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空き家はあるのに、借りられない?!

空き家問題、今や日本中で課題として扱われるこの問題。人口が減るのに、いつまでもこれまで通りに住宅を新築していたら、空き家が増えるのは自明の理。この国は何故、根本的な対策を考えないのでしょうか・・・。

自らが建築の設計を生業とする身としては、これからは少なくとも1件解体しなければ1件新築できないというルールにしてはどうか?、と思うくらいです。が、国の政策に文句を言っていても当分何も変わらなさそうなので、自分に出来ることは何だろう、と考えながら目の前に沢山ある空き家に目を向け始めているところです。

空き家バンクはあるけれど・・・

現在2拠点を行き来していますが、私が通う町は究極(?)の人口減少率。全国ワースト10に入ります。
町には空き家バンクもあり、移住者支援のシステムの一躍を担っています。現在までに登録された物件は100件弱。賃貸物件と売却物件がありますが、バンクに登録されている物件はほとんどが基本的には売却希望、のようです。とりあえず借りてもらって、気に入れば購入してね、というところなのでしょうか。

町に通い始めた頃、実際に自分が借りられるような物件があるのだろうか、ととりあえず空き家バンクに登録しました。
そして空き家の実態を見てみようと、ある集落で畑仕事をしていた女性に「この辺りで空き家バンクに登録されている物件があると思うのですけど、ご存知ですか?」と尋ねたところ、「さぁ・・・何さんの家かねぇ・・・。ここら半分以上空いてるしねぇ」との答えが返ってきて、唖然としたものです。

空き家バンクとしては、登録された約100件のうち6割が成約済みですから、一応機能していると言えるかと思いますが、実情とはまだまだかけ離れているというところが実感です。

空き家を実際に見てみると

実態の空き家数からすると、登録の100件は随分少ない気がします。 では、登録されていない空き家は貸すつもりも売るつもりもないのでしょうか・・・。地元に暮らす人たちは、隣近所が空き家になると灯りも点かないし、寂しくなるし、誰か住んでくれたら嬉しいんやけどねぇ、と話されます。
そして、大概はどこの家の息子さんがどこにいて時々帰ってくるとか、娘さんは遠くへ行ってしまったし、鍵は隣の人が持ってるはずや、などと情報は持っているのです。でも、大家さんであるご本人の意向はあまり掴めていないようです。

ちょっと見は立派な住まいであっても、住まいは住み手を失うと、急速に傷み始めます。見た目にも建物の命の火が消えたように見える気がします。住まいは住んでこそ、住めば蘇るのに・・・と心から思いますが、人が居ないのだから仕方ありません。
移住者が急激に増えることは期待できないでしょうけれど、明かりが灯る時間を少しでも増やせたら、という思いで自分が借りてみようと前向きに検討を始めました。

さて、そこで実際に借りられそうな物件を見て回ったのですが、拠点として借りるには色々問題点があるのです。

1.物件が大きすぎて、管理しきれない
2.水回りが使えない、もしくは使いにくい
3.車が停められない

1の問題は、誰かとシェアして借りられたら良いのでしょうけれど、いきなりそんな相手も見つかりません。

2の”水回り”問題。
空き家所有者はなるべく投資したくないのが本音。今のままで借りて欲しい、買って欲しいわけですが、あまりに状態が悪いのを見てしまうと、どうすれば綺麗になるか、どれほどお金が掛かるか、検討もつかず腰が引けるのが普通でしょう。
都市部で生活してきた人にとって、一番ネックになるのが水回り。トイレ・風呂・キッチンの順で、いい状態で使えることがポイントになるのは避けられません。仕事柄、多少のことで済みそうか難しいかは見当がつきます。そういう目で見ると、もったいないなぁと思う物件は結構あります。
このくらい工事費はかかっても、ちゃんと借り手を見つけて家賃が入れば何年で回収できるという見通しが立てば、とも思いますが、都市部と違って問題はそんなに単純でもないのです。

3の“駐車スペース”問題。
これは交通手段がほぼ車依存である状況から、必須条件になってきます。ただし、地域に顔がつながれば、向こう三軒のどこかには「うちに停めたらええよ」と貸してくださるところは見つかるようですが。

では根本的なところで、空き家はたくさんあるのに借りられない理由は何なのか・・・。こんな調査結果もあります。

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一番多い改修(リフォーム)問題は別として、多くの問題は借り手の「顔が見えない」ことに起因する心配事なのではないか?逆を言えば、顔の見える相手なら、貸すことへのハードルが低くなるのではないかと思われます。

実際、既に空き家バンクを介さずに借りて住んだり拠点としている人の話を聞けば、みさなん口コミ情報で今の場所を借りられたとのこと。顔が見えたら借りられる?! ならば、敷居を低くして「顔が見える場所」の仕組みを作れないものか。
というわけで今、その仕組みを画策している段階の私です。1件でも、1日でも多く、空き家に明かりが灯ることで、何かが動き出すはず。
1歩目は出してみました。今は2歩目に取り掛かります!

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