ドラムはじめて物語その⑪〜チャンス到来?〜

~前回までのあらすじ~
「サポートベースが抜けて2ピースバンドとなったansony。頑張れば頑張るほど空回りする辛い日々。さてこんな状況から脱出できるのか?」
 
ansonyの楽曲はこんなにもカッコいいし最高のバンドなのに、何故みんなこの良さが分からないんだ?

そうか、ansonyは世間に知られていないからだ。ただそれだけの事だ。

そこでansonyの存在を知ってもらうためオーディションに応募するようになった。

しかしどれもこれも見事なまでの不合格。

みんな見る目ないねぇ〜。

でもひとつだけ、自信があるオーディションがあった。

その頃、年イチでやっていた「ストリートブレイカーズ」というオーディションで、千葉県の柏駅前で大々的にストリートライブができるイベント。

まずはデモテープ審査に通れば一次は合格。そして二次は柏駅前の特設ステージでストリートライブ。

優勝バンドはなんと賞金100万円

ほ、ほすぃ!!!

このオーディション、実は悪影響の時にも一度受けていて一次のデモテープ審査に合格し、優勝100万円には届かなかったものの、ライブでは相当な盛り上がりをみせた輝かしい過去があるのだ。

これならきっとイケる。

ansonyでもこのオーディションに応募。
少しでも多くの人に知ってもらうために。
(そしてひゃくまんえん・・・)

ま、悪影響時代の手応えはあるし、とりあえずデモテープ審査には通るだろう。

しかし、現実は甘くなかった。

オーディションはまさかまさかの不合格。
100万円どころか一次のデモテープ審査さえ落ちてしまった。

ま、まじかよ・・・。
絶対受かる自信があったので流石にこれは凹んだ。

神様は意地悪だ。私たちを弄んでいる。

オーディションに落ちた数日後・・・・・・ひろゆきの携帯に一本の電話が入った。

その電話の主とは、なななななんと!

あの大手メジャーレーベル、ソ○ーミュージックだったのだ。

キャーーーッ!
ついにキターーーーー!!
なになになになに!!

その電話の内容は、先日不合格だったストリートブレイカーズのオーディション、今回は趣旨がちょっと違ったので不合格は間違いないのだが

たまたまそのデモテープを聴いたソ○ーの方が、とてもansonyの楽曲を気に入ってくれたらしく「ぜひとも一度話をしたい」とオファーの電話をくれたのだった。

ちなみにひろゆきは仕事中で電話に出られす、留守電にソ○ーさんから熱いメッセージが入っていた。

そして最後に「また電話します」と…。

その話を聞いたさおりはひろゆきに「今すぐ電話しろー!!」と猛烈にプッシュ。

しかしひろゆきは
「向こうから掛けてこいや」
と、ふんぞり返っている。

おぃ・・・・・・

「また電話します」っていうのは大人の社交辞令、「電話下さい」って意味なのよ、分かる!?!?

と、ひろゆき説得して折り返し電話をかけさせた。
しかし残念ながら担当者不在。
「また電話します」と受付の方に伝言を残して電話を切った。

そしてそのあともまたソ○ーから電話を頂いたのだが、今度はまたひろゆきが出れず…。

さおりは「繋がるまで電話しろ!」と彼を説得したが、ひろゆきが折り返し電話をかけたのは結局、最初の一回だけだった…。

そしてそのうちソ○ーからは電話が来なくなりついに一度も直接話さないまま、お流れとなったのでした。

ひろゆきは決してこの話に興味がなかったわけではない。

さおり的にはめったにないこんな大チャンスを逃すなんてもったいないっ!
何が何でも連絡取れ~!!

ってな感じだったけどひろゆきは至ってマイペースだった。

彼いわく
「ansonyに本当に興味があるなら必死で連絡してこいや」
とのこと。

こいつ…

態度だけは大物アーティスト。

果たしてソ○ーの話は一体なんだったのか。そして、音信が絶えてしまったのは
ansonyに大して興味があったわけではなかったのか。
真実はわからないまま、メジャーレーベルとの接触は幕を閉じたのでした。

あの時さおりは、ビックチャンスを逃してしまったことを少なからず悔やんでいたが、いま思えばあれで良かったのだ。

あの頃の私達はまだまだ未熟者…。

たとえソ○ーがおいしい話を持ってきたとしても納得がいくライブをする実力がなかった。

チャンスがやってこないのは準備不足だから。実力が備われば必ずチャンスはやってくる(と、なんかの本で読んだ)

そしてまたansonyは閑散としたハコでドン引きライブな日々に戻るのであった。

つづく。

(次回予告)
先が見えないansonyだったがついにある事に気付いてしまった。ある事とは!?
お楽しみに。

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