抗癌剤の副作用(続編)
今日は朝4時起き、6時までにやるべき家事を終える。シミやら隈やら色素の浮き出た顔をサングラスと大きなマスクで隠し、早朝のバスに乗り駅まで。駅からバスを乗り継ぐ。
バスはがら空き、開いた窓から風が吹き込む。とても気持ちがいい。3密とは対極のドライブ。病院前で全員下りた。乗っていたのは患者と病院職員だけだった。
外科外来は3月までは椅子にぎっしり患者が座っていたが、4月になってからは長椅子一つに座っている人は一人。
寂しいぐらい患者が減ったよ~。一番目に診察室に入れたよ~。
手足のしもやけみたいな腫れと、顔に浮き出たシミや発疹の原因がどれかを探るため、ジェネリックではなく、先発薬品に戻すことにした。
ジェネリックが原因というのではない。1000分の1程度の添加物の差、味付けの差で、ジェネリックの方が体に合ったと言う人もいるし、合わなかったと言う人もいる。
つまり先発薬とジェネリックは100%同じということではないらしい。これはインターネットで得た知識。
わたしが抗癌剤をジェネリックにしてからこうなったので、とりあえず戻してみようということ。そして分量は半分にした。
主治医が皮膚科に繋いでくれたので、皮膚科のドクターに診てもらう。
手足に発疹や腫れが生じるのは抗癌剤ではよく見られる副作用だが、顔に出るのは珍しい、ということだった。
若い女性医師はあれこれ本を調べていたが、「手足のしびれを緩和するためのある種のビタミン剤」に時折、そんな作用が見られるというデータを見つけ出してくれた。
副作用が出てから抗癌剤の方は止めていたが、ビタミン剤の方は続けていたので、驚いた。
で、ビタミン剤の方は中止、抗癌剤は半分という結論になった。
とても気が軽くなった。
3週間後、外科と皮膚科で診察を受ける。そこで原因がはっきり分かると嬉しい。
病院は会計以外スカスカに空いていた。二か所で診察してもらって12時前に終わるなど、以前では考えられない。
コロナの不安から、多くの人が病院通いを止めたのか、新規の外来を病院が止めたのか。
輝くような日差しのなか、がら空きのバスで帰路に付く。
「顔が汚くなったから、友達付き合い止める」なんて友人はいないし、治療が終われば、だんだん薄くなるというから、気にするまい。
「わたし、心美人だから、これでいいのよね」と庭のアヤメに話しかけると、風に優しくうなずいた。