シクラメン
シクラメン一枚の葉からよみがえり(長谷川)
元気のない、弱弱しい、小さなシクラメンを花屋の店主が観葉植物のおまけにつけてくれた。
机に飾っていたが、すっかり枯れてしまった。
根元に小さな緑色の葉が一枚。
室内咲きだから無理かなとは思ったが、
門の前の日当たりのよいところに出しておいた。
ダメ元で、と……。
それが一か月たらずでこんなにたくさんの花をつけた。
植物の生命力はすごい。
大切に手をかけられたものより
打ち捨てられていたほうがたくましく成長することはよくあるそうだ。
甘い香りを漂わせ、
シクラメンは自分の姿を
私に向かって見せびらかした。
シクラメン甘き香りや過ぎし恋(長谷川)
終わり