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柿の木
柿の木に遊ぶカラスや冬夕焼け(長谷川作)
近所の農家に大きな柿の木が立っている。
地主さんもいつごろから立っているのか知らないという。
柿の木は枝を大きく四方に広げ、たわわに実をつけている。
庭の植物は人間に管理され育てられているのに
柿の木は野生のまま、
勝手に生きている。
地主さんは柿の木を伐採はしない。
昔、旅人が自由に食べられるように柿は
実を取らず、そのままにしていたと言い伝えられている。
人は柿を大切にしてきたのだ。
この辺りには古くからの農家が多く、
庭には当たり前のように
柿の木が立っている。
柿の木は人間に支配されることのない
最後の木かもしれない。
私は柿の木の前でいつも足を止める。