【ドラムはじめて物語〜その③〜】
前回までのあらすじ・・・
「ドラム歴2ヶ月のさおり、女性ドラマー募集の貼紙を見て、プロ指向のバンドにもぐりこむことに成功!!」
さてさて、翌週から週イチでスタジオリハがはじまった。
この頃、銀行で働いていたさおり・・・
昼は人様の金を数え、夜は小節を数え、とにかく曲を覚えるために1人でほぼ毎日スタジオに入っていた。
しかしなぜかちっとも上達しない。
正確に言うと上達していない事に全く気付いていなかった。
これだけ練習してるんだから当然上手くなっているだろうと、またしてもかなりの勘違い。
ではなぜそんなに練習しているのに上達しないのか!?
それは今だから分かる事だが、ひたすら曲だけを練習していたから。
ドラムに限らず他の楽器でもスポーツでも絶対に大事なのは「基礎練習」
その大事さに気づくのはずっとずーーっと後になってからで、あの頃は曲だけを叩いて遠回りな練習をして満足している自分がいた。
結果、バンドでやっている曲はなんとか形にはなったものの基礎が全く出来ていない為、それはそれはひどいものだった。
まぁそんな感じでドラムの腕はさっぱり上がらなかったものの、週一のリハと飲み会でバンドマンぽい日々に満足していたわけだが、ひとつだけネックになっていることがあった。
それは・・・
「彼氏」
バンド活動に反対していた彼は、さおりが男と一緒にバンドをやっていることが許せない束縛君で、リハに行くたびに機嫌が悪くなる。
あぁ、めんどくせぇぇぇ。
このままじゃこの先思いやられる。
だってほら、プロ指向なわけだし w
そこでさおりは作戦を考えた。
「彼氏をバンドメンバーに会わせてみよう」
どんな男とバンドをやってるのかわからないから心配するんだろうと考え、「今度スタジオ来る?」と誘ってみた。
正直なところバンドメンバーは決してイケメンではなかったので(失礼)、会ってみればこれはないな・・・と彼も安心するかなと(だいぶ失礼)
当日。
異様な雰囲気のスタジオで微動だにせずリハをガン見する彼。やりずらい。
でもイケメンではないメンバーとご対面して、彼も少しは安心してくれたかな?
しかしメンバーに会ったからと言って彼の心は変わらず、逆に嫉妬心に火がついたようだ。
さおりの作戦は失敗に終わり、スタジオに彼氏を連れて来ちゃうなんか痛い人・・・とメンバーに思われただけの悲しい結末となった。
そして
「バンドと俺とどっちが大事なの?」
とドラマに出てくるようなセリフを突きつけられさおりはついに別れを決意。
さよなら・・・20代の恋。
一度は好きになった人なのでお別れは悲しかったけど女は切り替えが早い。
さーて、これで誰にも気兼ねなくバンド活動に打ち込める!
と思った矢先・・・
今度はバンドのベース君がなぜか急に冷たくなった。
なんでよ・・・!?
スタジオでは目も合わせてくれないし、まともに口も聞いてくれない。
その理由は3週間後に判明。
「さおりの下手くそドラムには合わせられない。あいつ全然上達しないし!もう無理だ!」
という理由を彼の「友達」から聞きました。
ええええーー、そうなんですかぁぁぁ!?
というか、そういうのはちゃんと自分で言ってよ!
さっぱり上達しないさおりに、ベース君はシビレを切らしたようだ。
鈍いさおりはそんな彼の気持ちに全く気付くことなくその日を迎えてしまった。
目も合わせてくれないベース君に向かって
「辞めてやるっ」と叫び、
ドラムセットを投げ付け(イメージ)
自ら辞めてやりました(世間ではこれをクビと言います)
まぁいつまで経っても上達しなかったさおりが悪いんだけど今までなぜ何も言わなかったんだ!?
さおりはクビになったことより、何も言ってくれなかったこと、
最後の最後まで「ベース君の友達からその事実を聞いたこと」に非常に腹を立て、
自分の下手くそ具合をすっかり棚に上げて「ふざけんなバカヤロー!!!絶対に上手くなって、見返してやるっ!」と復讐心に燃え、クビになった翌日から新しいバンド探しの旅にでたのであった。
逆境に燃える下手くそドラマーさおり。
結局そのバンドに在籍したのは約1年、クビになる直前に一度だけライブもやったかな。
今思えば一年持っただけでもすごいし、とっても良い経験になったと思う。
あのときのメンバー、、、、、どうしてるかな?
プロになれたかなー?笑
では次回は勘違いさおり、「バンド探しの旅に出るの巻き」です。
復讐に燃えているさおりのバンド探し、なかなか濃いのでお楽しみに。