ドラムはじめて物語その⑧〜悪影響の行方〜
~前回のあらすじ~
「生活のほとんどをバンド活動に費やしていた悪影響。その甲斐あってバンドは少しず大きくなってきた。しかし、一人だけ足を引っ張る人物が…」
こともあろうに足を引っ張っていたのはバンドの要でもある金髪ひろゆきでした。
彼は悪影響がだんだん自分の思い描いていた方向からズレていくのに不満を感じていたのだ。
そしてさおりのドラムは相変わらず下手くそだった。
にもかかわらず、悪影響はおいしい思いをいっぱいさせてもらった。
実力に相応しくないぐらいの大きなイベントに出演させてもらったり、なかなか豪華な対バンと組ませてもらったこともあった。
なんとあのバン○オブチキンや、エル○ガーデンとの対バンとか、いま思うとかなり貴重な体験!!
しかし悪影響が大きくなればなるほどテンション下降まっしぐらなひろゆき。
そんなある日・・・
悪影響で一番精力的だったあの江○洋介風のベーシストから衝撃の告白・・・
それは「バンドを辞めたい」と言う、江○洋介が悩んだ末に出した結論だった。
その頃の悪影響はストリートも含めると月に7~8本ライブをやっていて、表面的にはバンドは絶好調といった感じだった。
でもフタをあけてみるとテンション下降のひろゆきと、下手くそドラムのさおり。
脱退したくなるのも無理はない。
そして彼の脱退表明をきっかけに悪影響は解散することに。
さおりは一生懸命やってきたバンドがなくなることに少なからずショックを受けたがひろゆきはほくそ笑んでいるようだった。
チャラい悪影響をやっと辞めれる、と。
でも、ひろゆきは決して音楽をやめようと思っていたわけではなく、もうすでに新たなるバンド結成を企んでいたのだ。
そう、「チャラくないバンド」を…。
それはさておき、解散を決めたのはいいが既に決まっているライブが何本かあった。
けじめとしてそれはすべて消化してから解散しよう。
解散発表のライブは銀座にあるお洒落なバーのような所だった。
会場入りしたときからそこのオシャレな雰囲気は悪影響に向いていないことはわかっていた。
(イヤな予感・・・)
でも、とりあえず一生懸命やろう。
ずっと応援してくれたファンにちゃんとお礼をして、そして解散を発表しよう。
そう話し合ってステージに立ったのだが、
ひろゆきがMCで発したセリフはこちら
↓
「俺ら悪影響は解散することになった。でもおまえらには関係ねぇ!」
いやいやいや、関係なくないですw
何故かマジ顔でキレるひろゆきに会場は一気に凍りつく…
もちろんそれは決してファンに向かっていったわけではない。
後ろの方で「やだ~あのバンド、チャラ~イ」と遠巻きに見ているお客さんに腹が立っての発言だったようだが
もちろんそれは単なる思い過ごし、みんな普通にライブを見ていただけなのだ。
そして解散発表から一ヶ月後。
ついに悪影響ラストライブ。
さおり加入からちょうど3年経った夏の日だった。
ラストに相応しく集客は過去最高。
最後の最後まで悪影響はファンが盛り上げてくれ本当に恵まれていた。
そしてその状況を当たり前だと思っていた。
悪影響解散後、あの盛り上がりがどんなに有り難かったかを思い知らされる事になるとはこの頃はまだ知るよしもなかった…。
さてさてひろゆきとさおりの運命はいかに!?
つづく。