に溜まった余分な水分や尿毒素を取り除く、腎臓の代わりです「腎代替療法と言われます」。透析は、週3回、1回の透析を4~5時間かけて行うことで腎臓の代わりになります。

しかし問題は、正常な腎臓のように24時間働き、水分や尿毒素を常に管理することができないことです。

透析をしていない時は、水分や尿毒素が溜まっていくので、ある程度は制限が必要になってきます。

体重増加量の目安は、透析間「2日空き」の体重増加量がDWの5%以内「50kgなら、2.5kg以内」に抑えるように水分制限するのが目標となります。

水分を取りすぎて、体重が増えすぎると、透析で急速に水分を除去「除水」することになります。その結果、血管内脱水に起因した、副作用に悩まされることになります。

血圧低下、下肢つり「痙攣」、頭痛、ひどくなるとショックを起こして意識を失うこともあります。

また、透析の後も、強い倦怠感や立ちくらみに悩まされることが多くなります。立ち暗みで、一時的に意識を失い、転倒して怪我をされることもあります。
患者さんから、「透析はしんどい」「生きる楽しみが減ってしまった。もう嫌だ」「制限したからといって治るわけでもないし」「美味しいものも食べれないなんて」と声が聞こえてきそうです。

水分管理の必要性が理解いただけたでしょうか?逆に言えばこれらの副作用の殆どは水分管理がうまくできれば起こらないといえます。

いかにストレスを少なく水分制限を習慣にするか考えていきましょう。

水分制限のポイント

一番の楽しみを奪われたような、制限ばかりの治療、いかにストレスが少ない制限を習慣にするかが成功の秘訣です。逆を言えばストレスになるような制限は続けることができません「諦めましょう」。

水分だけ抑えるのは無理。

人の体は恒常性といって一定の濃度に保たれるようにできています。

簡単に言えば、塩分をとると、喉が渇き飲みたくなるということです。

塩分8.0gをとって、喉の乾きが治まるには1000mlの水を飲まなければなりません。強靭な精神力があっても塩分をとってしまったら我慢できません。

ポイントは、水分ではなく、塩分を減らす。

続けるには、ストレスにならない方法で減塩することです。

醤油はかけずに、小皿からつけて食べるようにしてみてください。かけるより少量でしっかりした味で美味しく食べることができます。

ラーメン1杯は、1日分の塩分と水分をとってしまうほどの塩分量です。「ベテランの透析患者さんから、ラーメンほど悪いものはない」と何度も聞いたことがあります。
ラーメンのスープや味噌汁を飲まなければ「減らせば」、他に美味しいもので塩分を取れます。

つい醤油やソースをかける習慣がある人は、料理をそのままの味で食べてみましょう。意外と美味しいことに気づきます。漬物や佃煮、ふりかけがなくても、おかずがあればご飯は美味しく食べれます。

贅沢ですが、塩分が多いもので、それが大好物でなければやめてみましょう。

「好物をやめるのはストレスになるので諦めます」。

食べ物は、品数多く、満遍なく、毎日同じ物をたべないよう心がければリスク分散できます。

塩分のとりすぎると喉が渇き水分を多く摂ることになります。

しかし塩分をとってはならない訳ではありません。あくまでも減塩「少しでも減らす」が目的です。

好物でないものから塩分が多いものを外すとストレスなく続けることできます。

ストレスなく、減塩する習慣を身につければ、うまくいくようになりまます。

塩辛いものを食べすぎて喉が渇いたときの水の飲み方

喉の乾きが、我慢できなくなったら、コップ1杯の水を遠慮せず飲んでください。それから30分は我慢してください。

そうすると、落ち着いてきます。どうしても落ち着かないようなら少しずつ水分をとってください「そのときに甘いものやお菓子を食べたりしないようにしましょう」。

ポイントは喉の乾きが落ち着くまでには、飲んでからしばらく時間がかかるということです。それまでに喉の乾きが治まらないからと何杯も水を飲むと、水分を取りすぎて、また塩辛いものが食べたくなります。

この悪循環におちいると、取りすぎた水分を透析で無理をして「大量に」抜くことになるので、透析の後は、喉が渇き水分を取る悪習慣になってしまいます。

この負の悪循環が習慣になると最悪です。こうならないように減塩の習慣を身に着けましょう。

減塩の習慣を味方につければしめたもの。

① 減塩は好物でないものから習慣にする。

② 品数多くでリスク分散

③ 塩分をとって水分だけ制限することはできません。塩分を控えれば飲もうにも、たくさん水は飲めません。

そもそも、日本人は塩分を取りすぎだと言われています。健康な方は12gぐらいでしょうか。透析では6~8gに抑えることができればうまくいくきます。

時には体重増加量が、オーバーすることがありますが、塩分を控え、一気に水分をとらない習慣が身につけば、殆どはうまくいきます。

透析毎の体重増加量を確認して振り返れば、コツが分かってきます。

自分の人生にかけがえがない時に、塩分が多いことが分かっていて食べた大好物や、乾杯のビール。納得できるのであれば後悔はありませんよね。

時には、体重増加量がオーバーしても、その理由がわかり納得できれば次はうまくいきます。

透析を受けて、いつもの習慣にもどせば大丈夫です。

ストレスをためないことが、長続きの秘訣です。

小さな減塩が、塵が積もって山となります「習慣になります」。習慣になってしまえばうまくいきます。なぜなら人間は習慣に支配される生き物だからです。

外食でちょっと味が濃いなと感じるようになれば、成功です。塩辛いものを食べると、辛すぎると思うようになります。

丁度よい、塩加減がわかるようになったということです。

外食「中食、コンビニ弁当」の多くは、塩分が驚くほど多く派手で万人受けする味付けになっています。

私も、一時期高血圧の指摘を受け。運動と減塩を勧められました。

かかりつけ医で「鍋物は、ポン酢はやめて、酢だけでたべなさい」といわれ「先生厳しすぎるのでは…」と思いつつ試してみました。やはり美味しくありません。ところが、継ぎ足すときは酢だけでも以外に美味しいんです。

私は、ご飯の、お供のふりかけ、塩昆布は少しにします。漬物は買ってこないようにしています。

運動は苦手なので続かないので、仕事をキビキビやることにしています。

ちょっとした減塩を習慣にしましょう。


私も、外食や田舎料理や漬物は、ちょっと塩辛いなと感じるようになりました。減塩習慣が身についてきた効果か血圧も上がらなくなりました。
減塩は、透析患者さんだけではなく、全ての方が食生活で身につけておくべき健康習慣です。みんなでストレスのない減塩習慣を身に着けましょう。


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