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仔猫が元気になった

仔猫がすっかり元気になると、母猫和子は姿を消した。毎日ぴったり寄り添い、舐めたり、あやしたり、片時も離れなかったのに。

もう大丈夫と、動物の本能で判断するのだろうか。

それでも夕方だけはちょっと顔を出す。子供の様子を見るというよりご飯をもらいに来るのだ。仔猫が喜んで駆け寄ると、シャーと唸って追い払う。

それでも嬉しさのあまり仔猫が近寄ると、怒って仔猫の耳をちょっと噛んだ。

「いい加減に自立しなさい。いつまでもお母さんに頼っているんじゃない!」そう言っているようだ。

見ていると仔猫が可愛そうになる。だが、仔猫はもう立派な大人だ。大きさも母猫をすぐに追い越すだろう。

だが、心はまだ子供。「お母さん、お母さん」と甘えたいのだ。

今朝も朝からお母さんを捜して、高い所に上って見回している。

和子は、内心では子供のことが心配なのだろう。夕方そっと現われた。仔猫が駆け寄る。今日はなぜか怒らなかった。

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一つの皿で並んで食べている。だが、ちょっと仔猫が図々しく首を伸ばすと、片手でピシャッと叩く。

猫はこうやって子供を一人前にしてゆくのだ。パパ猫は時々パトロールに来るだけ。自分の子孫を残した満足感で威張ってこの辺をうろついている。



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