易者の予言

英会話スクールのすぐ近くに易者さんのコーナーがある。
ふっと寄ってみた。

「タロットで見てみましょう。おー、こんなに良い札が揃って出ることはめったにない。世が世ならあなたは一流会社の社長かマネジャー」

ま、そうかもね。

「あなたにはオール・ラウンドの才能がある。人を率いて何かを進める並外れた能力がある。運勢では、あなたは他人を率いる軍団の長」

ふんふん、一部、当たっている。

「あなたは外国語が好きですね」

今、そこの英会話学校から出てきただけだから、確かにね。易者さんでなくても分かるよね。
　
「男性運はどうでしょう」

「あなたを心から尊敬し、人として愛している男性がいます」

わ、それ、ほんと？

「その人は年齢差、立場の違い、いろいろな困難があることを知って自分の恋が成就しないことを認識しています」

誰かなあ。あの人？それとも……。

「今は、男・女を超えた愛であるしかないと自分を納得させ、遠くからあなたを見守っています」

見守っているだけなんて……。

「今年はあとわずか。彼は少しは動くでしょうか」

「動くことをあきらめて、ただただ見守っています」

少しは動けばいいのに……

「それほどにあなたを人として尊敬しているのです」

ほんとに私を好きなの？

「彼は、このカードの絵のように」
易者さんは真剣なまなざしで、

「崖っぷちに必死でしがみついている」

彼の愛易者によると崖っぷち