ドラムはじめて物語〜最終回〜
~前回までのあらすじ~
「ある日のライブで痛い失敗をしてしまったansony。でもその失敗により、大事な事が見えてきた。」
もう周りの反応なんて気にしないぞ。
あのライブ以来、とにかくまず自分達が楽しむことだけに全力を注いだ。
そう決めたら本当にライブが楽しくなるから不思議。
それでもやっぱりドンビキな会場の雰囲気に心が折れそうになる時もある。
そんな時は二人で目を合わせて励まし合い、テンションをあげていった。
それに…
「毎回お客さんはゼロに等しい」のは本当だったが決してゼロなわけじゃなかったのだ。
こんなansonyのためにわざわざ足を運んでくれる人が、2~3人はいたのだ。
それはとっても有り難いことなのにansonyを見に来てくれた大切な2~3人より後ろで冷ややかな視線を投げてくる人達に気を取られていた我々、なんてバカだったんだろう。
たった2人でも、ansonyを応援してくれてる人がいるじゃないか。その2人を楽しませないでどうする!
だいぶ時間はかかったが気づけて良かった。ansonyのライブは少しずつだが確実に変わっていった。
しかし、だからといって
人生そんなに甘くはない。
バンドとしては特に何の進展もなく、そしてあのやけくそライブ以上のポテンシャルもなかなか出せずにいた。
そんなある日、またしてもあの怖いと噂の店長がひろゆきに向かってこんなことを言ってきた。
「ひろゆき君からはどうもパンクの匂いがするんだけどねぇ…。君の本当にやりたいことはそっちなんじゃないの??」と…。
その頃のansonyはパンクっぽい歌ものという感じだったが決してパンクバンドだったわけではなく、ジャンル分けするとポップバンド寄りだっただろう。
しかしひろゆきの根っからのハードコアパンク好きは隠しても隠し切れない。
あの店長はその匂いを嗅ぎとったようだ。
そして
「あの時のようなライブが見たいねぇ…」
と店長。
あの時のようなライブとはもちろんあのヤケクソライブのことだ。
あのヤケクソライブはひろゆきのパンク魂が炸裂していた。
店長はひろゆきのパンクなステージを期待しているのだ。
でもひろゆきが店長に言ったセリフはこうだった。
「僕たちはポップバンドをやり続けます」
店長はとても残念そうだった。
そしてそれ以来、店長の策略なのかブッキングは超がつくほどのポップバンドとの対バンばかりになってしまった。
「ひろゆき君はポップバンドなんでしょ?それはこういうことだよ」
と言わんばかりに…。
うーん。
たしかにひろゆきはポップバンドをやりますと言った。
でもansonyは普通のポップバンドの中に入ってはちょっと激しすぎるのだ。
おかげで会場のドンビキっぷりはさらに拡大していった。
そしてその頃からひろゆきの奥底に眠っていたハードコアパンク魂が少しずつ芽を出しはじめ パフォーマンスはどんどん過激に。
ポップな楽曲に、激しいステージング。
なんかチグハグ。
本当にやりたいことはなんだ!?
ポップなのかパンクなのか?
ansonyは一体どこに行くのだ?!
そして2人は決断した。
今度こそ本当にやりたいことを見つけ出直そう。
2007年6月、約3年の活動を経てansony解散。
そして翌年、2008年2月2日…
じゃじゃじゃじゃじゃーん!!
ひろゆき&さおり、ついに夫婦に♡
皆様が1番知りたいのはやはりこの部分だと思いますが、ラブラブすぎて書けないのでまたしても割愛。
詳しく聞きたい人はぜひライブにお越し下さい♡
大好きな人との結婚生活はとてもハッピーで楽しすぎる毎日。
新婚生活を楽しみつつ、新バンド結成に向け着々と準備を進めていた。
さおりはこのころ流行り出したブログ「アメブロ」を始めた。
文章を書くことは好きだったので楽しみながらバンドのことも宣伝。
不思議なものでansonyの時にやっていたブログは閑古鳥が鳴いていたが、アメブロでは音楽仲間が沢山出来た。
ひろゆきは作曲活動を開始。
次のバンドはansonyよりもっと激しくパンクな感じにしよう。
(店長・・・やっぱりこうなりましたw)
バンド名は何にする?
夫婦となったひろゆき&さおりの家族会議は専ら湯船の中。2人で湯船に浸かりながらあーでもない、こーでもないと語り合う楽しいひととき。
「一発で覚えられる名前がいいよね」
「長いと覚えずらいから短めかな?」
2人の意見が一致。
「鎖」
というのが候補に上がった。
いいねぇ〜!!
「ステージとフロアの垣根をなくし、メンバーもお客さんも鎖のように強い絆で繋がって楽しみたい」
そんな想いを込めて「鎖」に決定!
そして…
2009年5月24日、夫婦パンクバンド「鎖」新宿JAMにて初ライブ!
ansonyの時はあんなにガラガラだったのに、アメブロで知り合った方々がたくさん集まってくれた。
SNS効果恐るべし。
たくさんのお客さんが応援してくれた鎖初ライブ。
嬉しかったーーーー!!
ここに来るまでに本当にいろんなことがあった。
決して楽しいことばかりじゃなかったけど
無駄なことは何ひとつなかった。
バンド探しに迷走していた頃、もうこれで最後にする、と決めて出たひろゆきからの電話。
あの一本の電話でさおりの運命は大きく変わったのだ。
将来を共にする大好きな人に出会えた。
そしてこれを読んでくれている貴方とも出会うことが出来ました。
音楽をやってなければ出会うはずもなかった素敵な出会い。
いまもこうやってバンドを続けていられるのは支えてくれてるたくさんのクサリスト達のおかげなのです。
ほんとうにありがとう。
ステージから見えるみんなの笑った顔、サイコーだよ!
鎖物語は今も続いています、もっともっと楽しいことしていくよ。
これからも末永く、鎖をよろしくお願いします。
~おしまい~